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新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の特徴と活用法 – 旧NISAとの差異も解説!



資産形成に役立つ「NISA(新NISA)」は、多くの人の関心を集めているものです。2014年に始まったこれは、2024年の1月1日から新しいかたちに改正されたものの、「定められた金額以内であるのなら、非課税で保有できる」という特徴は変わっていません。

ここではこのNISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を取り上げて、それぞれの特徴などについて解説していきます。

※NISAには、2023年の12月31日まで運用されていたものと、2024年の1月1日から運用されているものがあります。ここでは主に2024年から運用されているものを取り上げますが、便宜上、前者を「旧NISA」、後者を「新NISA」とします。

新NISAの「つみたて投資枠」とは

新NISAの導入に関しては、旧NISAに比べて、より自由度が高く、より非課税保有期間が長くなるようにとシステムの見直しが行われました。その結果、非課税保有期間は旧NISAよりも新NISAの方が長く、年間非課税枠も大きく広がりました。

新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つがあります。まずは「つみたて投資枠」の方から見ていきましょう。

つみたて投資枠は、主に「長期的な積み立て」を見据えたものです。分散投資に向いている投資信託を指す言葉であり、投資が初めての初心者であっても取り組みやすいものです。

つみたて投資枠の年間投資枠の上限は120万円と決められています。なお詳しくは後述しますが、新NISAにおいては、「つみたて投資枠+成長投資枠」で、合計で18,000万円 までを「非課税保有限度額」としています。これを利用して、総額で1800万円までをすべてつみたて投資枠で利用することも可能です。

なおこの「つみたて投資枠」は、旧NISAによる「つみたてNISA」と似た性質を持っています。ただしつみたてNISAの場合は、新NISAのつみたて投資枠(新NISAのつみたて投資枠の非課税保有期間は「恒久的(『ずっと』)」)よりも非課税保有期間が短く、20年間と定められていました。また、年間非課税枠も40万円までと決められていました。

つみたて投資枠(2024年~)つみたてNISA(2018年~2023年)
年間非課税枠120万円40万円
非課税保有期間無期限(かつ非課税保有限度額は、
つみたて投資枠+成長枠で1800万円)
20年
利用可能年齢18歳以上2022年12月31日までは20歳以上
それ以降は18歳以上

新NISAの「成長投資枠」とは

新NISAの「つみたて投資枠」と並んで語られることの多い「成長投資枠」についても解説していきます。

成長投資枠もまた、新NISAで取り入れられた言葉のうちのひとつです。

成長投資枠の場合は、つみたて投資枠に比べて、より自由度が高く、投資先の選択肢が多いのが大きな特徴です。国内のみならず国外の株式なども視野に入ってきますし、(株価指数などのような指標と一緒に動くことを目的とした投資信託のこと)の選択肢も、つみたて投資枠よりもずっと広いといえます。そのため、自分自身で投資先などをより柔軟に考え、決めていきたい人に向いています。

新NISAにおける成長投資枠の年間投資枠は、240万円と、つみたて投資枠の倍額に設定されています。ただし、非課税で保有できる期間が恒久的であることは、つみたて投資枠と変わりません。また、18歳以上でなければ利用できないことも同じです。

「非課税で保有できる限度額は、つみたて投資枠+成長投資枠で、合計で1800万円である」としました。しかしそのなかでも制限があり、成長投資枠の非課税保有限度額は1200万円と定められています。

なお、新NISAにおけるこの「成長投資枠」は、旧NISAにおける「一般NISA」と似た性格を持っているといえます。

ただし旧NISAにおける一般NISAは、新NISAにおける成長投資枠よりもずっと制限が大きいものでした。日本のNISAのなかでもっとも「古参」といえるこの一般NISAでしたが、その非課税保有期間は5年間と極めて短く、年間非課税枠も120万円までにとどめられていました。なお、2022年までは投資を行える年齢も20歳以上と決められていました。
※ただし旧NISAには、新NISAにはない「ジュニアNISA」と呼ばれる制度があり、20歳未満の者を対象とした制度が別に設けられてもいました。

成長投資枠(2024年~)一般NISA(2014年~2023年)
年間非課税枠240万円120万円
非課税保有期間無期限(かつ非課税保有限度額は、
つみたて投資枠+成長枠で1800万円、
うち成長投資枠の上限は1200万円)
5年
利用可能年齢18歳以上2022年12月31日までは20歳以上
それ以降は18歳以上

新NISAの特徴を知る~つみたて投資枠と成長投資枠の関わり方について~

つみたて投資枠の概要やつみたてNISAとの違い、成長投資枠の概要や一般NISAとの違いを、ここまで紹介してきました。

ここからはより深く「新NISA」に焦点をあてて、「新NISAにおけるつみたて投資枠と、成長投資枠の関係性」について解説していきます。

新NISAと旧NISAは、同じNISAという制度でありながら、その内容には大小さまざまな違いが見られます。そのなかでも非常に大きい違いとして、「旧NISAの場合は、つみたてNISAと一般NISAの併用を認められていなかったが、新NISAの場合はつみたて投資枠と成長投資枠の併用が求められている」という点でしょう。

旧NISAにおいては、つみたてNISAと一般NISAは二者択一の制度でした。つまり利用者は、初心者でも運用しやすいものの年間非課税枠が小さいつみたてNISAを選ぶか、自由度が高く年間非課税枠は大きいものの非課税保有期間が短い一般NISAを選ぶかの選択が求められていました。

しかし新NISAの場合は、「つみたて投資枠も、成長投資枠も、どちらも併用できる」とされています。このため、「つみたて投資枠で長期の運用を行い、成長投資枠を利用して自由度の高い投資を行う」というやり方がとれるようになったのです。また、つみたて投資枠も成長投資枠も、いずれも年間投資枠が旧NISA時代よりも拡大されています。

もっとも、新NISAにおいても、「無制限に資産を非課税で保有できる」というわけではありません。

新NISAにおいては、「つみたて投資枠+成長投資枠の合計金額が1800万円を超えた場合は、課税対象となる」とされています。

またここで注目してほしいのは、「成長投資枠の上限は1200万円まで」と定められているという点です。つまり、非課税保有限度額ギリギリの1800万円までを持とうとした場合、「1800万円分すべてをつみたて投資枠で持つことは可能だが、成長投資枠のみの場合は1200万円までしか扱えない」ということです。

ちなみに、つみたて投資枠+成長投資枠の合計年間非課税枠は120万円+240万円ですから、1800万円の枠すべてを利用しようと考えるならば、5年間が必要です。ただ、余った枠は再利用が可能であるため、そこまで神経質になる必要はないでしょう。

最後に

最後に、軽く「年齢」についても触れておきましょう。

新NISAの制度の場合、つみたて投資枠でも成長投資枠でも、対象年齢は18歳以上です。

なお旧NISAの場合は、成人年齢が20歳であった2022年まで(正確には2022年の4月1日をもって引き下げが行われているが、NISAの適用は2023年の1月1日から)は20歳以上、それ以降は18歳以上とされました。もっとも旧NISAの場合は、「ジュニアNISA」として、未成年が利用できるNISAの制度が組まれていました(現在の新NISAではこの制度は撤廃されています)。

※本稿は2024年1月16日に記しているものです。実際にNISAの運用に踏み切る場合は、必ず最新の情報にあたり、自己責任で行なってください。また、金融機関などにも相談に行き、より良い投資を考えてください。