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生前贈与とは?贈与時の税金と手続きを解説

財産を受け継ぐ方法として一般的に知られている相続以外に、生前贈与の方法があります。

しかし生前贈与は贈与税がかかるため、利用している方が少ないのが現状です。贈与税は、贈与する財産によって納税額の計算ができ、ある一定額の財産であれば課税されません

その一定額の財産を含め、本記事では生前贈与について、手続きの流れや注意点を解説していきます。

生前贈与とは

生前贈与とは財産を所有している方が、別の人に財産を無償で贈与することです。財産の対象となるのは現金だけでなく、不動産や株式など、さまざまな種類を贈与できます。

しかし贈与する財産の価額によっては、課税対象となるため注意しなければなりません。一般的に贈与税は、110万円の基礎控除があるため、それを超える価額であれば課税され、納税義務が発生します。

相続との違い

財産を贈与するのであれば、相続と似ていると思う方も多いでしょう。実際は大きく異なるため、「生前贈与」と「相続」の違いをまとめました。

生前贈与を行うための手順とは

生前贈与を行うには以下の5項目の手順で進めていきます。

1. 誰にいくらの財産を贈与するか決める
2. 贈与税額の計算をする
3. 贈与を受ける側(受贈者)と贈与契約書を締結する
4. 財産を贈与する
5. 贈与税の申告を行う

誰にいくらの財産を贈与するか決める

贈与する財産を誰に渡すか決めましょう。先ほどもお伝えしたとおり、110万円の基礎控除額以下の財産であれば、課税されることはありません。しかし基礎控除額を超える財産の場合、贈与額によって税率が異なります。いくらの財産を贈与するかは事前に決めておきましょう。

贈与税額を計算する

贈与税は贈与した財産から基礎控除額を差し引いた額に、税率と控除額が差し引かれて納税額が決まります。

贈与財産-基礎控除額110万円×税率-控除額=納税額

税率と控除額は、兄弟や夫婦間、親から子どもなどに贈与する「一般贈与財産用」と、祖父から孫などに贈与する「特例贈与財産用」によって異なります。

仮に贈与する財産が400万円だった場合、
400万円-110万円=290万円
290万円×15%-10万円=33万5,000円と計算ができます。

また110万円の基礎控除額は、年間の贈与財産に対して控除されるものです。つまり1年に110万円までしか基礎控除ができないため、覚えておきましょう。

贈与を受ける側(受贈者)と贈与契約書を締結する

生前贈与する際は、贈与契約書を締結していた方が、確定申告時に便利です。また受贈者の合意も確認できるため、双方安心となるでしょう。贈与契約書は自身で作成することも可能ですが、弁護士や税理士などに依頼した方が安心できます。

財産を贈与する

現金などを贈与する場合、銀行振込などで口座履歴を残しておいた方がよいでしょう。締結した贈与契約書を紛失した場合、口座履歴があれば申告が可能です。

また不動産などを贈与する場合、法務局に登記する必要があります。登記は自分でもできますが、複雑なため司法書士などに委託する方がおすすめです。

贈与税の申告を行う

贈与税の申告は受贈者がします。110万円を超える贈与の場合、税務署に申告しなければなりません。申告の仕方がわからないようであれば、税理士などに委託することも可能なため、検討するとよいでしょう。

生前贈与で失敗しないための注意点

贈与したい相手に財産を渡せることが可能となる生前贈与ですが、受贈者は贈与税を計算して申告しなければなりません。

例えば、賃貸アパートなどの収益物件を贈与された場合、家賃収入などの収益ばかりに目がいってしまいます。しかし贈与税の申告時は、賃貸アパート自体が課税対象となるため、贈与された年の納税額は高くなってしまいます。

そのため贈与者と受贈者は、必ず贈与税の計算をしてから生前贈与を検討するようにしましょう。

まとめ

生前贈与について、流れや注意点を解説してきました。生前贈与は自身が希望する相手に財産を贈与することが可能です。一方で財産を受け取った受贈者は、贈与税の申告をしなければなりません。

無償で財産を受け取ったにもかかわらず、高額な贈与税が課税されることもあるでしょう。そのため贈与者と受贈者は、贈与税の計算を行ってから生前贈与することをおすすめします。

税金の計算が苦手な方や、生前贈与を委託したいという方は、弁護士や税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。