急な病気や認知症により意思決定が困難になった場合、治療する場所や方法を本人が判断することは難しいです。
その場合は周りの人間のサポートが欠かせません。
今回は医療や介護の意思表示の支援について解説していきます。
医療・介護の意思表示とはどんなものか
認知症や重度の事故や病気により、本人の判断能力が不十分になることがあります。
その際は治療する場所や方法などの意思表示を行う必要があります。
本来は本人の意思表示が優先されるべき事項であっても、状況により周りの協力が必要になるケースもあります。
医療や介護の意思決定のガイドラインが厚生労働省より公表され、基本原則は以下となります。
1. 本人の意思の尊重
2. 本人の意思能力決定の配慮
3. チームによる早期からの継続的支援
本人の意思の尊重
本人が認知症や重い障害で意思表示が困難であっても、支援者は趣向や好みを読み取る努力を最大限行います。
会話による意思疎通が難しい場合は、身振り手振りや表情の変化、または筆談などでも本人の意思を理解する必要があります。
本人の意思能力決定の配慮
障害の度合いに関わらず、支援者は意思決定能力の状況に応じて配慮するようにします。
本人には意思能力がないと決めつけるのではなく、極力支援をする努力をしましょう。
また意思能力の向上を行う努力も考えられます。
チームによる早期からの継続的支援
チームによる早期支援は家族だけでなく、医療従事者や介護従事者、最近多い単身者は行政によるサポートも必要になってきます。
まわりに家族がいる場合はしっかり情報を集め、親族や従事者、成年後見人と情報を共有していきましょう。
医療・介護の意思表示を初心者が進めるための手順とは
医療・介護の意思表示を初心者が進めるためには何かに記録をしておくのがよいでしょう。紙ベースやデータベースどちらでも大丈夫です。
本人の考えが伝えられなくなることを想定して、前もって希望を確認しておくようにしておきましょう。
以下の手順で行い、定期的に更新しておくことが大事です。
1. 本人の意思を汲み取る
2. 健康状態の確認
3. 意思表示支援者の選定
4. 協議を行う
5. 記録をする
本人の意思を汲み取る
現在の本人の考えや思いをとりまとめましょう。
今後、支援者が本人に代わって判断する材料になります。
例えば治療を行う施設や延命に関わる治療法などどんなことでも結構です。
健康状態の確認
現在の健康状態を医療従事者、近親者と共有しておきましょう。
過去と比較して異常はないか、持病があるなら経過確認などを相談することが大切です。
また将来、変化があった時の向き合い方も事前に話し合っておけば本人の希望に寄り添ったことになるでしょう。
意思表示支援者の選定
もしもの時のために本人の代わりに意思表示を代行してくれる人を選んでおきましょう。
健康管理や金銭管理を伴うため信頼の置ける人を選定する必要があります。
特に価値観を理解してくれることが一番大事です。
協議を行う
枠組みが決まれば対象者で話し合いを行いましょう。
対象者は家族、各従事者、支援者です。
専門家を交えしっかり話し合うことによりお互いの連携がスムーズに行われます。
記録をする
まとまった考えを必ず記録しておきましょう。
記録した内容は時間の経過や健康状態の変化により変わってきます。
定期的に見直し、更新するように努めましょう。
医療・介護の意思表示を失敗しないためにはどうすればいいか
介護の意思表示を失敗しないためには事前の備えが非常に大切です。
健康で正常な判断ができるうちに意思表示シートの作成を行い、もしもの時のために何を優先するべきかしっかり話し合っておきましょう。
特にお金に関することや契約に関することは、正常な判断ができない状態だと行為を行っても無効とされます。
この場合には意思決定支援者の同席が必要になるため、やはり事前準備が必要になります。
まとめ
今回は医療・介護の意思表示について解説しました。
本人の判断能力が著しく低下することにより周りによる支援が必要になってきます。
意思表示を行う手順としては
1. 本人の意思を汲み取る
2. 健康状態の確認
3. 意思表示支援者の選定
4. 協議を行う
5. 記録をする
の順で行い、定期的な更新が大事です。
また失敗しないためには、事前に対策を講じ優先順位をあらかじめ決めておきましょう。
日ごろからのコミュニケーションがお互いのためだといえます。