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不動産の価値算定の為の計算方法と相続トラブルについて

「亡くなった後のこの持ち家、一体どうすれば…」 

年齢を重ねると自分の最期をどう遂げようか考え始めるも、資産整理を進めるための課題は多く、頭を抱えがちです。特に選択肢の多い不動産は、自身が亡くなったあとの行方を考えて不安になる方も多いのではないでしょうか。近年は高齢化社会が進むと共に、より良い形で自分の最期を迎えたいと、早くから終活をスタートする動きが高まっています。そんな中、皆さんが最もぶつかる課題となるのが『不動産売却相続』です。 

亡くなった後の遺言書に不動産相続に関する記載のない場合、相続人間の話し合いの中で相続方法を話し合わねばなりません。しかし、不動産は現金のように分割できないことに加え、価値が流動的であるため明確な基準のない資産。いざ価値を決める際に親族間の話し合いだけではなかなかまとまらないなんてことに。 

それでは一体、不動産価格はどのようにして算出すればいいの?と悩みますよね? 

ここからは、円滑に不動産相続を進めるために、生前に知っておきたい!『不動産価格算定』について一緒にみていきましょう。 

不動産価格算定とは? 

不動産の相続は、不動産価格と相続税を算出してその価値を評価しますが、不動産評価は目的によって、それぞれ異なる計算方法が用いられます。 

【不動産評価指標】 

①公示価格・・・国土交通省が定める特定の標準地について、通常成立するであろうとされる価格(時価) 

②固定資産税評価額・・・固定資産税や登録免許税、不動産取得税等の課税標準とするために定めた価格 

③路線価・・・国が相続税・贈与税の課税を算出するために定めた価格 

④実勢価格・・・実際に取引が成立する価格 

このうち、不動産売買における土地の評価額を知りたい時には、時価と言われる「公示価格」と、実際取引される価格の「実勢価格」を参考にします。しかし、実勢価格は「生活の便利さ」「治安」など土地が持つ複数の要素が絡み合って評価されるため、実際取引するまでは予測不可能。また、金額も流動的なため、公示価格と実勢価格に数倍の差が出てしまうなんてことも珍しくありません。 

一方、相続税の算出は「路線価」を指標に評価します。路線価は、国税庁が公開している路線価図から自分で調べることが可能で、実勢価格の80%程度の価格水準とされています。不明確とされる実勢価格ですが、この路線価が分かれば、実勢価格も大体の価格が分かるということですね。しかし、先程も述べたように、実勢価格は変動するのであくまで目安にしか過ぎないものとなりますので、算出時には注意が必要です。 

不動産評価を算出するまでの流れとは?時にはプロの手を! 

不動産の価値は、上記で述べた評価方法を基にすれば、どなたでも評価を算出することができます。しかし、特例の多い相続の場合に限っては非常に複雑です。その物件の周りにどれだけ物件があるのかや土地の情勢を調べたり、市区町村から資料をかき集めるための手間と労力を考えると、素人にはとても容易な作業ではありません。 

そこで、正確で信頼性の高い不動産鑑定士に鑑定を依頼することをオススメします。 

先程も述べたように、不動産は例外なケースが多いのが特徴。「誰に頼むか」で大幅に評価額が左右することも珍しくありません。よく相続のことだからと税理士に依頼するというケースも聞かれますが、会計を専門にする税理士が土地の相続税計算時に用いる路線価×面積の計算だけでは、実際の評価よりガクッと下がってしまうなんてことも。売却が終わった後に、実は価値の高いエリアだったことが発覚し、大きく損していたとなれば、相続間トラブルになりかねません。 

これに対して、不動産鑑定士は不動産の専門家!不動産鑑定士用の情報に基づき公正な価値を判定し、「不動産鑑定評価書」という公的な証明力の高い書類を作成して時価を決定してくれます。不動産鑑定士に依頼する流れとしては、インターネットなどで調べるのはもちろん、不動産鑑定士と提携した税理士法人もありますので、一度ご相談してみるのが良いかと思います。 

相続トラブルにならない為にも! 

不動産は流動的な資産のため、将来的な価値を予測することは不可能です。また、遺産分割の為の価格算定は方法も決まっていないため、誰がどのようなタイミングで、どの評価基準を用いて算定するかどうかで、大きく損することにもなりかねません。不動産は資産の中でも大きなウェイトを占めるものになります。税金計算時には低価格で設定し、不動産を売買時においては高値で売りたいものですが、いざ相続するとなって正しい評価方法を知らないと、大幅に損してしまうなんてことも…不動産相続トラブルで、親族間の関係が疎遠になったケースも多く聞こえてきます。 

平等に分配するために、生前のうちにご本人と相続する方たちとの間で不動産算定方法の認識を統一させ、スムーズに行えるように準備しておきましょう。