自分に万が一のことが起きた時に大切な人に向けてメッセージを考えている人は高年齢の人でなければ決して多くはないでしょう。日々の生活や仕事が忙しいため、突然に亡くなることを想定している人は少ないためです。
しかし、人生は何が起こるかわからず、明日、大切な人や大切な家族と会えなくなることもあります。本記事では、大切な人に向けて死後に読んでもらう手紙について、遺言書とエンディングノートの違い、ラストレターに書く内容、そしてどんなメッセージを残すかについてご紹介します。
死後に読んでほしい手紙について
もし、突然、自分がこの場で亡くなるとわかった時に、どうするでしょうか。多くの人はスマホを取り出してメールやLINEなどに大切な人や家族に向けて最後のメッセージを送ると思います。「今までありがとう」、「幸せだった」、「あとは頼む」などの一言が多いでしょう。
1985年に起きた日本航空123便墜落事故において、乗客乗員数524人のうち死亡者数は520人、生存者はわずか4人の悲惨な事故がありました。その時の乗客乗員の多くの人たちが死を悟り、大切な人や家族に向けて最後のメッセージを持っていた手帳やメモ帳に書き綴っています。
残される家族に向けて
「生きてくれ」
「元気でね」
「子どもをよろしく」
「さようなら」
「幸せな人生だったと感謝している」
といったメッセージを。
日本航空123便墜落事故は、誰も予期できるものではありません。しかし、起きてしまった事故に対して、今できることは大切な人や家族にメッセージを残すことでした。死後に読んでほしい手紙は、このように大切な人や家族に向けた最後のメッセージとなります。
遺言書やエンディングノートとの違い
最後のメッセージというと、遺言書やエンディングノートと混同されることがあります。遺言書は、自分の財産をどう分けるのかの意思を示した書面のことで、民法によって認められた相続における重要な文書となります。エンディングノートは、法的拘束力などはないものの、もしもの時に備えて、自分自身の情報や想いを書き留めておくものです。財産や現在契約している内容、SNSのアカウントなども書いておくことで、残された家族が死後の手続きをしやすくするために記述している人も多いです。
死後に読んでほしい手紙である「ラストレター」は、大切な人や家族に向けた最後のメッセージとなるため、遺言書やエンディングノートとは性格が異なるものとなります。
ラストレターに書いている内容
ラストレターは、書いた人や実際に受け取る人の両方に対して、心の強さを与えてくれるものです。それは「死」を実感することで強いメッセージとなるためでしょう。
ラストレターを書く時は、大切な人や家族に伝えたいメッセージを考えることになります。自分の人生で何が大事で大切なのかを考えるため、自分の人生と向き合うことになるでしょう。自分の「死」を考えるというのは、自分の人生を整理することに繋がります。人生の中で起きた、さまざまな出来事の中で本当に大切なものが何かを見つけることになり、これから生きていく上での心の強さになるでしょう。
ラストレターを実際に受け取る人にとっては、大切な人がいなくなった悲しみと自分のために残してくれたメッセージへの喜びが含まれたものになります。手紙には感謝の言葉や、今までの想いが書き綴られていたり、子どもたちとの幸せを願う言葉が記述されていたりするでしょう。大切な人からのメッセージによって、これから生きていく上での心の強さを与えてくれるものとなります。
どんなメッセージを残せば良いか?
ラストレターは、自分の想いを吐露することです。自分が死んでしまったら、大切な人や家族に何も伝えることはできなくなります。自分がいつ亡くなるかはわかりません。日本航空123便墜落事故のように、突然訪れるかもしれませんし、がんに罹患して余命宣告を受けて少しの猶予があるのかもしれません。その時に大切な人や家族のことを想った気持ちが伝えたいことになるでしょう。最後のメッセージは、気を張らずに見栄を張ることも必要ありません。ただ素直な気持ちで書きたいことを書けば良いのです。
ラストレターを書く上で自分に次の質問をしてみましょう。その質問の回答をヒントにして最後のメッセージとして文章にしてみると良いです。
・人生の中で一番思い出になっている出来事は何ですか?
・大切な人や家族に覚えておいてほしい特別なことは何ですか?
・人生で果たしてきた役割においてもっとも重要だったものは何ですか?・人生の中で一番誇らしく思ったことは何ですか?
・大切な人や家族に、伝えなければならないと思いながら伝えられていないこと、またはもう一度伝えておきたいことは何ですか?
・大切な人や家族に向けて希望することは何ですか?
・自分の人生で学んだことの中で、大切な人や家族に伝えておきたいことは何ですか?
質問に回答すると、大切な人や家族に向けたものが多いのではないでしょうか。その回答から、大切な人には幸せだった思い出や今までの感謝の気持ちをメッセージとして残すかもしれません。子どもには、これからの人生に向けて自分の人生で学んだ、「勇気」とか「努力」などの前向きなことをメッセージに残すこともあるでしょう。
このように、自分の気持ちを落ち着けて、自分が亡くなった後の大切な人や家族に向けて純粋な気持ちをメッセージに込めると良いです。
まとめ
終活は、高年齢になったら考えれば良いものではなく、若くても突然に亡くなることもあります。亡くなった後では、大切な人や大切な家族にメッセージを残すことはできません。後悔しないためには、あらかじめその時の気持ちをラストレターに綴っておくと良いでしょう。
日々の生活や仕事に忙殺されていると、何のために頑張っているのかもわからなくなることがあります。日々を意味あるものにするためにも、一度大切な人や家族に向けたラストレターを考えておくと自分を見失うことなく大切な人や家族のために頑張れるようになります。自分が亡くなってからではメッセージを残すことができないため後悔しないようにしましょう。