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《1年〜5年以内》家族が亡くなったらやること

相続税の納付が終わったら

無事に話がまとまり、相続税の納付が終わりました。これでひと段落つき、ほっと安堵の胸を撫で下ろす人も多いでしょう。

相続した遺産については、名義を自分に変更しなければいけません。そして、貰うべき給付金などの手続きも忘れずに行ってください。

この記事では、1年以内にやること、さらに2年から5年以内にやるべきことを解説します。


1年〜5年以内にやることリスト

いつどこで何をする
1年以内に金融機関で銀行口座の名義変更、解約をする
1年以内に司法書士事務所
法務局で
不動産の名義変更をする
1年以内に証券会社
運輸支局
行政書士事務所
司法書士事務所
弁護士事務所
税理士事務所で
有価証券、自動車の名義変更をする
2年以内に健康保険組合
市役所
区役所又は町村役場で
葬祭費、埋葬費を請求する
2年以内に健康保険組合
市役所
区役所又は町村役場で
高額療養費の払い戻しを請求する
5年以内に年金事務所で未支給の年金を請求する
1年〜5年以内 やることリスト一覧

1年から5年以内に行うべき手続き一覧

1年以内に行うべきこと

■《1年以内》銀行口座の名義変更、解約をする …金融機関

名義人が亡くなった事実を金融機関が知ったとき、口座は凍結されます。これは、名義人以外が遺産分割前に勝手に口座から預金を引き出さないようにするためのトラブル予防措置です。

亡くなった事実を金融機関に口座が凍結されると、一切の入出金ができなくなります。遺言書か遺産分割協議書の決定に従い、その他の必要書類も用意し、名義変更するか、解約して預金を引き出す手続きをしましょう。

そのほかの必要書類は「相続届、戸籍謄本、印鑑証明」ですが、相続人が何人か、遺言書があるかないかで、変わってきますので、必ず銀行に確認しましょう。

口座が凍結されていても、「預貯金の仮払い制度」を利用することもできます。亡くなった人の死亡時の預金残高×3分の1×払戻しを受ける相続人の法定相続分、一つの金融機関で150万円を限度額に、葬儀費用の支払い、残された相続人の当の生活費などに充てることができます。これも各銀行によって手続きを確認しましょう。

一般的には10年以上放置された預金口座は休眠口座として扱われ、民間公益活動のために預金保険機構に移管されることが法律で定められています。相続の話し合いが完了したら、速やかに名義変更、解約など手続きをしましょう。

■《1年以内》不動産の名義変更をする …司法書士事務所、法務局

不動産を相続することが決まったら、相続人の名義で相続登記をすることが法律で義務付けられています。

申請期限は所有権を取得したことを知った日から3年以内です。相続登記をしないで放置したら、10万円以下の過料を科される可能性があります。

自分で必要書類を全て用意して相続不動産の名義変更をすることも可能ですが、書類作成や手続きが煩雑で負担となるため、不動産登記の専門家である司法書士に依頼するのがよいでしょう。

■《1年以内》株式、自動車の名義変更をする …証券会社、運輸支局、行政書士事務所、司法書士事務所、弁護士事務所、税理士事務所

亡くなった人の名義で株式や自動車などの資産があったら、これも相続人が名義変更を忘れずに行いましょう。

上場株式の名義変更は、証券会社、非上場株式の名義変更は発行した会社に直接申し出る必要があります。どちらにしても書類作成、費用と納税(移管手数料、贈与税、相続税など)が必要となります。手続きが煩雑で負担となるため、専門家に相談、依頼するのがよいでしょう。

自動車の名義変更は、運輸支局で名義変更の手続きをします。普通自動車の名義変更に必要な書類は「車検証、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本、500円の検査登録印紙を貼付した手数料納付書、申請書」です。その他、手続きによっては印鑑証明書や実印が必要になる場合もあります。事前に運輸支局に状況を説明して何が必要かを確認しましょう。

なお、軽自動車については、運輸支局ではなく軽自動車検査協会で名義変更の手続きをします。

2年以内に行うべきこと

■《2年以内》葬祭費、埋葬費を請求する …健康保険組合、市役所、区役所又は町村役場

亡くなった人が社会保険(協会けんぽ等)に加入していた場合は埋葬費を、国民健康保険に加入していた場合は葬祭費の給付金を受け取ることができます。

社会保険の場合は「健康保険組合」に、国民健康保険の場合は亡くなった人の居住地の自治体に申請する必要があります。埋葬費は一律5万円、葬祭費は自治体によって異なる額が支給されます。

どちらも2年が申請期限です。忘れずに申請しましょう。

■《2年以内》高額療養費の払い戻しを請求する …健康保険組合、市役所、区役所又は町村役場

亡くなった人が治療、入院、介護のために高額の医療費がかかっていたら、相続人が高額療養費制度を利用して一定の負担限度額を超えた額の還付金を受け取ることができます。

払い戻しの対象となるのは、健康保険が適用される医療費のみで、入院中の食費やベッド代、先進医療にかかる費用は対象外です。

亡くなった人の口座が凍結状態であったり、相続人に名義変更された口座だと振り込みができないので、別途申請が必要なので、手続き方法を確認しましょう。

申請が受理されたら、一般的に1~2ヶ月後に還付されます。

診療を受けた月の翌月の初日から2年が申請期限です。忘れずに申請しましょう。

5年以内に行うべきこと

■《5年以内》未支給の年金を請求する …年金事務所

亡くなった人が年金受給者だった場合、生計を共にしていた3親等内の親族の優先順位が先の人が受け取ることができます。まず配偶者、その次に子、その次に父母と続きます。

公的年金は受給者と家族の生活を保障するために支給されるもので相続財産とはみなされないため、一定額の範囲なら相続税はかかりません。

請求は年金事務所で行います。受給権者死亡届を出す際に請求していなかったら、5年以内に忘れずに申請しましょう。

名義変更はもれなく行いましょう

空き家問題など放置不動産が社会問題化し、不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化になりました。手続きをしないとペナルティとして、「管理不全空き家」に対して固定資産税が最大で6倍課されます。税金だけでなく、名義変更をしないとトラブルの種となるので、大変ですが、もれなく手続きを行いましょう。

そして、本来亡くなった人が受け取るべき給付金や年金を、相続人が受け取る権利が発生します。将来の生活のために、こちらも忘れずに手続きをしてください。