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《全手続きまとめ》家族が亡くなったら死亡直後から5年以内にやること

家族が亡くなったら何をすればいいのか

期限内に手続きを順次進めてください

大切なご家族が亡くなり、深い悲しみと喪失感で何も手につかない状態になるご遺族は多いでしょう。しかし、遺族は期限内にさまざまな手続きを進めていかなければなりません。

この記事では、ご家族が亡くなった直後から、1日以内、5日以内、7日以内、14日以内の緊急性の高い手続きから、1ヶ月以内、3ヶ月以内、6ヶ月以内….そして5年以内に順次やるべきことを一覧にして解説します。


死亡直後〜14日以内 やることリスト

いつどこで何をする
死亡直後に病院
警察で
死亡診断書か死体検案書を受け取る
1日後に葬儀会社で葬儀会社に連絡して葬儀を行う
5日以内に勤務先
年金事務所で
被保険者資格喪失届を提出する
7日以内に市役所
区役所又は町村役場で
死亡届を提出する
7日以内に市役所
区役所又は町村役場で
火葬許可申請書を提出する
7日以内に火葬場
市役所
区役所又は町村役場で
埋葬許可証を受け取る
14日以内に市役所
区役所又は町村役場で
世帯主変更届を提出する
14日以内に年金事務所で年金の受給権者死亡届を提出する
14日以内に市役所
区役所又は町村役場で
介護保険資格喪失届を提出する
1ヶ月以内に電気会社
ガス会社
水道会社で
電気・ガス・水道の名義変更、解約をする
1ヶ月以内にインターネット回線事業者
プロバイダで
インターネットの名義変更、解約をする
1ヶ月以内に携帯電話会社で携帯電話を解約する
1ヶ月以内にクレジットカード会社でクレジットカードを解約する
3ヶ月以内に家庭裁判所で遺言書の検認、開封の申し立てをする
3ヶ月以内に生命保険会社で死亡保険金を請求する
3ヶ月以内に家庭裁判所で相続放棄や限定承認の申し立てをする
3ヶ月以内に税理士事務所
弁護士事務所で
相続財産調査と相続人調査をする
4ヶ月以内に税理士事務所
税務署で
所得税の準確定申告をする
6ヶ月以内に行政書士事務所
司法書士事務所
弁護士事務所
税理士事務所で
遺産分割協議をする
6ヶ月以内に法務局、税務署で固定資産税、住民税の名義変更をする
10ヶ月以内に行政書士事務所
司法書士事務所
弁護士事務所
税理士事務所で
遺産分割協議書を作成する
10ヶ月以内に税務署、金融機関で相続税の申告、納付をする
1年以内に金融機関で銀行口座の名義変更、解約をする
1年以内に司法書士事務所
法務局で
不動産の名義変更をする
1年以内に証券会社
運輸支局
行政書士事務所
司法書士事務所
弁護士事務所
税理士事務所で
有価証券、自動車の名義変更をする
2年以内に健康保険組合
市役所
区役所又は町村役場で
葬祭費、埋葬費を請求する
2年以内に健康保険組合
市役所
区役所又は町村役場で
高額療養費の払い戻しを請求する
5年以内に年金事務所で未支給の年金を請求する
死亡直後〜5年以内 やることリスト一覧

死亡直後から5年以内に行うべき手続き一覧

(1) 死亡直後に行うべきこと

■《死亡直後》死亡診断書か死体検案書を受け取る …病院・警察

死亡診断書と死体検案書は人の死亡を医学的・法律的に証明するために医師が交付する文書です。いずれも効力に違いはありませんので、必ずどちらかを受け取ってください。

死亡診断書:
医師が生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合に交付されます。
死体検案書:
生前に医師の診療を受けていなかった場合や、生前に診療を受けていたのとは異なる傷病で死亡した場合、死亡した状態で発見され死因が不明な場合に交付されます。

