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自分の人生の軌跡を記録する自分史作成の重要性と、エンディングノートとの違いにつ いて詳しく解説

自分史とは?

自分史という言葉は広く知られていますが、そもそも自分史とは何なのでしょう。自分史とは、一人の人の生い立ちから現在までをまとめたものです。そこには、事実だけではなく、その人の考え方や気持ちなども含まれます。

自分史はもともと、第二次世界大戦後に一般市民がそれぞれの体験を書き残した運動がきっかけだと言われています。当時は、戦争の記録としての意味合いが強いものでした。

1970年代に入り、歴史家の色川大吉さんが『ある昭和史 自分史の試み』という本を出版されます。そこから中高年を中心に自分史ブームが起り、広く一般に知られることとなりました。

1990年代に入ると、自費出版やインターネットの普及により、自分史の作成や公開が手軽になりました。個人が自らの体験や思いを書き残すことが容易になり、自分史作成の機会が広がりました。

近年では、自分史を終活の一環として作成される方も増えてきました。それに伴い、自分史の書き方、というような本も数多く出版されています。自分史作成アプリや自分史作成を請負う会社なども増えているようです。

自分史を作成する意義とは?

私たちは日々、経験を積み重ねていますが、それらの出来事やその時感じた思いは徐々に薄れていってしまします。自身が経験した出来事、その時の感情を思い出し自分史としてまとめることは、あなたにとって複数の意義があります。本記事では特に重要な3つをお伝えします。

あなたのこれまでを客観的に振り返ることができます

私たちは、日々の生活を送る中で失敗や成功といった経験をしたり、喜びや悲しみといった気持ちになったりします。自分史を作成するとことで、過去の経験を整理すると同時に、そのとき感じてきた気持ちを整理することができます。そうして、そのとき感じた気持ちをあなた自身が受け止める手助けをしてくれます。過去の出来事や感情を思い出して、言葉にすることで、あなたはどんなことを考えて行動したのか、どう思っていたのかなどを客観的にとらえることができます。それによって自己理解が深まり、自信を持つことにもつながります。自己理解が深まり、自信が持てると、これからの人生で行いたいこと、行うべきことを考えるきっかけにもなります。

あなたの人生の価値を再認識できます

自分史を作成することで、あなたの人生の価値を再認識することもできます。過去に成し遂げたこと、乗り越えた困難、今までの経験から学んだこと、人々との関わりなどを振り返っていると、自身の人生とはなんだったのか、というような問いが湧いてくることがあります。その問いが人生の価値について深く考えるきっかけになります。

また、完成した自分史を見返すことも人生の価値を再認識する一つです。完成した自分史には、過去の成功体験、克服した困難、自身の成長、家族や今まで関わった人たちへの思いなどが載っています。自分史を読み返すことで、手軽に自身のことを振り返ることができるため、いつでも人生のかけがえなさや価値を再確認できるのです。これからの自己成長のためのヒントも得られるかもしれません。

ご家族、大切な人たちへのメッセージとして活用できます

自分史は、次世代の人たちにあなたが経験してきたことや、そのとき感じた気持ちを伝えることができる大切な記録です。子供や孫、その次の世代にあなたの生い立ちや成長の過程を知ってもらうことができるツールです。それが、家族の歴史や価値観を伝えることにもなります。

また、自分史は、あなたの人生の中で特に大切な人たちへの感謝や思いを伝える手段としても使えます。人生のパートナーや、子ども、孫、古くからの友人、尊敬する人々への思いを自分史に書いておけば、彼らに感謝の気持ちを示すことができます。自分史を通じて、感謝、敬意を伝えることで、あなたの自分史を読んだ人たちも嬉しくなったり、自信がついたりするかもしれません。それにその人たちも自分自身を振り返るきっかけになるかもしれないですね。

エンディングノートとの違い

自分史は、あなたの生涯や人生の物語を記録することを目的とした文書だと考えてよいと思います。自分史には、あなたの成長、人生の節目や転機、喜びや悲しみなど、幅広い情報を掲載することができます。

一方、エンディングノートは、具体的な遺言や最期の意思を伝えるための文書です。医療や介護の意向、遺産の処理、葬儀や埋葬の希望、親族へのメッセージなど、具体的な事項を記載します。あなたの意思を記載することで、遺族や関係者に負担をかけず、スムーズな手続きを行ってもらうためのものになります。

自分史はあなたの生涯や人生の物語を記録、伝えることに焦点を当てているため、どちらかというと、自分のために作成する、という意味合いが強くなります。一方、エンディングノートは最期の意思や具体的な事務手続きに関する情報を伝えることに焦点を当てているため、親族のために作成するという意味合いが強くなるのです。

自分史とエンディングノートには、重複する部分もありますが、そうではない部分も多いため、それぞれに作成されることをお薦めします。

まとめ

もともと自分史は第二次世界大戦の記録としての意味合いが強かったですが、近年では終活の一環として、作成する人たちが増えています。
自分史を作成することで、自己理解が深まったり、人生の価値を再認識することができます。また、家族や大切な人たちへ向けたメッセージとしても活用できます。
エンディングノートは具体的な意志や手続きに関する情報を記載しますが、自分史は幅広い情報を載せることができるのが利点です。