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相続税まるわかりシリーズ④ 生命保険は相続税対策に有効?非課税枠と基礎控除額の仕組み

「生命保険」は、けがをしたときや病気をしたとき、亡くなったときに本人や家族の経済的な負担を軽くするためにあるものです。

今回はこの「生命保険」のなから、特に「その人が亡くなったことで得られる生命保険金(や損害保険金)」を取り上げて、これが相続に対してどのような影響をもたらすかを解説していきます。

生命保険は相続対策として有効

生命保険は、相続税対策として極めて有用です。なぜなら、生命保険は相続税の計算式において、「非課税枠」として扱われるからです。これは「法定相続人1人に対して500万円」と決まっています。つまり、妻・子ども1・子ども2が残された場合、1500万円までが非課税と判断されます。

また、ここにプラスして考えたいのが、「基礎控除額」です。相続税はすべての財産に対してかけられるのではなく、「3000万円+600万円×法定相続人」までの金額に収まるのであれば、非課税とされます。つまり、上記のケースの場合は4800万円までは非課税とされます。「法定相続人が3人であり、単純な財産が6000万円」であった場合、1200万円が課税対象とされます。

しかしこの財産が、「単純な財産が4500万円であり、生命保険の死亡時に支払われる金額が1500万円」であったば場合、4500万円の方も相続税の基礎控除範囲内・後者の1500万円も生命保険の非課税枠に収まるため、相続税の対象となりません。

なお、生命保険の受取人に法定相続人以外を指定することは、非常に限定的ではあるものの可能です(たとえば内縁の妻など) 。ただしこの場合、上記のような「非課税枠」は適用されません。つまり、「生命保険の受取人になった者は、死亡した者から遺贈を受けた」と考えられるため、法定相続人がこれを受け取る場合よりも相続にかかる金銭的な負担が大きくなります。また、法定相続人以外が支払う相続税の税額は、そうではない場合に比べて、20パーセント大きくなります。

生命保険に相続税はかかるのか

生命保険をかけていた場合、「法定相続人の数×500万円までは非課税とする」という決まりがあります。そのため、たとえば死亡保険の受取金が1400万円であり、かつ法廷相続人が妻・子ども1・子ども2であった場合は非課税となります(法定相続人3人×500万円=1500万円までが非課税となるため)

ただし、同じ1500万円であっても、法定相続人の数が2人であった場合は、法定相続人2人×500万円=1000万円 までしか非課税対象となりません。つまり500万円は課税対象となります。また同じように、法定相続人が3人であった場合、1500万円を超える死亡保険(2000万円など)は課税対象となるのが原則です。

もっとも、実際の相続の場面では、「死亡保険のみが相続財産となる」というケースはそれほど多くはないかと思われます。またそれ以外にもさまざまな控除があるため、実際の相続における課税対象額は、また個々のケースで変わってくると思われます。

相続のかたちは千差万別であるため、実際の相続に関しては、必ず事前に専門職(税理士など)に相談を行い、適切な選択肢を取ることがなによりも重要です。

生命保険で相続税対策をする際の注意点

生命保険で相続税対策をする際には、以下の点に注意します。

受取人は基本的に配偶者を優先すべき

「子どもに多くの財産を残していきたいので、死亡保険の受取人を子どもにする」と考える人は多いことでしょう。しかし、配偶者と子どもの関係が著しく悪いというケースなどを除けば、基本的には配偶者を受取人とした方が無難です。なぜなら、日本の税にまつわる定めのなかに「配偶者の税額軽減」というものがあるからです。

これは、
1. 1億6000万円以下の財産
2. 法定相続分相当額
のいずれかの「大きい」方の金額以下であるかぎり、配偶者が受け取った遺産は非課税にするという考え方です。

たとえば上のケースのように、妻・子ども1・子ども2がいた場合、死亡保険の非課税枠は1500万円となります。これに対して、夫が子どもを対象として1億4000万円の死亡保険に加入していた場合、そのうちの1億2500万円が相続税の計算に組み込まれることになります。

しかし配偶者の場合、「配偶者の税額軽減」が生きてきます。これは1か2のいずれか「大きい方」をもって計算するものであるため、1億2500万円<1の1億6000万円=1億2500万円は課税対象額から除かれると考えられます。

なおこの配偶者の税額軽減の措置は、「戸籍上の配偶者」でしか使えない制度です。内縁関係にある場合は、この配偶者の税額軽減は適合されません。

たくさん加入しすぎない

上記でも述べたように、生命保険(死亡保険)は多くかけすぎた場合、非課税枠から逸脱することが考えられます。特に法定相続人の数が少ない場合は、この傾向が顕著です。

また、一般的な常識からみてあまりにも高額すぎる生命保険に加入しようとすると、保険会社から不審がられて断られるケースもあります。保険金殺人の例を持ち出すまでもなく、家計を圧迫するであろうほどの掛け金が発生する生命保険に加入することは、不信感を抱かせるに十分なことだからです。また、生命保険に限ったことではありませんが、保険金が高ければ高いほど、支払う金額が大きくなり、家計が圧迫されます。

このため、「どのような保険に入り、どれくらいの掛け金で支払っていくか」は、しっかりと考えた方がよいでしょう。残していく家族のことを考えてかける保険金が、生きているときの生活を圧迫しては元も子もないからです。

保険商品はしっかり比較する

現在の日本には、保険商品が非常に多くあります。そしてそれぞれの保険商品がそれぞれの個性と特徴を持っています。また、毎月の掛け金や支払い方も違います。

相続税対策として考えるならば定期保険は対象から外されがちですが、子どもが小さいうちは加入のメリットがある……などのように、個々の性質によって「使うべき場面」も変わってくるのです。

ただ、無数にある保険商品を正しく比較して選ぶことはなかなか大変です。そのため、保険選びに関しては、ファイナンシャルプランナーなどの専門家の手を借りることが望ましいといえます。