(2) 1日後までに行うべきこと

■《1日後》葬儀会社に連絡して葬儀を行う …葬儀会社

葬儀を行う日は、いつまでにという法的な決まりはありません。しかし日本では法律により、亡くなってから24時間以内は火葬を行ってはならないと定められています。つまり、亡くなった日から数えて最短で1日後に葬儀を行うことができます。ご遺体の状態も考慮して、葬儀の日程は、1日後にお通夜、2日後に葬儀・告別式を行うのが一般的です。

(3)5日以内に行うべきこと

■《5日以内》被保険者資格喪失届を提出する …勤務先、年金事務所

働いている人が亡くなった場合の健康保険に関する手続きは事業主にしてもらうことになるので、勤務先に速やかに連絡をしましょう。

被保険者資格喪失届:
被保険者資格喪失届は、健康保険・厚生年金保険の被保険者が亡くなった日を資格を喪失した日とし、5日以内に事業主が提出する必要があります。提出先は「健康保険組合」または「全国健康保険協会(協会けんぽ)」および「所轄の年金事務所」です。国民健康保険に加入していた場合、死亡届の受理と同時に資格を喪失するので、被保険者資格喪失届の提出は不要です。

(4)7日以内に行うべきこと

■《7日以内》死亡届を提出する …市役所、区役所又は町村役場

死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に届け出ることが法律で義務づけられています。速やかに提出しましょう。葬儀会社に依頼すれば代理人として提出してもらうこともできます。

死亡届:
死亡届は、個人の死亡を公に証明する書類です。提出先は、「故人の本籍地、死亡者の死亡地」または「死亡地の役所届出人の住所地の役所」です。
病院で故人が死亡した場合、死亡届は基本的に病院側が用意してくれますので、特別に用紙を準備する必要はありません。
そうではない場合、法務省のWEBサイトでダウンロードするか、役所の戸籍係が扱っているので、窓口で受け取ることもできます。
法務省のWEBサイトにある死亡届の記載例を参考にして必要事項を記入してください。

■《7日以内》火葬許可申請書を提出する …市役所、区役所又は町村役場

火葬許可申請書は、死亡届と同時に役所に提出します。死亡届を提出しない限りは、火葬許可申請書も受理されませんのでどちらも忘れずに提出しましょう。葬儀会社に依頼すれば代理人として提出してもらうこともできます。

火葬許可申請書:
亡くなった人を火葬するために必要な火葬許可証(埋火葬許可証)を交付してもらうための申請書です。
提出先は死亡届と同じく、「故人の本籍地、死亡者の死亡地」または「死亡地の役所届出人の住所地の役所」です。
申請書が受領されるためには、死亡届、印鑑(提出される方の印鑑)、火葬料金(市内の火葬場を使用する場合)も必要なので、合わせて準備してください。
火葬料金の相場は、亡くなった方本人がどの自治体の住民だったのかで変わります。自治体の住民が利用する場合は無料もしくは安くなり、自治体外の住民が利用する場合は費用が高くなることがほとんどなので、役所や葬儀会社に聞いて利用料を確認してください。

■《7日以内》埋葬許可証を受け取る …火葬場・市役所、区役所又は町村役場

火葬許可証が交付されて無事に火葬が終わると、火葬場で埋葬許可証を発行される場合が多いです。役場で発行される場合もあるので、忘れず必ず受け取るようにしましょう。

埋葬許可証:
亡くなった人を火葬した遺骨の埋葬を認める書類です。火葬済みの印鑑を押された火葬許可証を埋葬許可証に転用するケースが一般的です。つまり火葬許可証と埋葬許可証の2つの書類は物理的には同じ用紙ですが、手続き上は別のものとして区別されます。
埋葬許可証の提出先は「墓地・霊園・納骨堂の管理者」です。もしも納骨ではなく散骨を選択した際にも、散骨業者から埋葬許可証を提出するように要求されることがあるため、どのような納骨の方法でも許可証は受け取って保管しておきましょう。

