葬儀や緊急の手続きが終わり、少し落ち着いたら
葬儀や書類の提出が済み、精神的に少し余裕が出てきたら、
この記事では、ご家族が亡くなった直後から、1日以内、5日以内、7日以内、14日以内の緊急性の高い手続きを解説します。
死亡直後〜14日以内 やることリスト
いつ | どこで | 何をする |
1ヶ月以内に | 電気会社 ガス会社 水道会社で | 電気・ガス・水道の名義変更、解約をする |
1ヶ月以内に | インターネット回線事業者 プロバイダで | インターネットの名義変更、解約をする |
1ヶ月以内に | 携帯電話会社で | 携帯電話を解約する |
1ヶ月以内に | クレジットカード会社で | クレジットカードを解約する |
3ヶ月以内に | 家庭裁判所で | 遺言書の検認、開封の申し立てをする |
3ヶ月以内に | 生命保険会社で | 死亡保険金を請求する |
3ヶ月以内に | 家庭裁判所で | 相続放棄や限定承認の申し立てをする |
3ヶ月以内に | 税理士事務所 弁護士事務所で | 相続財産調査と相続人調査をする |
1ヶ月から3ヶ月以内に行うべき手続き一覧
1か月以内に行うべきこと
■《1ヶ月以内》電気・ガス・水道の名義変更、解約をする …電気・ガス・水道
電気・ガス・水道の公共料金は、誰も使わないなら解約、遺族がそのまま使うなら名義変更が必要です。
亡くなった人の口座は死亡とともに凍結されて使えなくなりますので、振替口座の変更も必要です。葬儀、必要書類の提出が落ち着いたら、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。
■《1ヶ月以内》インターネットの名義変更、解約をする …インターネット回線事業者、プロバイダ
インターネットの契約者が亡くなったら、誰も使わないなら解約、遺族がそのまま使うなら名義変更が必要です。
電話回線を利用していて回線契約をしていなかった場合、プロバイダ側のみの手続きを行います。事業者によって、違約金がかかったり解約日までの利用料を請求される場合があるので、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。
■《1ヶ月以内》携帯電話を解約する …携帯電話会社
亡くなった人が携帯電話を使っていたら、死亡を証明する公的な書類(住民票除票、死亡診断書のコピー等)を携帯電話会社に持参し、解約手続きを行います。
解約するまで利用料金を請求される場合が多いので、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。携帯電話の端末本体は解約後に持ち帰り可能なので、相続手続きのトラブル防止のためにも端末データは必ず手元に残しておきましょう。
■《1ヶ月以内》クレジットカードを解約する …クレジットカード会社
亡くなった人がクレジットカードを使っていたら、解約の手続きを行う必要があります。
手続き方法はカード会社によって異なるので、クレジットカードの裏面に記載されているコールセンターの電話番号に問い合わせて確認しましょう。未清算金や返済額などが残っている場合、相続放棄をしない限り相続人に支払いの義務が発生するので、解約の時に合わせて確認しましょう。不正利用防止のためにも、1ヶ月以内に速やかに行いましょう。
3か月以内に行うべきこと
■《3ヶ月以内》遺言書の検認、開封の申し立てをする …家庭裁判所
自宅で見つかった遺言書は、家庭裁判所で「検認」の申し立てを行い、開封する手続きが必要です。
遺言書の検認:
自宅などで自筆の遺言書が見つかったら、家庭裁判所にて「検認」の申し立てをすることが法律で義務づけられています。
もしも勝手に遺言書を開封すると5万円以下の過料がかかりますので注意してください。
申し立て先の家庭裁判所は「遺言者の最終の住所地を管轄する家庭裁判所」です。申し立てに必要な書類は「検認申立書、遺言者の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍謄本、相続人全員分の戸籍謄本」です。
申し立て申請後、家庭裁判所から相続人全員に対して「検認期日」が連絡されます。申し立てをした本人は指定された日時に家庭裁判所に必ず行く必要がありますが、それ以外の相続人は全員が出席してなくても問題ありません。
指定された日時に家庭裁判所に行き、相続人の立ち会いのもとに遺言書を「開封」します。検認と開封が終わったら、家庭裁判所に「検認済証明書」を申請して遺言書に添付してもらって終了です。検認済証明書がついていないと不動産の登記や銀行での預金払い戻しなどに応じてもらえないので必ず申請しましょう。
家庭裁判所に申し立てから検認期日の確定まで1〜2ヶ月かかるので、速やかに手続きを進めましょう。
なお、公正証書遺言は、公証役場に原本が保管されているので、家庭裁判所の検認を経ずに開封しても法的に問題ありません。
■《3ヶ月以内》死亡保険金を請求する …生命保険会社
死亡保証付きの生命保険に加入していた被保険者が亡くなったら、保険会社に連絡して必要書類を送り、死亡保険金を請求しましょう。
死亡保険金は受取人の固有の財産となります。相続財産に含まれないので、相続人同士で分け合う必要がありません。しかし、死亡保険金は相続税法上「みなし相続財産」と扱われ、相続税が課されます。つまり、相続財産ではないため他の相続人と分け合う必要はありませんが、受取人の相続税の計算上は相続財産とみなされ相続税が課税されます。このように、相続税の調査に関わってくるので、速やかに死亡保険金を請求しましょう。
■《3ヶ月以内》相続放棄や限定承認の申し立てをする …家庭裁判所
財産を全て引き継がない場合は「相続放棄」、プラスの財産の範囲内でのみマイナス分も含めて財産を引き継ぐ場合は「限定承認」を家庭裁判所に申し立てします。3か月を過ぎると、自動的に単純承認をしたものとみなされるので、3ヶ月以内に行いましょう。
ただし、「限定承認」は必ず相続人全員が意見を一致し、家庭裁判所に申立をする必要があります。限定承認は手続きが非常に複雑なので、検討する際は専門家に相談しましょう。
■《3ヶ月以内》相続財産調査と相続人調査をする …税理士事務所、弁護士事務所
遺産分割協議をスムーズに進めるために、相続財産と相続人を明らかにしましょう。
相続財産調査:
相続を進めるためには、まず、亡くなった人の財産状況を全て調査する必要があります。現金、銀行口座、不動産、有価証券、保険、車両、骨董品、さらに、借金などの負債まで、プラス財産もマイナス財産も全て明らかにします。
相続人調査:
遺産分割協議は法定相続人が一人でも欠けていると無効になります。法定相続人は、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本類を順番に取得していくことによって明らかにできます。
相続財産と相続人は、手間と時間をかければ相続人自身でも調べられます。しかし、税理士や弁護士など専門家に依頼するほうが抜け漏れや間違いがありません。確実な調査を行うために専門家に任せるのがおすすめです。
契約面の確認、遺言書の検認や調査を早めに!
死亡直後の手続きが落ち着いたら、故人の名義で契約していたインフラや携帯電話の変更手続きをなるべく早く済ませないと、不要な費用がかかってしまったり、相続トラブルにつながってしまう場合があります。なるべく早く確認して、手続きを進めましょう。
そして、10ヶ月以内に相続を完了させるために、遺言書の検認や相続人の調査もこの時期に進めておくのが賢明です。遺言書がない場合は、相続人全員が集まって遺産分割協議をすることになりますので、実態の調査をするのに早すぎることはありません。どうしていいかわからない場合は、司法書士や弁護士など、相続のプロに相談して進めましょう。