亡くなった方の財産を残された家族などに受け渡す遺産相続において、故人の思いを伝えトラブルを回避するために相続内容などを書き残しておくのが遺言書です。
その遺言書には相続内容以外に「遺言執行人」や「執行人を選定する人」が指名されていることがあります。
しかし実際に遺言執行人とはどのような人なのか、どのように選定されるのか分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は遺産相続に関わる「遺言執行人の選定」についてご紹介します。
遺言執行人とその選定とは?
「遺言執行人」は遺産相続の際にどのような役割を担っているのでしょうか。
また特別な資格や条件が必要なのか気になる方も多いかも知れません。
「遺言執行人の選定」に関するポイントを3つご紹介します。
遺言執行人の役割
遺言執行人とは遺言書に残された故人の遺志に従い、相続人を代表して法的手続きを進める人のことです。
遺言書の内容に不満を感じるなどの理由で、遺言書通りに手続きが進まない場合に故人に代わり手続きを進める役割があります。
そのためトラブルがなく遺言書通りに相続が進みそうなケースでは、遺言執行人を選定しない場合もあるでしょう。
遺言執行人になれる人
遺言執行人は未成年者や破産者を除いた全ての方が対象になります。
特別な資格や条件はなく、法人が遺言執行人になることも可能です。
しかし実際は法律についての知識がある専門家や相続人が選定されることが多いでしょう。
遺言執行人の選定方法
遺言執行人を選定するには3つの方法があります。
・遺言書で遺言執行人を指名する
・遺言書で遺言執行人を選定する第三者を指名する
・家庭裁判所に決めてもらう
家庭裁判所に決めてもらうのは、遺言書で執行人が選定されていない場合や選定された人が解任された場合などです。
また遺言書で第三者が執行人を指名するケースは、その時の状況に合わせて適任者を選定できるメリットがあるといえるでしょう。
遺言執行人を選定するための手順と進め方
遺言執行人を選定する場合、基本的には遺言書を残す故人が直接選定するケースと遺言書で選定を指名された第三者が選定する2つのケースがあります。
ここでは遺言書を残す故人が選定する手順と進め方を簡単にご紹介します。
執行人か執行人を選定する人を選ぶ
最初に「遺言執行人」を指名するか「遺言執行人」を選定する第三者を指名するかを選びます。
相続人を指名する場合はその方の負担が大きくならないか、親族の中での立場や遺言の執行にかかる時間を捻出できるかなども考慮するといいでしょう。
どちらをどのようにするか決まっておらず迷う場合は、専門家に相談しながら進めるのがおすすめです。
指名した人に確認し遺言書に書き残す
遺言執行人はその内容から、指名しても断られる可能性があります。
また逝去後に突然指名されて戸惑うことも考えられるため、事前に遺言執行人への打診をした方が良いでしょう。
遺言執行人(またはその選定者)が決まったら、遺言書に遺言執行人を指名する旨と指定する人の氏名や住所を記載します。
遺言執行人の選定で失敗しないためには
遺言や相続などは専門的な知識が必要なことも多く、一人で進めてしまうと思わぬトラブルが発生することがあります。
ちょっとした言葉の言い回しなどで問題が難しくなるケースもあるため、遺言書作成時から専門家に相談するのがおすすめです。
また相続に伴う手続きや書類の用意などは複雑で手間がかかるケースもあるでしょう。
そのような場合、経験がない遺言執行人だとスムーズに遺言が執行されないことも考えられます。
相続の状況によっては法的な手続きに詳しい人を選ぶのも遺言執行人選定のポイントといえるでしょう。
まとめ
自分が亡くなったあとに、トラブルなく遺言を執行する「遺言執行人」は事前に専門家に相談しながら慎重に検討して選定することが重要です。
遺産相続を考えている方は、遺言書による相続がスムーズに進むよう遺言執行人を選定するか検討してみてはいかがでしょうか。