(5)14日以内に行うべきこと

■《14日以内》世帯主変更届を提出する …市役所、区役所又は町村役場

世帯主が亡くなると、14日以内に世帯主変更届の提出が必要な人がいます。

世帯主変更届:
新しい世帯主が明白でない場合、世帯主の登録を変更するために提出する書類です。
提出が必要な人と不要な人がいます。例えば世帯主である夫が亡くなったとします。遺された妻と15歳以上の子が同居している場合、妻と子どちらも世帯主となり得るので、世帯主変更届の提出が必要になります。
そうではなく、妻一人だけが残されたり、子どもが全員15歳未満の場合は、妻が世帯主になることが明白なので、世帯主変更届の提出が不要になります。死亡届と同時に提出するのが一般的です。

■《14日以内》年金の受給権者死亡届を提出する …年金事務所

年金を受けとっている人が亡くなると、14日以内に受給権者死亡届(報告書)の提出が必要です。

受給権者死亡届:
年金の受給者が死亡したと報告するために提出する書類です。亡くなった人の年金証書、死亡を証明する公的な書類(住民票除票、死亡診断書のコピー等)も合わせて提出する必要があります。
受給権者死亡届の提出先は、「所轄の年金事務所」です。国民年金のみを受給していた人の場合は「役所の年金窓口」でも届出ができます。
また、亡くなった人に一定の条件が当てはまる遺族が居る場合、「遺族厚生年金」「寡婦年金」等を受け取ることができます。
また、亡くなった人が本来受け取るはずだった「未支給の年金」も相続人が非課税で受け取ることができます。この時、合わせて年金事務所に確認しましょう。

■《14日以内》介護保険資格喪失届を提出する …市役所、区役所又は町村役場

介護保険の被保険者が亡くなると、14日以内に介護保険資格喪失届の提出が必要です。

介護保険資格喪失届:
要介護の認定を受けていた人が死亡したと報告するために提出する書類です。亡くなった人の介護保険被保険者証も合わせて提出する必要があります。

(6) 1か月以内に行うべきこと

■《1ヶ月以内》電気・ガス・水道の名義変更、解約をする …電気・ガス・水道

電気・ガス・水道の公共料金は、誰も使わないなら解約、遺族がそのまま使うなら名義変更が必要です。
亡くなった人の口座は死亡とともに凍結されて使えなくなりますので、振替口座の変更も必要です。葬儀、必要書類の提出が落ち着いたら、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。

■《1ヶ月以内》インターネットの名義変更、解約をする …インターネット回線事業者、プロバイダ

インターネットの契約者が亡くなったら、誰も使わないなら解約、遺族がそのまま使うなら名義変更が必要です。
電話回線を利用していて回線契約をしていなかった場合、プロバイダ側のみの手続きを行います。事業者によって、違約金がかかったり解約日までの利用料を請求される場合があるので、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。

■《1ヶ月以内》携帯電話を解約する …携帯電話会社

亡くなった人が携帯電話を使っていたら、死亡を証明する公的な書類(住民票除票、死亡診断書のコピー等)を携帯電話会社に持参し、解約手続きを行います。
解約するまで利用料金を請求される場合が多いので、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。携帯電話の端末本体は解約後に持ち帰り可能なので、相続手続きのトラブル防止のためにも端末データは必ず手元に残しておきましょう。

■《1ヶ月以内》クレジットカードを解約する …クレジットカード会社

亡くなった人がクレジットカードを使っていたら、解約の手続きを行う必要があります。
手続き方法はカード会社によって異なるので、クレジットカードの裏面に記載されているコールセンターの電話番号に問い合わせて確認しましょう。未清算金や返済額などが残っている場合、相続放棄をしない限り相続人に支払いの義務が発生するので、解約の時に合わせて確認しましょう。不正利用防止のためにも、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。

