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これであなたも「iDeCo」のプロ!個人型確定拠出年金の正しい理解と上手な活用方法を丁寧に解説



日本には数多くの資産形成術や年金システムがあります。ここではそのうちのひとつである「iDeCo」を取り上げて、

・そもそもiDeCoとは何か

・iDeCoの運営方法

・iDeCoの加入方法と対象者

について解説していきます。

iDeCoとは、年金システムのうちのひとつ

まず、「iDeCoとは何か」から説明していきましょう。

iDeCoは、“individual-type Defined Contribution pension plan”の略称であり、「イデコ」と読みます。日本語に訳すると、「個人型確定拠出年金」となります。

この訳した名称からも分かるように、iDeCoは、年金システムのうちのひとつです。ただこれを理解するためには、日本の年金制度について理解しておかなければなりません。

日本の年金制度は、3階建てであると表現されています。

1階部分は「国民年金」であり、会社員でも自営業者でも専業主婦(専業主夫)でも全員がこれに加入しています。この国民年金への加入は、20歳以上の人間すべてに課せられているものであり、国民の義務でもあります。

そして2階部分には、「厚生年金(会社員)」あるいは「国民年金基金(自営業者)」が来ます。なお、専業主婦(専業主夫)には、厚生年金や国民年金基金はありません。この2階部分までが、公的年金と呼ばれるものです。

さらに3階部分には、「私的年金」と呼ばれるものが積み重ねられています。たとえば企業年金などがこれにあたります。私的年金は、加入している人もいれば、加入していない人もいます。勤め先や、本人の資産運用方法によって、3階部分があるかどうかは異なります。

これを理解したうえで、「iDeCo」について見ていきましょう。

iDeCoは国が積極的に取り上げている年金システムですが、これは上で述べた年金制度の3階「私的年金」に分類されるものです。つまり、iDeCoへの加入は完全に任意であり、これを利用するかどうかは個人の判断にゆだねられています。

iDeCoは比較的新しい制度であり、2001年の10月1日から制度が始まりました。現在よく取り上げられているNISAに先駆けること13年前に作られた制度ですが、それでも、それほど古い歴史のあるものではありません。ちなみにかつては「個人型確定拠出年金」あるいは「日本版401k」 と呼ばれていましたが、国が親しみやすくするためにiDeCoに変えたという経緯があります。

iDeCoは、「待っていれば振り込まれるもの」ではない

iDeCoの基本を解説したところで、ここからは「それではiDeCoとはどういうものか」についてより細かく解説していくことにしましょう。

iDeCoの最大の特徴は、「国民年金や厚生年金/国民年金基金とは異なり、資産運用を自身の力で行う必要がある」という点にあります。

国民年金や厚生年金/国民年金基金は、その管理や運営を「年金積立金管理運用独立行政法人」が行っています(※2000年以前は旧大蔵省が直接運用)。

年金積立金管理運用独立行政法人は、厚生労働大臣から委託を受けて、年金の管理および運用を行っています。そこで出た収益を国に納めることで、年金制度を成り立たせている組織だといえます。

対してiDeCoの場合は、この国民年金・厚生年金/国民年金基金とは異なり、加入者自身が資産運用を行います。

その手順は、大きく下記の5ステップに分けられます。

1.自分自身で、掛け金額などを設定する

2.自分自身で決めた掛け金額に応じて、積み立てを行っていく

3.自分自身で選んだ運用商品(投資信託や保険商品などが代表例だが、定期預金も含む)で、掛け金の運用を行っていく

4.得た利益で老後の資金の準備を行う

5.年金を受け取る(原則60歳以上で受け取れるが、通算加入期間が10年を切る場合はこの限りではない)

特に注意したいのは、「自分で資産運用をしなければならない」という点です。また、資産運用に「100パーセント」はありません。資産運用をしていくなかで元本割れをする可能性もゼロではありません。このため、「きちんと加入期間があり、納付をしていれば、確実に一定額が受け取れる」という国民年金などとは、iDeCoはその性質が異なります。

ではなぜ、「自分自身で運用するという手間があり」「元本割れする可能性もゼロではない」iDeCoという制度が、資産形成術として有用だといわれているのでしょうか。

これは、iDeCoの持っている控除の大きさによるところが大きいといえます。

iDeCoの場合は、掛け金すべてが、所得控除の対象となります。所得は大きければ大きいほど所得税が高くなりますが、iDeCoの掛け金は所得税の対象外となるのです。

さらに、一般的な金融商品の場合は、運用益(その金融商品が値上がりなどをした場合に生じる利益のこと)に20パーセントの税金が課せられますが、iDeCoの場合はこれが免除されます。再投資を行う場合も非課税で行えるため、税金面の負担が少なくなります。

加えて、年金あるいは一時金としてiDeCoを受け取る場合も、控除が発生します。

もうひとつ補足して知っておきたいのが、「iDeCoの場合は、転職や退職などをしても、引き続き資産を運用できる」という点です。たとえば結婚や出産に契機に仕事を辞めたり、会社員から自営業者に変わったりした場合でも、会社勤めをしていたときと同じように、資産を運用していくことができます。

このようなメリットがあるため、iDeCoは多くの人に利用されているのです。

iDeCoの加入方法と対象者

iDeCoに加入したいと考えた場合、iDeCoを取り扱っている運営管理機関に連絡する必要があります。たとえば、信用金庫などがその代表例です。

なおこの運営管理機関の数は非常に多くありますが、国が管理している「iDeCoの概要」内のリンク(外部リンク)から確認することができます。

https://www.ideco-koushiki.jp/operations/

iDeCoに加入できる人は、以下のいずれかの条件を満たす人です。また、どの条件に合致するかによって、1か月の限度額も変わってくるので確認しておきましょう。

1.国民年金第1号被保険者(自営業者等) 68,000円

2.国民年金第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)12,000円~23,000円
・公務員は12,000円
・企業型DC(企業型確定拠出年金のこと。企業が毎月積み立てた掛け金で、会社員が運営する制度のこと)にのみ加入している場合は20,000円、加入していない場合は23,000円。
・確定給付型の年金(企業年金制度の種類のうちのひとつ)にのみ加入しているあるいは確定給付型年金+企業型DCに加入している場合は12,000円
※それぞれ、事業主掛け金額との合計の限度額あり

3.国民年金第3号被保険者(専業主婦・専業主夫など):23,000円

4.国民年金任意加入被保険者:68,000円
国民年金基金の掛金や国民年金の付加保険料を納付している場合は、それらの額を除く

なお、上でも述べたように、基本的にはiDeCoは60歳以上でなければ受け取ることはできません。iDeCoは、あくまで「年金システム」のうちのひとつだからです。ただし、「(法律で定められた)障がいを負った」「死亡した」という場合は例外です。

また、60歳時点でも加入期間が10年に満たない場合は、受け取れるまでの期間が延長されます。ただしこれは年齢によって軽減措置があります。たとえば61歳ならば加入期間は8年以上10年未満が必要とされていますが、62歳では6年~8年、さらに1年経つごとに必要な加入期間は短くなっていき、65歳になれば加入期間は1か月~2年と非常に短くなります。

iDeCoは、老後を豊かに生きていくための資産運用・年金制度のうちのひとつです。もちろんリスクはありますし、加入は義務ではありませんが、より豊かな老後をと考えるのであれば検討すべき制度のうちのひとつだといえるでしょう。