家族が亡くなった場合、葬儀を終えて一安心と思う人も多いかもしれません。しかし家族が亡くなれば、葬儀の他さまざまな手続きを行う必要があります。また期限がある手続きも多いため、残された家族でスムーズに手続きを進めていくことが大切です。
本記事では、家族が亡くなった場合にしなければならない公的な手続きや、相続手続きについてご紹介します。
家族が亡くなった時の手続きリスト
家族が亡くなった場合にしなければならない手続きを期限が短いものを順番にご紹介します。また期限があるものの、早めに手続した方が良いものも先にしています。
死亡届と火葬許可証の受け取り
家族が亡くなったら、病院の医師から死亡診断書を書いて渡されるため、それを受け取ります。もし事故死などの場合警察に連絡し、検視を行った後に「死体検案書」が作成されます。
死亡診断書や死体検案書は、市区役所や町村役場に提出する「死亡届」が一体となっているため、必要事項を記入し、また「火葬許可申請書」も併せて提出します。「死亡届」と「火葬許可申請書」を提出すると、「火葬許可証」が交付されます。
なお死亡届の提出期限は、死亡を知った日から7日以内となるため、いち早く提出するようにしましょう。また「死亡届」はさまざまな手続きで使うことになるため、数枚のコピーを取っておく必要があります。
生命保険の死亡保険金の請求
もし生命保険に加入していた場合、指定された受取人は死亡保険金を受け取れます。また相続税の課税対象になるものの、相続財産とはみなされないため、相続が確定する前に手続きして受け取ることが可能です。
加入していた生命保険会社に連絡し、保険証書や亡くなった人の除籍謄本、受取人の身分証明書、印鑑があれば、時間がかからずに受取人の口座に振り込まれます。
葬儀などで出費が多くなることもあるため、早めに死亡保険金を請求すると良いでしょう。なお死亡保険金の請求期限は、亡くなってから3年以内となります。
健康保険証・国民健康保険証の資格喪失届
亡くなった人が健康保険や国民健康保険、後期高齢者医療保険に加入していた場合、資格喪失届を提出する必要があります。健康保険の場合、勤務先で手続きを行って返却し、国民健康保険や後期高齢者医療保険の場合、市区役所や町村役場で手続きを行って返却します。
なお健康保険の場合、亡くなってから5日以内、国民健康保険や後期高齢者医療保険の場合、亡くなってから14日以内となります。
公的年金の受給停止手続
亡くなった人が年金を受給していた場合、年金事務所に連絡して年金の受給停止手続きを行う必要があります。必要書類は、年金受給権者死亡届や、年金証書、死亡診断書のコピーなどの亡くなった事実を明らかにする書類です。
なお国民年金の場合は、亡くなってから14日以内、厚生年金の場合が亡くなってから10日以内となり、期限が異なるため注意しましょう。またマイナンバーが収録されていれば、役所に死亡届が提出されたことで、年金事務所にもその情報が共有されるため、手続きが不要となります。
介護保険の資格喪失届
亡くなった人が65歳以上の場合や、40歳以上65歳未満の場合で要介護・要支援の認定を受けて介護保険を利用していれば、介護保険の資格喪失手続きを行う必要があります。市区役所や町村役場に、介護保険証と介護保険の資格喪失届を提出します。
なお介護保険の資格喪失届は、亡くなってから14日以内となります。
住民票の世帯主変更届
亡くなった人が世帯主の場合で、新たに同居している人が世帯主になる場合、市区役所や町村役場において住民票の世帯主変更届を行う必要があります。ただし同居している人が1人の場合や15歳未満の子どもがいる場合は、世帯主変更届の必要はありません。
なお住民票の世帯主変更届は、亡くなってから14日以内となります。介護保険の資格喪失届と併せて手続きすれば効率的です。
公共料金の名義変更
電気やガス、水道といった公共料金の名義変更または解約の手続きを行う必要があります。もし亡くなった人が住んでいた場所に住み続ける場合は名義変更となり、売却などを考えていれば解約となるでしょう。
運転免許証の返納
亡くなった人が運転免許証を持っていれば、警察署や自動車安全運転センターに返納する必要があります。
パスポート失効
亡くなった人がパスポートを持っていれば、パスポートセンターで失効手続きを行う必要があります。
定期購読やサブスクリプションサービスの契約停止
新聞購読や、インターネットなどのサブスクリプションサービスを契約している場合、すべて契約停止手続きを行う必要があります。
クレジットカードの利用停止
亡くなった人がクレジットカードの契約をしていれば、クレジット会社に連絡して利用停止手続きをする必要があります。なお、あらかじめクレジットカード決済しているサービスなどを解除していなければなりません。