(7)3か月以内に行うべきこと

■《3ヶ月以内》遺言書の検認、開封の申し立てをする …家庭裁判所

自宅で見つかった遺言書は、家庭裁判所で「検認」の申し立てを行い、開封する手続きが必要です。

遺言書の検認:
自宅などで自筆の遺言書が見つかったら、家庭裁判所にて「検認」の申し立てをすることが法律で義務づけられています。
もしも勝手に遺言書を開封すると5万円以下の過料がかかりますので注意してください。
申し立て先の家庭裁判所は「遺言者の最終の住所地を管轄する家庭裁判所」です。申し立てに必要な書類は「検認申立書、遺言者の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本、相続人全員分の戸籍謄本」です。
申し立て申請後、家庭裁判所から相続人全員に対して「検認期日」が連絡されます。申し立てをした本人は指定された日時に家庭裁判所に必ず行く必要がありますが、それ以外の相続人は全員が出席してなくても問題ありません。
指定された日時に家庭裁判所に行き、相続人の立ち会いのもとに遺言書を「開封」します。検認と開封が終わったら、家庭裁判所に「検認済証明書」を申請して遺言書に添付してもらって終了です。検認済証明書がついていないと不動産の登記や銀行での預金払い戻しなどに応じてもらえないので必ず申請しましょう。
家庭裁判所に申し立てから検認期日の確定まで1〜2ヶ月かかるので、速やかに手続きを進めましょう。
なお、公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されているので、家庭裁判所の検認を経ずに開封しても法的に問題ありません。

■《3ヶ月以内》死亡保険金を請求する …生命保険会社

死亡保証付きの生命保険に加入していた被保険者が亡くなったら、保険会社に連絡して必要書類を送り、死亡保険金を請求しましょう。

死亡保険金は受取人の固有の財産となります。相続財産に含まれないので、相続人同士で分け合う必要がありません。しかし、死亡保険金は相続税法上「みなし相続財産」と扱われ、相続税が課されます。つまり、相続財産ではないため他の相続人と分け合う必要はありませんが、受取人の相続税の計算上は相続財産とみなされ相続税が課税されます。このように、相続税の調査に関わってくるので、速やかに死亡保険金を請求しましょう。

■《3ヶ月以内》相続放棄や限定承認の申し立てをする …家庭裁判所

財産を全て引き継がない場合は「相続放棄」、プラスの財産の範囲内でのみマイナス分も含めて財産を引き継ぐ場合は「限定承認」を家庭裁判所に申し立てします。3か月を過ぎると、自動的に単純承認をしたものとみなされるので、3ヶ月以内に行いましょう。

ただし、「限定承認」は必ず相続人全員が意見を一致し、家庭裁判所に申立をする必要があります。限定承認は手続きが非常に複雑なので、検討する際は専門家に相談しましょう。

■《3ヶ月以内》相続財産調査と相続人調査をする …税理士事務所、弁護士事務所

遺産分割協議をスムーズに進めるために、相続財産と相続人を明らかにしましょう。

相続財産調査:
相続を進めるためには、まず、亡くなった人の財産状況を全て調査する必要があります。現金、銀行口座、不動産、有価証券、保険、車両、骨董品、さらに、借金などの負債まで、プラス財産もマイナス財産も全て明らかにします。

相続人調査:
遺産分割協議は法定相続人が一人でも欠けていると無効になります。法定相続人は、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本類を順番に取得していくことによって明らかにできます。

相続財産と相続人は、手間と時間をかければ相続人自身でも調べられます。しかし、税理士や弁護士など専門家に依頼するほうが抜け漏れや間違いがありません。確実な調査を行うために専門家に任せるのがおすすめです。

(8)4か月以内に行うべきこと

■《4ヶ月以内》所得税の準確定申告をする …税理士事務所、税務署

1月1日から亡くなるまでの日に一定以上の収入があった場合、相続人全員で所得税を支払う義務があります。

準確定申告:
通常の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間分の税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに本人が申告、納税します。
亡くなった人の代わりに相続人全員が申告、納付するのが「準確定申告」です。相続の開始を知った日の翌日から4カ月以内に申告、納付をする必要があります。納税額がわかったら、相続人全員が連署して申告書を作成し、相続人全員で負担することになります。

