財産目録がどんなものかご存知でしょうか。財産目録は自分の財産をリスト化したもの。自分に万が一のことがあった際、財産目録があれば、遺されたご家族が相続などの各種手続きをスムーズに進められます。
本記事では、財産目録について解説します。実際に作成する際に役立つひな形も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
財産目録とは何か
財務目録とは、ある時点で個人が保有する財産の状況をリスト化したものです。財産はプラスの財産である「資産」だけでなく、マイナスの財産である「負債」についても区分や種類ごとにリストアップし、漏れなく記入します。
相続人となるご家族が、財産を把握していないと、遺産分割や相続税の申告の際にトラブルになることがあるため、注意が必要です。生前に自分の財産目録を作成することで、遺された家族が財産の状況を正確に把握できるため、亡くなったあとの相続や遺産分割といった各種手続きや協議をスムーズに進められます。
また、財産目録を作ることで、残しておきたい金額や処理しておきたいものなどがハッキリするため、作成後の人生設計にも役立ちます。
資産と負債について
ここからは主な資産と負債を紹介します。
まず資産についてです。現金や預貯金はもちろん、自動車や貴金属なども含まれます。
主な資産項目は、以下の通りです。
・現金
・預貯金
・不動産(土地、建物など)
・有価証券(株式、投資信託など)
・生命保険
・その他財産(自動車、会員権、貴金属、宝石、骨董品など)
次に負債についてです。借金はもちろん、住宅ローンの残債やクレジットカードの未払い分なども負債に含まれます。
主な負債項目は、以下の通りです。
・借入金(銀行、消費者金融など)
・住宅や自動車のローンの残債
・クレジットカードの未払い分
・家賃・水道光熱費の未払い
・税金の未払い
・医療費の未払い
・葬儀費用
などが挙げられます。
生前に作成する場合は、何月何日に確認したのかを記入します。財産や負債は変動するため、一度財産目録を作成したら、定期的に更新することが必要です。確認した日付を記入しておけば、財産の確認や更新が容易になります。
これらのプラスの財産とマイナスの財産を正確に把握することで、財産目録を作ることが可能です。
書くべき財産目録のひな形
ここからは書くべき財産目録として、以下の5つの項目で紹介します。
・金融
・証券
・書類
・不動産
・保険
それぞれひな形や記入例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
金融
まず金融です。金融では、現金や預貯金を記入します。
預貯金は金額、金融機関名だけでなく、本支店名、種別(普通、定期、定額、積立など)、口座番号と詳しく記入します。同じ金融機関で複数の口座を持っていることがあるためです。インターネットの金融機関を利用している場合は、備考欄にアカウント情報も記入しておくと、手続きする際にスムーズに対処できます。
現金については、金額と保管場所を記載してください。
財産名 | 金融機関名 | 本店支店名 | 種別 | 口座番号 | 評価額 | 確認日付 | 備考 |
現金 | 1,000,000 | 3月10日 | 金庫に保管 | ||||
預金 | 〇〇銀行 | □□支店 | 普通 | 1234567 | 2,000,000 | 3月10日 | 通帳と印鑑は金庫 |
預金 | 〇〇銀行 | □□支店 | 普通 | 1234567 | 3,000,000 | 3月10日 | 利息込み金額 3,050,000 |
預金 | △△銀行 | ●●支店 | 普通 | 9876543 | 4,000,000 | 3月10日 | アカウント情報 |
証券
次に証券です。証券には、株式や国債証券、社債券、投資信託などが含まれます。
記載する内容は、証券の発行会社や証券会社の名称、種別、数量、時価評価額です。
財産名 | 発行会社名 | 証券会社名 | 種別 | 数量 | 評価額 | 確認日付 | 備考 |
株式 | ○○自動車 | △△証券 △△支店 | 東証1部 | 200株 | 2,000,000 | 3月10日 | |
投資信託 | □□インデックスファンド | ●●信託銀行 | 500口 | 5,000,000万円 | 3月10日 | 担当者▲▲ |
書類
書類では、不動産の権利書やその他の重要書類、インターネット銀行や証券のアカウント情報(ID・パスワード)などを記載します。書類名や書類の保管場所を記載してください。
区分 | 書類名 | 保管場所 | 備考 |
銀行 | 通帳 | 自宅金庫 | |
証券 | アカウント情報 | 自宅金庫 | ID・パスワード |
保険 | 生命保険証券 | 自宅金庫 | |
不動産 | 土地の権利所 | ○○銀行貸金庫 |
不動産
不動産では、自宅の土地、建物、投資用不動産などが含まれます。財産目録に記載する際には、「土地」「建物」といった区分や所在地、面積、持ち分、評価額、権利関係などを記載してください。所在地や面積、共有者などが正しいかをご確認ください。
区分 | 所在地 | 面積・持分 | 評価額 | 確認日付 | 備考 | |
土地 | 宅地 | 東京都新宿区西新宿○丁目○番○ | 150㎡ | 30,000,000 | 3月10日 | 本人の自宅 |
土地 | 宅地 | 東京都中央区築地△丁目△ | 400㎡ | 50,000,000 | 3月10日 | 共同住宅の敷地 |
建物 | 居宅 | 東京都新宿区西新宿○丁目○番○ | 1階60㎡ 2階40㎡ | 15,000,000 | 3月10日 | 本人の自宅 |
建物 | 共同住宅 | 東京都中央区築地△丁目△ | 1階200㎡ 2階200㎡ | 20,000,000 | 3月10日 | 賃貸、賃貸割合100% |
保険
保険では加入している生命保険を記入します。保険会社名や保険の種類、証券番号、保険金額、受取人をご記入ください。
保険会社 | 保険の種類 | 証券番号 | 保険金額 | 保険金受取人 |
○○生命保険 | 終身保険 | 12345678-9 | 10,000,000 | □□△郎 |
●●生命保険 | 終身保険 | 78-8901234 | 20,000,000 | ▲▲■子 |
まとめ
財産目録について紹介しました。財産目録は、ある時点での自分の財産をリスト化したものです。必ず作成しなければならないものではありませんが、自分が亡くなった後に財産目録があれば、遺されたご家族が円滑に各種手続きを進められます。
また、財産目録を作っておけば、自分の資産と負債を明確にできるため、自分の残りの人生設計にも役立ちます。
ぜひ本記事を参考に、自分のためにも、家族のためにも財産目録を作成しておくのがおすすめです。