60代になって定年退職を迎え、資産は増えたけど収入が少なくなったと思っている人も多いのではないでしょうか?
60代になると65歳で定年退職を迎えて年金を受給する人が多いでしょう。しかし人生100年時代といわれる中で、収入が少なくなって不安に思うこともあります。本記事では、60代になって後悔しないお金の使い道についてご紹介します。
60代でお金を使う際にどんなことを考えれば良いか
30代に子どもが誕生している場合、すでに子育てを終えており、40代前半に子どもが誕生していれば、大学に通っている時期か卒業を迎えて就職しているでしょう。いずれにしても子育てにかかる費用は、60代になるとほとんどないといえます。
また住宅ローンを組んでいる場合、一般的に退職金で完済を考えていることが多いです。しかし老後に向けた生活費を準備できていない場合、老後生活費に充てたいと考えている人もいるでしょう。その場合、老後生活に住宅ローンの残債が圧迫してしまうため、優先順位を考えるならば、住宅ローンを完済しておくことをおすすめします。住宅ローンの完済によって余った分の退職金は、老後生活の費用にすると良いでしょう。
定年退職を迎えた後、資産が増えたことによって旅行や、お金のかかる趣味、外食などが増えることがあります。夫婦で想い出作りすることは大切ではあるものの、資産がある60代のうちに、しっかりとしたお金の管理を考えておかなければ、さらに年齢を重ねた時に枯渇してしまう可能性があります。
定年退職後少しでも収入を増やすために、勤めていた会社に再雇用の機会があれば利用したり、アルバイトしたりすることも大切です。
60代で後悔しないお金の使い道
60代になれば収入が減ってしまうため、現役時代のように使ってしまえばすぐにお金がなくなってしまいます。60代で後悔しないお金の使い道をご紹介します。
現役時代から年金生活に向けた生活に変える
定年退職を迎えて年金生活になれば、現役時代よりも収入が減ってしまうことが多いです。もし現役時代と同じような生活をしていれば、資産を切り崩す必要が出てしまい、70代や80代になった時に立ち行かなくなってしまうでしょう。
老後生活において大切なことは、年金生活を意識した生活スタイルに変えることを習慣化し、節約や、お金のかからない趣味などで持続的な生活ができるようにすることです。ストレスなどが溜まらないように生活スタイルを変えていくようにしましょう。
退職金で住宅ローンを完済する
定年退職を迎えたら、退職金で住宅ローンを完済しようと考えている人も多いでしょう。
住宅ローンの残債が老後を迎えても残っている場合、返済費用が生活に圧迫してしまい、生活が立ち行かなくなることがあります。そのため退職金で住宅ローンを完済してしまうことをおすすめします。
もし退職金で住宅ローンを支払ってもなお残る場合、公的年金を受給しつつも、しばらくは働いて返済できるようにする必要があるでしょう。
医療費にお金がかかる
60代になると病気やケガをしやすくなるため、医療費にお金がかかることが多いです。60代の医療費負担は、現役時代と同じ3割負担であり、70歳以上で2割負担、75歳以上の後期高齢者になると1割負担となります。しかし現役並み所得者の場合、3割負担です。
医療費の窓口負担が減るものの、現役時代よりも病気やケガをしやすくなるため、支出は抑えられるわけではなく、むしろ医療費がかかることの方が多くなります。高齢化に伴う医療費負担に備えて、お金を準備しておく必要があるでしょう。
年金受給資格期間が不足していれば任意加入制度を利用する
もし年金の受給資格期間を満たしていなければ、国民年金と厚生年金のどちらも受け取れません。国民年金の加入期間は60歳までではあるものの、受給資格期間である10年に満たなければ、任意加入制度を利用して不足分を補うことが可能です。また保険料納付済期間分の年金額も増やせます。
定年退職を迎えた後も再雇用などで厚生年金保険に加入していて、70歳以降も受給資格期間を満たしていない場合、高齢任意加入を利用でき、受給資格期間を満たすまで加入することができます。
なお受給資格期間や、現時点で年金がどのくらい受給されるかを確認するには、誕生月に送付される「ねんきん定期便」や、日本年金機構のインターネットサービスである「ねんきんネット」を利用すれば確認が可能です。
公的年金はなるべく繰下げ受給する
公的年金は原則として65歳から受け取れます。しかし希望すれば60歳から65歳に繰上げ受給して受け取ったり、65歳から75歳に繰下げ受給して受け取ったりできます。もし60歳で繰上げ受給してしまうと24%の減額となります。
しかし繰下げ受給を利用すれば、70歳時点で42%の増額、75歳であれば84%増額して年金を受け取れます。
仮に65歳から受け取れる年金額が20万円だとした場合、次のように金額が変わります。
増減率 | 増減額 | |
60歳から受給できる金額 | 24%の減額 | 15万2,000円 |
65歳から受給できる金額 | 0% | 20万円 |
70歳から受給できる金額 | 42%の増額 | 28万4,000円 |
75歳から受給できる金額 | 84%の増額 | 36万8,000円 |
公的年金は定年退職を迎えたら受け取りたいと思うものの、65歳から受け取らず繰下げ受給を利用すれば、年金額が増えて受給できます。また繰下げた期間中は収入がないため、勤めていた会社の再雇用制度があれば利用したり、アルバイトしたりする必要があるでしょう。
60代はお金の管理が大切
60代になったら65歳の定年退職を迎える前に、これからの老後生活を見据えたお金の管理について考えるようにしましょう。60代のうちに、とくに考えずに生活を始めてしまうと、75歳ぐらいになって生活費が足りないとなった場合、子どもから生活費を援助してもらうなどの方法しかなくなってしまいます。
お金について誰かに迷惑をかけてしまわないようにするためには、まだ働いているうちに考えることが大切です。とくに公的年金の受給が始まれば、繰下げ受給することもできなくなるため、よく考えてから手続きするようにしましょう。
また60代になると病気やケガなどにかかりやすくなります。医療費負担に備えるためにも、しっかりとしたお金の管理が大切です。