急に家族が亡くなってしまった場合、家計に入る月々の収入が減ってしまい、生活が厳しくなってしまう場合があります。そういった時は、遺族年金の請求を検討しましょう。遺族年金は、一定の条件を満たした遺族が受給することができる公的年金です。今回は、遺族年金の概要から請求の方法、さらに請求する際に気を付けたいポイントについてご紹介します。
遺族年金とは
遺族年金には大きく分けて遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、被保険者が加入していた年金の種類や加入期間によって遺族が受給できる年金の種類が変わります。なお、どちらの年金の受給条件も満たしている場合には、両方の年金を受給することができます。
遺族基礎年金
遺族基礎年金は、以下の要件を満たす人物が亡くなった際に遺族が受給できる年金です。
・国民年金の被保険者(*)
・国民年金の被保険者だった方で、60歳以上65歳未満かつ日本国内に住所を有し
ている人物(*)
・老齢基礎年金の受給権者であった人物
・老齢基礎年金に受給資格を満たした人物
(*)亡くなった日の前日時点で、年金納付済期間が国民年金加入期間の2/3以上
必要です。
遺族基礎年金の受給資格がある遺族は、亡くなった人物に生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に限られます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は、以下の要件を満たす人物が亡くなった際に遺族が受給できる年金です。
・厚生年金保険の被保険者(*)
・被保険者期間中にけがや病気の初診日があり、そのけがや病気が原因で初診日
から5年以内に亡くなった人物(*)
・1級・2級の障害厚生年金の受給権者
・老齢基礎年金の受給権者であった人物
・老齢基礎年金に受給資格を満たした人物
(*)亡くなった日の前日時点で、年金納付済期間が国民年金加入期間の2/3以上
必要です。
遺族厚生年金の受給資格があるのは、亡くなった人物に生計を維持されていた遺族の内、優先順位順に以下の通りです。
・妻
・子
・子のいない妻(**)
・55歳以上の夫
・父母
・祖父母(***)
(**)夫が亡くなった際に30歳未満の場合、夫が亡くなってから5年間しか受給
できません。
(***)原則として60歳からの支給開始となる。
遺族年金の請求方法
遺族年金の受給請求をする際は、まず必要な以下の書類を用意します。遺族基礎年金、遺族厚生年金いずれを請求する場合でも、必要な書類は一緒です。
・年金請求書(国民年金機構HPに様式があります【遺族基礎年金】【遺族厚生
年金】)
・年金手帳(亡くなった方と請求者いずれも必要です)
・年金証書(受給権がある場合のみ、亡くなった方と請求者いずれも必要です)
・亡くなった方と請求者の親子関係、身分関係を確認できる書類(戸籍謄本な
ど)
・世帯全員の住民票の写し(*)
・亡くなった方の住民票の除票(世帯全員の住民票に含まれていない場合のみ)
(*)
・請求者の収入が確認できる書類(*)
・子の収入が確認できる書類(*)
・亡くなった方の死亡診断書の写し、または死亡届の記載事項証明書
・年金受け取り先金融機関の通帳
(*)請求書にマイナンバーの記載があれば、提出は不要です。
また、亡くなった方の死亡の原因が第三者の行為によるものである場合は、以下の書類が追加で必要となります。
・第三者行為事故状況届
・交通事故証明、または事故が確認できる書類
・確認書
・扶養していたことが分かる書類(亡くなった方が被扶養者である場合)
・損害賠償金の算定書
書類の準備が出来たら、お近くの年金事務所へ提出しましょう。郵送もできますので、都合の良い方法で提出しましょう。提出後、約1か月で年金事務所での手続きが完了します。その後、請求者の元へ年金証書が送付され、そこから約50日後から初回の年金支払いが始まります。
遺族年金を請求する際に注意したいポイント
遺族年金の受給資格は、権利発生から5年で消失します。例えば、被保険者が亡くなってから5年経過後に遺族年金の受給請求をした場合、それまでの5年間分の遺族年金は受給できません。そのため、遺族年金の受給資格がある場合は早めに請求を行うようにしましょう。
遺族年金の受給資格には様々な条件があります。例えば、遺族基礎年金は「子のいない配偶者」には受給資格がありません。また、遺族厚生年金は「子のいない配偶者」でも受給できますが、30歳未満の場合は5年間しか受給できません。もしもの場合に、自分はどの遺族年金をどれだけ受給できるかを確認し、万一のために備えをしておくと安心です。
まとめ
今回は、遺族年金の概要や、受給請求の方法についてご紹介しました。遺族年金は、急に家族が亡くなった際に家計の助けとなる非常に有効な社会保険制度です。しかし、受給資格に条件がある等、制度の利用に限界があるのも事実です。今回の記事を参考にしていただき、万が一の場合にご自身がどの遺族年金を受給できるのか、不足する部分はどう備えるか、今一度考え直すきっかけにしていただければ幸いです。