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デジタル遺品が残された! 家族がとるべき対応とは?

大切な家族が亡くなったとき、残された家族は非常に混乱するものです。

ただそのなかでも、故人が残していった遺品を整理しなければなりません。

今回はその遺品のなかから「デジタル遺品」を取り上げ、その扱い方について解説していきます。

故人のスマホから情報を抜く~法律上問題はないか?

スマートフォンやパソコンは、個人情報の宝庫です。しかし、デジタル遺品の契約解除・破棄・継承を考えるうえでは、このスマートフォンやパソコンにアクセスし、情報を得なければなりません。

「(亡くなった人であり、家族であったとはいえ)個人情報がぎっしり詰まったスマートフォンやパソコンの情報を抜いた場合、プライバシー権を侵害していると判断されないか」と考える人もいるかもしれません。

しかしこれは基本的には問題がないと解釈されます。

個人情報保護法が及ぶ範囲は、「生存している人」に限られます。そのため、故人の個人情報に接しても問題はありません。

また、プライバシー権も「その人自身」だけしか持たないものであり、ほかの人に引き継がれることもありません。

ただし、「スマートフォンやパソコンのなかに財産について記したデータがあったが、ほかの遺産相続人にその情報を提供せず、こっそり自分の物にした」などのような場合は、また別の問題が起きると考えるべきです。

スマートフォンやパソコンのパスワードがわからない!

終活においては、「スマートフォンやパソコンのパスワードを記すように」とされています。

しかし「終活」という概念が広がりを見せたとはいえ、終活に取り組んでいない人もたくさんいます。また、「まだ若くて健康だったのに、不慮の事故で亡くなった」などのようなケースでは、終活はしていなかったと考えるのが自然です。

このように終活をしていなかった人の場合は、「パスワードは本人しか知らなかった」という状態に陥ることもあります。

「スマーフォンのパスワードがわからなくなってしまった」という場合、多くの人がスマーフォンのショップに足を運ぼうとするでしょう。しかしショップは、「パスワードを割り出して、ロックを解除する作業を代行すること」は基本的には引き受けません。初期化の方法ならば教えてくれるかもしれませんが、初期化をしてしまうと故人の思い出も消えてしまいます。

「自分たちで解決できない」という状況になったのであれば、専門の業者にお願いしましょう。現在は、「スマホのパスワード解除」をプランの1つとして打ち出している業者も多くみられます。彼らの助けを借りましょう。ただし1台のロック解除にかかる費用はかなり高く、20万円を超えることもあります。

サブスクはどうするか?

サブスクなどを利用していた場合、これを停止する必要があります。

「死亡届けを出せば、サービスを提供していた会社にも連絡が行き、自動的にサブスクも止まる」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、基本的には企業側は利用者の生死は考慮しません。残された家族がストップをかけないと、ずっと料金が引き落とされ続けてしまいます。

もっとも簡単なのは、「直接企業に電話をして、契約を解除してもらう」という方法でしょう。これはデジタル遺品に限ったことではなく、月謝制の習い事などでも同じことがいえます。

「携帯の契約自体を解除すること」を思いつく人もいるでしょう。

しかし、あまりにも焦って解約してしまうと、故人と連絡をつけたい人が戸惑う可能性があります。また携帯電話を分割で買っている場合は残金の支払いが残りますし、「●か月続けてくれることを条件として、格安料金で契約をしていた」という場合は違約金が発生する可能性もあります。さらに、解約することでデータがすべて失われてしまうことも考えられます。

このような状態に陥ることを避けるために、

1.エンディングノートそのほかにパスワードが書かれていないかを確認する

2.重要なものが入っていることが予想される場合は、ロック解除を得意とする業者に依頼をする

3.ロック解除が終わったら、複数人で中身をチェックする

4.本人が使っていたSNSなどに訃報を流す

5.端末機器そのほかに借金などのデータがないかも確認する

6.サブスクなどの洗い出し。契約していたものをリスト化する

7.サブスクなどに加入している場合は、規約がどうなっているかを確認する

8.写真をほかの端末機器などに移す

の手順を守ると良いでしょう。初期化は最後の手段ですから、できるだけこれを使わない解決方法をまずは模索するべきです。

「スマートフォン」「パソコン」の普及は、私たちの生活を格段に進歩させました。しかしそれと同時に、40年前・50年前には想像すらもできなかったトラブルが起きているのも事実です。しかも現在はセキュリティ面も強化されていて、本人でなければ開けるのが大変難しくなっています。

このことを理解したうえで、適宜専門家の力を借りつつ、デジタル遺品の契約解除・破棄・継承をしていきましょう。