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不動産を相続したらどうする?知っておきたい3つのポイント

相続が起こった際、トラブルが起こりやすいのが不動産です。現金や預金のように分けることが難しいため、何の対策もしないまま相続が起きてしまうと遺族の間で遺産争いが起こりやすくなります。

今回のコラムでは「相続する不動産を持っている方」と「相続する予定の不動産がある方」どちらの方にも知っておいて頂きたい、不動産相続における基本的なことをお話しします。

はじめに

「相続」は人の死が関わる問題です。それゆえに、相続について「生きている間に考えることではない」と思っている方が多くいらっしゃいます。確かに、家族に対して面と向かって相続の話はしにくいかもしれません。自分の遺産の話ならともかく、人の遺産の話はなおさらそう感じることでしょう。
しかし、話し合いのないまま相続が始まってしまうと、遺産分割はもめやすくなります。
特に不動産は価額が大きいものが多く、遺産となる家に人が居住している場合や、遺産がその不動産しかない場合、平等に分割するのはかなり難しくなるでしょう。
そのようなトラブルを未然に防ぐには、被相続人が元気なうちに家族間でしっかり話しておくことがとても大切です。
不動産相続について話し合う前に知っておいて頂きたいことを、3つの項目にまとめました。

不動産を相続した時の手続きについて

相続が起こった時、はじめに遺言書の有無と相続人が誰にあたるかを確認します。遺言書は法定相続人よりも強い効力を持つため、遺産分割協議が終わった後に遺言書が見つかった場合でも、基本的に遺言が優先されます。ただ、決められた形式で書かれていない遺言書は無効となる上、見つけた遺言書を勝手に開けてしまうと罪に問われる場合があります。遺言書を見つけたら、必ず家庭裁判所に持っていきましょう。
相続人や遺言書の所在がはっきりしたら、相続人の間での分割方法を決めます。不動産は分割しにくい遺産のため、そのままの形で相続するか、換金して相続人で分けるか決める必要があります。不動産の所有権を相続人で共有することもできますが、後々トラブルに発展しやすくなるためおすすめしません。
不動産を相続した場合、所有権を移転するための「相続登記」をおこないます。2024年から相続登記は原則義務化され、期間をさかのぼって問われる場合もあるので、不動産を相続したら必ず登記をしておきましょう。
また、遺産を相続した場合、相続税が発生する場合があります。基礎控除額を超えた分の税金を支払う必要があり、都市部の土地などはかなり価額が高くなるため、相続税が高額になる可能性があります。また、亡くなった方が未払いだった不動産取得税や固定資産税があれば、そちらも納税の対象となります。なお、相続によって取得した不動産に関しては、不動産取得税は発生しません。

相続人になる順番

相続が起こった時に誰が相続人にあたるかは、法律によって定められています。
被相続人に配偶者がいる場合、必ず相続人となります。被相続人に子どもがいた場合、法定相続人は『配偶者+子』となり、子どもがいなかった場合は『配偶者+被相続人の親』となり、子も親もいない場合は『配偶者+被相続人の兄弟姉妹』となります。配偶者がいない場合でも子・親・兄弟姉妹の順位は変わらないため、子と親や兄弟姉妹が同時に法定相続人になることはありません。たとえば被相続人が亡くなった段階ですでに配偶者がいなかった場合、被相続人に子がいると法定相続人は子のみになります。
配偶者と同時に誰が法定相続人になるかによって、法定相続分が異なります。子の場合は配偶者と2分の1ずつ分け、親の場合は配偶者3分の2、親が3分の1となります。兄弟姉妹の場合は配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で遺産を分けます。
ただし、法定相続分よりも遺言書のほうが効力を持つため、必ずしもこのような分け方になるとは限りません。

相続にかかる費用について

不動産を相続すると、さまざまな税金や費用が発生します。
まず代表的な税金として相続税があげられます。相続税は基礎控除額を超えた金額にかかる税金で、相続した不動産の場所や規模によっては数千万円以上の評価額がつけられ、遺産はあるが現金がないため相続税が払えない、といったケースもあります。ただし不動産には相続税に関するさまざまな特例があり、うまく活用すれば評価額を大きく下げられます。特例のなかでもっとも代表的なものが『小規模宅地等の特例』です。被相続人が住宅や事業に使っていた宅地で、限度内の面積であれば住宅なら80%、事業用であれば50~80%ほど評価額を下げることが可能です。
次に必要となる税金が、登録免許税です。不動産を相続した場合所有権を移転する必要がありますが、その際に発生するのが登録免許税です。こちらは一律0.4%と設定されていますが、相続人ではない方が相続した場合、2%になるため注意しましょう。
また、相続した不動産を所有し続けると、固定資産税が発生します。固定資産税はその年の1月1日時点で所有していた方に対して、6月頃に納税通知書が届きます。1月時点でまだ所有権移転していなかった場合は注意しましょう。
相続した不動産を売却した場合、その利益に対して譲渡所得税が発生します。こちらも不動産の種類や状態によっては特例の対象となる可能性があります。
その他の費用として、税理士や司法書士へ相談・手続きを依頼した場合の報酬があります。不動産の所有権移転はご自身でもできますが、相続による移転の場合手続きが煩雑になることが多いため、よく分からない・時間が取れないという方は専門家に任せるのも手です。また、不動産を売却する時に不動産会社に依頼して仲介してもらった場合、仲介手数料が発生します。

まとめ

不動産は遺産のなかでも特に揉めやすいものの一つです。その理由として、平等に分けにくいが共有名義にしてもトラブルになりやすかったり、評価額が高く相続税を払うための現金がなかったりする点があげられます。また、遠方にあって誰も相続したがらないような土地や山なども揉める原因になります。このようなトラブルを避けるためには、相続が起こる前に家族内で話し合い、遺言書などにのこしておくことが重要です。
遺言書がなく、突然不動産を相続して困ってしまった場合は、早めに専門家へ相談されることをおすすめします。当社では不動産を用いた税金対策や、相続した不動産の売却についての実績が多いですが、それ以外のお悩みでも承ります。
当社で承れない場合はお悩みに応じた専門の先生をご紹介しますので、安心してご相談ください。

株式会社ウィンドゲート(著)
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