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永遠に残る「デジタル遺品」について考える:スマホやPCに残された想い出の品々が語りかけるあなたの人生

死ぬとき、人は多くのものを残していきます。そのなかには有形のものもあれば、無形のものもあります。

今回は少し特殊な意味を持つ「デジタル遺品」について取り上げていきます。

デジタル遺品とは何? その意味と代表例

デジタル遺品とは、「スマートフォンやパソコンおよびそれらのなかに残っているデータ」を指す言葉です。インターネットの利用率が89.8パーセント、利用端末のうち「スマートフォン」が63.3パーセント、「パソコン」が50.4パーセントとなっている現在、多くの人がこの「デジタル遺品」と無縁ではいられません。

デジタル遺品の種類は、下記のように大別できます。

1.金銭に関わるデータ

クレジットカードの登録情報や財務状況の記録、電子マネーなどがこれにあたります。また、「自分がどのような財産を持っているかをスマートフォンで管理している」「ローンの返済状況をパソコンで管理している」というケースでは、このようなものもデジタル遺品のうちのひとつにあたるでしょう。

2.サブスクなどの契約

これは厳密には「デジタル遺品」とは言い難いかもしれません。しかし非常にトラブルになりやすいものであり、かつスマートフォンやパソコンで管理されることが多い分野ですから、ここで取り上げます。

サブスクなどに代表されるように、現在は「インターネットで契約が完結し、お金を払うことでサービスを受け続けられる」という商品がよくあります。これらをスマートフォン1台で管理している人は、決して少なくないでしょう。

3.SNS

SNSで友人とつながっているという人は、非常に多いといえます。そのなかにはリアルに顔を合わせた人もいるでしょうし、画面越しにだけお付き合いしている人もいるでしょう。

SNSの人間関係は、家族であっても把握が難しいものです。また、「何度も一緒に遊びに行っていて、旅行もしているけれど本名は知らない」などのような特異な関係性が築かれることもあります。

4.連絡先情報

3とも関連しますが、スマートフォンなどで連絡先を一括管理している人もよくみられます。

「電話帳」「アドレス帳」などの紙媒体で相手の情報を管理する人ばかりではなくなり、電話番号も住所も関係性もすべてスマートフォンにだけ入力している、というケースも珍しくありません。

5.写真や好きな音楽など

デジカメでの撮影やスマートフォンでの撮影が当たり前となった現在、これらの管理も端末の中だけで完結するようになっています。

「ここ数年、写真をプリントアウトした記憶は1度もない」という人も多いのではないでしょうか。

6.趣味のもの

家族にも言わないで集めていた小説や写真、まんがなどがパソコンにぎっしり詰まっている……というケースも少なくありません。また、日記などのように極めてプライバシー性の高いものをパソコンなどで管理している人もいることでしょう。

デジタル遺品の管理・継承が必要な理由

これらのデータは、「自分が死んで『デジタル遺品』になってしまった場合、どうすべきか」を考えておくべきものです。

その理由は以下のとおりです。

1.金銭の動きがわからなくなる

端末上のみで金銭・財産を管理していた場合、残された家族がこれを把握することが難しくなります。形のある「遺産」の継承のときに非常に手間取り、場合によっては相続人同士の間に軋轢が起こりかねません。

また、サブスクなどは「その人が死んだら自動的に止まるもの」ではありません。きちんと契約の解除を申し出なければなりません。しかしパスワードがわからなかったり、そもそもどんなサービスに加入しているのかわからなかったりした場合、「だれも利用しないサービス」にお金を払い続けなければならなくなります。

特に「金銭に関わるデータ」「サブスクなどの契約」は、このような問題が生じやすいといえます。

2.訃報がいきわたらない

これは「SNS」「連絡先情報」に関わるものです。

人が死んだことは、だれかが告知しなければ伝わりません。「何度も連絡しているのに、あの子と連絡がつかない。でも何度も連絡をすると逆に嫌われてしまうかも……」と、大切な友人を死後にまで不安に思わせてしまう可能性もあります。

3.知られたくなかった情報が知られてしまう

趣味のデータや日記などのなかには、人に知られたくないものも多いことでしょう。しかし適切に処理をしていなかった場合、これらがほかの人の目にさらされてしまうことになります。

また、「故人の写真が見つからず、遺影が作れない」となることもあります。

このような状況に陥ることを避けるために、デジタル遺品の管理をしっかり行わなければなりません。

「人に知らせたいことがきちんと伝わるようにする」を目的とするのであれば、利用しているサービスやそのパスワードをエンディングノートに残しておくようにするとよいでしょう。死後事務委任契約を使うのがもっとも確実です。

逆に、「人に知られたくないことがきちんと抹消されるようにする」を目的とするのであれば、「正しいパスワードを入れないと、あるいは●日以上ログインがないと、自動でデータが削除されるサービス」などに加入しておくことをおすすめします。