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財産調査の調査と申し立ての期限|限定承認と相続放棄についても解説

​ご家族が亡くなり、葬儀が終われば故人との思い出を思い浮かべながら気持ちの整理を行いたいところですよね?しかし、相続が開始するような場合にはそんな間も許されず、相続人は単純承認、限定承認、相続放棄の選択が迫られます。近年は家族の在り方や価値観も大きく変化しており、自立して親と疎遠になっている方や、配偶者がいない1人世帯の高齢者が増加していることを背景に、いざ両親の死に直面した際「親の財産状況を全く把握していない」なんて声も多く聞かれます。ましてや、突然の死ともなれば遺言や財産目録のようなものなんて手元にない状態…一体どのように遺産を分散すればよいのでしょうか。 

このような場合、遺族達によって必ずといって行わなければならないのが「相続財産調査」です。 

ここからは、相続財産の調査方法から、スムーズに手続きを進めるための手順まで詳しく解説していきます! 

相続財産の調査とは? 

人が亡くなり相続が発生すると、遺族たちはすみやかに遺産分割協議を行い、故人の所有する財産を分ける手続きを進めなければなりません。この相続手続きを始めるにあたり行わなければならないのが、故人がどのような財産をどれだけ持っていたのかを調べる相続財産調査になります。 

特に多額の負債があるような場合、相続財産調査は早めに取り掛かる必要があるとされています。その理由は一体何故なのかみていきましょう。 

申し立てに期限があるから 

相続人はプラスになる財産はもちろんですが、故人が生前に残した借金をはじめとするマイナスの財産も引き継ぐことになります。万が一、故人に多額の負債あるような場合、相続人はその負債を引き継がないようにするため「相続放棄」か「限定承認」を期限までに選択しなければなりません。 

①相続放棄とは 
相続放棄とは、被相続人が残した一切の財産相続を拒否する方法です。期限として、相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立を行わないと借金を含め全の財産が自動的に受け継がれてしまいます。 

②限定承認とは 
限定承認とは、全ての相続財産から借金などマイナスの財産を清算し、残ったプラスの部分のみを相続する方法で、被相続人の債務を返済する必要がないというメリットを持ちます。しかし、こちらも相続放棄と同じく相続開始から3ヶ月以内に申立を行わなければならない事に加え、相続人全員で行う必要があります。プラ財産<借金が考えられるケースには、限定承認を選択しておくことが安心ですが、一人でも単純承認をする人がいれば成立しませんので、こちらを選択する場合はトラブルにならないよう相続人間でしっかり話し合うことが大切です。 

把握していない財産がある可能性があるから 

被相続人の財産は、遺言書や財産目録があったとしても果たしてそれがすべての財産であるかどうかは不明確です。遺産分割協議を行った後、また新たな遺産が見つかったとなれば再び協議を始めないとなりません。相続人が複数名いるような場合、改めて全員を集めないとならず、非常に手間と時間を要してしまうため、スムーズに協議を行うためにも相続財産調査を行う必要があるのです。 

正確な相続税の申告を行う必要があるから 

遺産を相続するとなると、もちろん相続税がかかってきます。万が一、後々遺産が見つかるようなことがあれば、相続税の追加徴収されたり、延滞税や過少申告加算税がかかるような事態になってしまいます。これらを防ぐためにも正確な相続財産を把握しておくことが必要なのです。 

相続財産調査進めるための手順を解説! 

財産調査を行うには、まず被相続人の自宅などから相続遺産の証拠となる手がかりとなる書類を捜索します。 

①銀行など金融機関の通帳、キャッシュカード 

②保険会社からの契約書、証券会社からの通知 

③不動産の課税通知書  

④借用書 など 

また、Web上に履歴が残っていることもありますので、メールやスマホアプリを探すなど携帯のチェックも欠かさず行いましょう。 

相続財産手続きを円滑に進めるためにのポイントとは? 

相続財産は、被相続人が生前にその財産の所在を明らかにしていればスムーズに勧めることが可能ですが、それらが明確ではない場合には、全て相続人が調べなくてはならず、想像以上の手間と労力を要することになります。また、これらを限られた時間の中で行うにも限界があるでしょう。そんな時には、弁護士などの専門家に依頼することも可能ですので一つの選択肢として入れられることをお勧めします。特に、多額の負債があるような場合は、相続人たちが思わぬ借金を抱えてしまうことにも成りかねませんので、しっかり調査し、確認しておきましょう。