(9)6か月以内に行うべきこと

■《6ヶ月以内》遺産分割協議をする …行政書士事務所、司法書士事務所、弁護士事務所、税理士事務所

相続財産と相続人の全容が判明したら、相続人全員で遺産の分け方を話し合います。

遺産分割協議:
遺言書がない場合、法定相続人が全員集まって話し合いを行います。一人でもかけていたら遺産分割協議は無効になります。法定相続人は「配偶者、子」が常に相続人です。子がいない場合は父母や祖父母、父母や祖父母もいない場合は兄弟姉妹、兄弟姉妹もいない場合は甥や姪が相続人になります。
音信不通の相続人がいる場合、家庭裁判所への申し立てをします。不在者財産管理人を選任し、さらに家庭裁判所の許可を得て、音信不通の相続人に代わって遺産分割協議に参加させる必要があります。
遺言書があれば、原則として、その通りに遺産分割を行うので、遺産分割協議は必ずしも行う必要はありません。遺産分割協議がまとまらなかった場合、家庭裁判所の調停や審判によって遺産分割の方法を決めることになります。
相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に相続税申告を行う必要があるため、遅くとも6ヶ月以内には遺産分割協議を行いましょう。

■《6ヶ月以内》固定資産税、住民税の名義変更をする …法務局、税務署

亡くなった人が土地・建物の固定資産税を支払っていた場合、相続人に納税の義務が生じます。また、年度途中で亡くなった人の前年の所得が一定額以上であれば、未納分の住民税を相続人が代わって納めることとになります。相続が確定したら、速やかに法務局、税務署に連絡して名義変更などの手続きをしましょう。

(10)10か月以内に行うべきこと

■《10ヶ月以内》遺産分割協議書を作成する …行政書士事務所、司法書士事務所、弁護士事務所、税理士事務所

遺産分割協議書は、相続税の申告や車や不動産の名義変更に活用できます。遺言書がない場合は、トラブルを避けるためにも必ず作成しましょう。

遺産分割協議書:
遺言書がない場合、相続人全員で集まり遺産の分け方を話し合います。この遺産分割協議で合意した結果をまとめた書類が遺産分割協議書です。
法律上は必要な書類ではありませんが、口約束だけだと相続資産の手続きが滞ったり、合意内容に食い違いが起きやすいため、話し合いの証拠となる遺産分割協議書を必ず作成するようにしましょう。
遺産分割協議書の書き方に法的な決まりはありません。しかし、内容に不備があると相続の手続きが進まない原因になるので、ポイントを押さえた書き方を事前に調べるか、司法書士や弁護士に依頼して完成させるのがおすすめです。
相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内に相続税申告を行う必要があるため、遅くとも6ヶ月以内には遺産分割協議を行い、その話し合いの内容を速やかに遺産分割協議書にまとめましょう。

■《10ヶ月以内》相続税の申告、納付をする …税務署、金融機関

亡くなった人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、相続人は相続税を申告、納付することが法律で義務づけられています。

相続税を納付するのは「亡くなった人が居住していた住所地を管轄する税務署」です。相続人の住所地ではないので注意してください。

相続税の申告は郵送で済ますこともできるので申告期限内に行いましょう。

相続税の納付は金融機関での一括納付するのが一般的なので、基本的に全国どこの銀行、郵便局、信用金庫でも納付できるので、最寄りの金融機関の窓口へ行き、納付書を提示して支払いを済ませましょう。相続人全員がまとめて申告、納付する必要はなく、個別に行えます。

(11)1年以内に行うべきこと

■《1年以内》銀行口座の名義変更、解約をする …金融機関

名義人が亡くなった事実を金融機関が知ったとき、口座は凍結されます。これは、名義人以外が遺産分割前に勝手に口座から預金を引き出さないようにするためのトラブル予防措置です。

亡くなった事実を金融機関に口座が凍結されると、一切の入出金ができなくなります。遺言書か遺産分割協議書の決定に従い、その他の必要書類も用意し、名義変更するか、解約して預金を引き出す手続きをしましょう。

そのほかの必要書類は「相続届、戸籍謄本、印鑑証明」ですが、相続人が何人か、遺言書があるかないかで、変わってきますので、必ず銀行に確認しましょう。

口座が凍結されていても、「預貯金の仮払い制度」を利用することもできます。亡くなった人の死亡時の預金残高×3分の1×払戻しを受ける相続人の法定相続分、一つの金融機関で150万円を限度額に、葬儀費用の支払い、残された相続人の当の生活費などに充てることができます。これも各銀行によって手続きを確認しましょう。

