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不動産相続の際の価値算定方法を徹底解説!土地と建物の価値を算定する際の計算式や考え方を詳しく解説

相続財産には、動産もあれば不動産もあります。今回はそのなかから不動産を取り上げ、その価値の算定方法について解説していきます。

不動産の価値を算定するときの計算式について~土地の場合

不動産は、大きく「土地」と「建物」に分けられます。土地の価値の算定式と建物の価値の算定式は異なるので、まずは「土地の価値の算定式」から見ていきましょう。

土地の価値の算定式は、

正面路線価×奥行価格補正率×面積 で求められます。

少しわかりにくいので、まずは単語から補足していきます。

「正面路線価」とは、「道路に面している一般的な宅地の、1平方メートルあたりの価格」を指す言葉です。都心部などの土地の価格が高いところではこの数字が大きくなりますし、田舎などの場合は数字が小さくなります。

なお、正面路線価については国税庁のホームページで確認できます

なお、正面路線価が出されていない場合は、固定資産税評価額に倍率を掛けて価値を算出することになります。これも国税庁のホームページに記載があります。

同じ広さの土地であっても、形状によってその使いやすさは異なります。同じ1000平方メートルの土地であっても、100メートル×100メートルの土地もあれば、2メートル×500メートルの土地もあります。この場合、前者の方が「使いやすい土地」であることは自明の理です。使いやすさを考慮せずに正面路線価だけで計算してしまうと、この2つは同じ価値を持つと判断されてしまいます。そのため、土地の形状によって価値を減額しましょう、という考え方が出てきたのです。これを「奥行価格補正(率)」といいます。ちなみに最大で20パーセントの補正が掛けられます。つまり同じ土地であっても、0.8を掛けることができるようになるわけです。

「面積」に関しては、取り立てて説明の必要はないでしょう。同じ価値を持つ場所であれば、面積が広ければ広いほど、その宅地の価値が高くなる、というわけです。

不動産の価値を算定するときの計算式について~建物の場合

建物の場合の算定は、非常にシンプルです。

固定資産税評価額に1.0を掛けて求められます。つまり、「固定資産税評価額と同じである」といえます。

では、固定資産税評価額はどのように求められるのでしょうか。

これは、納税通知書で確かめるのがもっともシンプルです。

納税通知書には、「課税地積又は課税床面積-価格」と「家屋1」などのように記されており、ここで固定資産税評価額を知ることができます。

「新しく家を買う」という場合は、その新しい家の固定資産税評価額の概算を知るためには担当者などに話を聞く必要があります(ただしこの場合でも、1円のずれもない正確な数字を知ることは難しいので、「目安」と考えてください)。

ただ、「相続として不動産を引き継ぐ」という場合は、既存の住宅を受け継ぐことになりますから、固定資産税評価額はすでに出ていると考えてよいでしょう。

不動産を相続財産として受け継ぐ場合の留意事項

不動産であれ動産であれ、相続財産として引き継ぐ場合は「相続税」が発生するかのいう性があることに留意をしなければなりません。

相続税の税額は、相続財産から基礎控除額を引いた金額によって計算されます。

基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」によって求められます。たとえば法定相続人が5人いた場合、3000万円+600万円×5=6000万円までならば相続税はかからないというわけです。

ただし、この「相続財産」には、動産だけでなく不動産も含まれます。たとえば上のケースで、「現金は100万円しか残っていなかったが、7000万円分の不動産があった」という場合は、相続税を納める必要があるわけです。

ちなみに、相続する金額が大きければ大きいほど、税率は高くなります(最大で55パーセント)。控除額も大きくはなりますが、「受け継ぐ財産が大きいと、税金も高くなること」は覚えておくべきでしょう。

また、不動産には動産とは異なる難しさもあります。それが、「不動産は分割できない」ということです。

現金が1000万円あり、法定相続人たる子どもが5人いた場合は、単純計算で1人あたり200万円ずつを受け取れば済みます。

しかし不動産の場合は、「とても広い土地であり、分けて相続できる」などの特例を除き、分割して相続することは非常に難しいといえます。

このような場合は、

・不動産を引き継いだ者が、ほかの法定相続人に対して現金でその分を支払う

・不動産を売り払い、そこで得た現金を分ける

・法定相続人らの共同名義として、管理する

などの方法を検討しなければなりません。

このような特徴があるため、不動産の相続には動産の相続以上の難しさがあります。このことをよく理解したうえで、「どのように相続していくか」「残された人がもめない相続のやり方は何か」を考えていく必要があるでしょう。