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死亡一時金の利用ガイド!~国民年金制度の死亡一時金の受給条件や給付金額、請求方法を完全網羅~

死亡一時金をご存でしょうか?死亡一時金とは、一定の要件を満たした国民年金の第1号被保険者の方が亡くなられた際に、遺族が受け取れる給付金のこと。 

死亡一時金は受給のための要件がそれほど厳しくありませんが、2年以内に請求手続きをしないと受け取れないため、注意が必要です。 

この記事では、死亡一時金の受給要件や金額、請求手続きについて解説していきます。 

死亡一時金の受給要件

死亡一時金は、亡くなられた方が以下の要件を満たす場合に受給できます。 

・国民年金の第1号被保険者 
・保険料を36ヶ月以上納付 
・老齢基礎年金・障害基礎年金を未受給 

それぞれ紹介します。 

国民年金の第1号被保険者

死亡一時金の受給要件の1つは、亡くなられた方が国民年金の第1号被保険者であることです。 

第1号被保険者は、自営業者や農業者とその家族、学生、無職などが該当します。亡くなられた方が第1号被保険者の場合は、死亡一時金が請求できないか、ご確認ください。 

会社員や公務員は第2号被保険者に該当するため、亡くなったとしても死亡一時金は支給されません。また、第2号被保険者に扶養されている20歳~59歳の方は第3号被保険者に該当するため、第2号被保険者の方と同様に対象外となります。 

保険料を36ヶ月以上納付

亡くなられた方の国民年金の納付期間が、合計で36ヶ月(3年)以上であることも要件です。一時的に納付を免除となっていた期間も、合算できます。 

納付額の4分の1が免除されていた場合は、免除期間の4分の3が納付期間として認められます。例えば12ヶ月間、納付額の4分の1を免除されていたなら、9ヶ月分が納付期間として合算可能です。 

同じように、2分の1が免除されていた場合は2分の1が、4分の3が免除されていた場合は4分の1が納付期間として認められます。 

老齢基礎年金・障害基礎年金を未受給

亡くなった方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していた場合は、死亡一時金の対象外となります。 

2022年3月現在、老齢基礎年金の支給開始年齢は原則65歳からです。ただし、60~64歳へ前出して受給している場合もあります。 

家族が知らない間に老齢基礎年金・障害基礎年金を受給していないとも限らないので、死亡一時金を請求する前に受給の有無をご確認下さい。 

死亡一時金を受給できる人

死亡一時金を受給できるのは、亡くなられた方と生計を同じくしていた遺族の中で、優先順位が高い方になります。優先順位は以下の通りです。 

1. 配偶者 
2. 子 
3. 父母 
4. 孫 
5. 祖父母 
6. 兄弟姉妹 

死亡一時金を受給できるのは、遺族の中で、上記の優先順位の最も高い方のみとなります。 

死亡一時金の金額

死亡一時金の額は、保険料を収めた期間に応じて12万円~32万円の間で変動します。具体的には以下の表の通りです。 

亡くなられた方が付加保険料を3年以上納めていた場合は、さらに8,500円が加算されます。 

死亡一時金の請求手続き 

ここからは、死亡一時金を請求するために必要な書類と、書類の提出先をご紹介します。 

必要な書類

死亡一時金の請求に必要な書類は以下の通りです。 

・国民年金死亡一時金請求書 
・亡くなった方の年金手帳(提出できないときは、その理由書) 
・戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し 
・亡くなられた方の住民票(除票)および請求者の世帯全員の住民票の写し 
・受取先金融機関の通帳やまたはキャッシュカード等(本人名義)※コピー可 

これらの書類は、亡くなられた方との続柄や、生計同一関係などを確認するために必要となります。 

国民年金死亡一時金請求書は日本年金機構の公式ホームページでダウンロード可能です。 

必要書類の提出先

準備した書類は、以下のいずれかの場所に提出します。 

・お住まいの市区町村役場の窓口 
・お近くの年金事務所 
・お近くの街角の年金相談センター 

なお、国民年金死亡一時金請求書は、上記の手続き場所にも備え付けられています。 

死亡一時金の注意点

死亡一時金を請求する際には以下の3点にご注意ください。 

・遺族基礎年金を受給できる場合は受給不可 
・寡婦年金を選択した場合は受給不可 
・死亡日の翌日から2年以内に手続きしないと失効 

それぞれ解説していきます。 

遺族基礎年金を受給できる場合は受給不可

亡くなられた方の配偶者に子がいる場合、または遺族が子の場合は、遺族基礎年金を受給できます。遺族基礎年金を受給できる場合は、死亡一時金は支給されないため、ご注意ください。 

なお、子は18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態である方が該当します。 

寡婦年金を選択した場合は受給不可

先述の通り、遺された妻が寡婦年金を受給する場合、死亡一時金は支給されません。 

寡婦年金は、国民年金の第1号被保険者である夫が老齢基礎年金を受給する前に亡くなった場合、夫が受給するはずであった年金額の一部が、妻に支払われる制度です。妻が60歳~65歳の5年間に、夫が受給するはずだった老齢基礎年金の4分の3が受給できます。 

寡婦年金と死亡一時金を比較した場合、受け取れる金額が多いのは寡婦年金です。寡婦年金は死亡一時金よりも受給要件のハードルが高くなりますが、寡婦年金を受給できるかどうかも、確認しておくといいでしょう。 

死亡日の翌日から2年以内に手続きしないと失効

死亡一時金は死亡日の翌日から2年以内に手続きしないと、受給権利が失効してしまうため、注意が必要です。死亡一時金を受給する場合は、なるべく早めに手続きしておきましょう。 

また、失踪宣告を受けた方の死亡一時金を受給する場合は、失踪宣告の審判の確定日の翌日から2年以内が期限となります。 

死亡一時金は2年に以内に必ず手続きを

死亡一時金について、受給要件や請求手続き、注意点を紹介しました。ご家族が亡くなられたときは悲しみが大きく、やらなければいけないことも多いため、バタバタと時間が過ぎてしまいます。 

ですが、死亡一時金の請求には2年という期限があるため注意が必要です。死亡一時金は受給要件がそれほど厳しくないため、状況が落ち着いたら忘れずに申請してください。