一般的には10年以上放置された預金口座は休眠口座として扱われ、民間公益活動のために預金保険機構に移管されることが法律で定められています。相続の話し合いが完了したら、速やかに名義変更、解約など手続きをしましょう。

■《1年以内》不動産の名義変更をする …司法書士事務所、法務局

不動産を相続することが決まったら、相続人の名義で相続登記をすることが法律で義務付けられています。

申請期限は所有権を取得したことを知った日から3年以内です。相続登記をしないで放置したら、10万円以下の過料を科される可能性があります。

自分で必要書類を全て用意して相続不動産の名義変更をすることも可能ですが、書類作成や手続きが煩雑で負担となるため、不動産登記の専門家である司法書士に依頼するのがよいでしょう。

■《1年以内》有価証券、自動車の名義変更をする …証券会社、運輸支局、行政書士事務所、司法書士事務所、弁護士事務所、税理士事務所

亡くなった人の名義で有価証券や自動車などの資産があったら、これも相続人が名義変更を忘れずに行いましょう。

上場株式の名義変更は、証券会社、非上場株式の名義変更は発行した会社に直接申し出る必要があります。どちらにしても書類作成、費用と納税(移管手数料、贈与税、相続税など)が必要となります。手続きが煩雑で負担となるため、専門家に相談、依頼するのがよいでしょう。

自動車の名義変更は、運輸支局で名義変更の手続きをします。普通自動車の名義変更に必要な書類は「車検証、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、500円の検査登録印紙を貼付した手数料納付書、申請書」です。その他、手続きによっては印鑑証明書や実印が必要になる場合もあります。事前に運輸支局に状況を説明して何が必要かを確認しましょう。

なお、軽自動車については、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で名義変更の手続きをします。

(12) 2年以内に行うべきこと

■《2年以内》葬祭費、埋葬費を請求する …健康保険組合、市役所、区役所又は町村役場

亡くなった人が社会保険(協会けんぽ等)に加入していた場合は埋葬費を、国民健康保険に加入していた場合は葬祭費の給付金を受け取ることができます。

社会保険の場合は「健康保険組合」に、国民健康保険の場合は亡くなった人の居住地の自治体に申請する必要があります。埋葬費は一律5万円、葬祭費は自治体によって異なる額が支給されます。

どちらも2年が申請期限です。忘れずに申請しましょう。

■《2年以内》高額療養費の払い戻しを請求する …健康保険組合、市役所、区役所又は町村役場

亡くなった人が治療、入院、介護のために高額の医療費がかかっていたら、相続人が高額療養費制度を利用して一定の負担限度額を超えた額の還付金を受け取ることができます。

払い戻しの対象となるのは、健康保険が適用される医療費のみで、入院中の食費やベッド代、先進医療にかかる費用は対象外です。

亡くなった人の口座が凍結状態であったり、相続人に名義変更された口座だと振り込みができないので、別途申請が必要なので、手続き方法を確認しましょう。

申請が受理されたら、一般的に1~2ヶ月後に還付されます。

診療を受けた月の翌月の初日から2年が申請期限です。忘れずに申請しましょう。

(13)5年以内に行うべきこと

■《5年以内》未支給の年金を請求する …年金事務所

亡くなった人が年金受給者だった場合、生計を共にしていた3親等内の親族の優先順位が先の人が受け取ることができます。まず配偶者、その次に子、その次に父母と続きます。

公的年金は受給者と家族の生活を保障するために支給されるもので相続財産とはみなされないため、一定額の範囲なら相続税はかかりません。

請求は年金事務所で行います。受給権者死亡届を出す際に請求していなかったら、5年以内に忘れずに申請しましょう。

後悔のないお悔やみ期間を

ご家族が亡くなったら、残された遺族は悲しみを抱えたまま、さまざまな手続きを期限内に進める必要があります。生活費や相続税などお金に関わる手続きが滞ってしまうと、後々後悔が深くなるかもしれません。公開のないお悔やみ期間を過ごすためにも、肉体的、精神的負担が減るように、専門家にサポート受けて進めていくことが望ましいでしょう。