所得税の準確定申告
亡くなった人が個人事業主などの場合、亡くなった月までの確定申告をする必要があります。相続人が管轄の税務署に確定申告書を提出します。
なお亡くなったことを知った翌日から4か月以内が期限となります。
葬祭費・埋葬料・高額療養費の申請
亡くなった人が、国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していた場合、市区役所や町村役場へ申請することで葬祭費を請求できます。また健康保険に加入していた場合、勤務先で手続きすることで埋葬料の請求が可能です。
もし亡くなる前に入院して高額な治療費がかかっていれば高額療養費制度を利用できます。
なおいずれも2年以内の期限となります。
遺族年金、未支給年金の受給申請
遺族年金は、配偶者が亡くなった場合に受給できる場合があります。受給対象の場合、年金事務所で遺族年金の受給申請手続きをすることで、受給が可能となります。遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、それぞれに要件があるため、年金事務所で確認するようにしましょう。
また亡くなった月によって、本来受給されるべき年金を受け取っていないことがあります。未支給年金も年金事務所で手続することで、未支給分の年金を受給することが可能です。
なおいずれも亡くなってから5年以内の期限となります。
家族が亡くなった後の遺産相続に関する手続き
家族が亡くなってから行うさまざまな手続きと並行して、遺産相続の準備と手続きを行う必要があります。
相続人・相続財産を調べる
亡くなった人の相続人となる人を調査し、併せて相続財産を調べる必要があります。相続人の調べ方は、亡くなった人の出生時から亡くなるまでの戸籍謄本や除籍謄本などを集めることで確認が可能です。
相続財産は、金融機関へ問い合わせたり、取引のある証券会社、法務局から不動産の全部事項証明書を取得したりすることで調べます。
遺言書有無の確認
亡くなった人が遺言書を作成していないかを確認する必要があります。公正証書遺言の場合、公証役場に保管されており、自筆証書遺言においても法務局に保管できるようになったため、それぞれ確認するようにしましょう。
相続放棄・限定承認
亡くなった人が多額の借金などを抱えていた場合、相続放棄や限定承認を検討する必要があるでしょう。相続放棄は借金だけではなく一切の相続財産を相続しません。限定承認の場合、相続で得た財産を限度として借金を弁済するものとなるため、借金が多ければ相続財産を超えた部分を除外でき、資産が多ければその資産を相続することができます。
なおいずれも亡くなったことを知った日から3か月以内の期限です。
遺産分割
遺言書がなければ、相続人による遺産分割協議を行う必要があります。遺産の分け方は、基本的には法定相続分に従って分割します。
もし相続人同士が不仲であり、トラブルや紛争といった事態に発展する可能性がある場合、あらかじめ弁護士に相談しておくと良いでしょう。
相続税の申告、納付
相続税は基礎控除額を超える資産がある場合に発生します。なお基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数による計算方法です。被相続人が亡くなったことを知った日から10か月以内が相続税の申告や納付期限となります。
つまり10か月以内に、相続人や相続財産の調査、遺産分割などをすべて終わらせておく必要があります。期限は長いように見えるものの、実際は短く感じることが多いようです。早め早めに準備するようにしましょう。
不動産の相続登記(2024年4月から義務化)
遺言書または遺産分割協議によって、不動産の相続人がきまったら、名義変更を行う必要があります。相続による名義変更のことを相続登記といいます。これまで相続登記は、義務ではなかったものの、2024年4月から義務化されることになりました。
なお相続登記は3年以内の期限となります。
まとめ
家族がなくなった場合に行う必要があるさまざまな手続きについてご紹介しました。公的手続きについては、亡くなってから14日以内のものが多いため、葬儀と並行して手続きを進めるようにしましょう。
遺産相続についても10か月以内に相続税の申告と納付を行う必要があるため、早いうちから準備を進める必要があります。
また生前のうちにエンディングノートに手続きに必要な書類の所在や、加入しているサービスの詳細、相続財産などを記述しておくと残された家族の手続きもスムーズに行えるようになるでしょう。