厳選 厳選

退職後の職探しに強い味方!雇用保険の基本手当。受給資格、手続き、受給額、注意事項について徹底解説


(クリエイター:78designさん

基本手当とは失業手当の正式名称であり、職探しをしている人が生活の心配をせずに就職活動ができるように雇用保険の財源から支給される手当です。雇用保険は会社員であれば社会保険の一部として給与や賞与から天引きされますが、退職しないかぎり関心を持つことは少ないでしょう。

でもいざ退職することになった人は、自分がどのくらい基本手当を受給できるのか気になる人も多いのではないでしょうか。本記事では、雇用保険の基本手当について受給要件、受給期間、受給額、そして注意事項について解説します。

基本手当の受給要件

基本手当を受給できる要件は二つあります。

一つ目は、働く意思と能力がありながら失業状態にあることです。働く意思と能力とは、心身共に健康ですぐに働ける状態であり、病気入院中や妊娠している人は受給できません。またどこかの会社に雇用されることが決まっていたり、役員に就任していたり、自分で起業したりしている人も受給の対象外です(事業が赤字であっても受給できません)。

二つ目は退職日から遡って2年間に12か月以上の被保険期間があることです。この間に途中休職などで無給の期間があっても12か月以上給与を貰っていれば問題ありません(給与を貰っているということは雇用保険料を天引きされているはずです)。また会社の都合で辞めさせられたり会社が倒産したりした場合は、退職日から遡って1年間に6か月以上の被保険期間を満たせば受給資格が得られます。

基本手当の受給期間

基本手当の受給要件を満たした人の受給期間は勤続年数によって異なります。

一般的な定年や自己都合、いわゆる一身上の都合により退職した人の受給期間は、最大150日です(下表)。

受給期間が延長される場合

ただ、退職理由によっては受給期間が最大330日まで延長されます。
例えば、会社が倒産したり本人に責任のない理由で解雇されたりした場合です。雇用保険制度では、このような条件に当てはまる人のことを「特定理由離職者(詳しくは※)」と呼びます。

また、「一部の特定理由離職者(※)」も特定理由離職者と同様、受給期間の延長が認められています。一部の特定理由離職者とは、契約や派遣の社員として働いていた場合で、労働契約期間が満了しても次の更新がされることなく退職を余儀なくされた人です。特定理由離職者および一部の特定理由離職者の受給期間は次の表の通りです。

※特定受給資格者、特定理由離職者(一部の特定理由離職者)の詳細は→

上の表からわかる通り、倒産や解雇など、本人の意志とは異なる事由で退職を余儀なくされた時は、受給期間が延長されるのです。

基本手当の受給額

基本手当の受給額は、賃金日額(※)と受給資格者の年齢によって決まります。
例えば、基準日(※)において45歳以上60歳未満の人の一日当たりの基本手当の金額は、賃金日額によって次の表にある計算式で得られます。

例えば、賃金日額10,000円の50歳の人の場合、

基本手当

=0.8×10,000-0.3×{(10,000-5,110)/(12,580-5,110)}✕10,000
=8,000-0.3×{4,890/7470)}✕10,000
=6,036円

となります。

※賃金日額とは離職した日の直前6ヶ月間に支払われた月給 (ボーナスは除く)の合計を180で割って算出した金額のことです→
※基準日とは、受給資格に係る離職の日をいいます(離職の日とは、会社に在籍した最後の日です)。基準日において30歳未満、30歳以上45歳未満、60歳以上65歳未満の人の受給資格者に対する計算式→(令和5年8月1日~)

ハローワークでの手続き

求職者は最初の手続きをお住まいの管轄のハローワークで行います(管轄のハローワークが分からない時は、厚生省のホームぺージ(※)で調べましょう)。

ハローワークに初めて行く日には「離職票」「マイナンバーカード」「証明写真(縦3cm×横2.5cm)2枚」「本人名義の預金通帳またはキャッシュカード」を持参します。

手続きはおよそ2時間程度で終了します。その際、重要なことは退職理由の確定です。会社が自己都合とする離職票を作成しても、本当の理由が会社都合の場合はここでその理由を伝えます。ハローワークと元の会社の協議により会社都合に変更になる場合もあります。

無事に手続きが終了したら、その日が受給資格決定日です。その際「雇用保険説明会」の日取りが案内されますので、必ず本人が出席しましょう。日にちがどうしても都合がつかない場合は調整してもらうことも可能です。

受給資格決定日を含め続く7日間は「待期期間」です。待期期間は失業状態にあるかどうかを確認するために設けられた期間であり、アルバイトを含め報酬が発生する労働をしてはいけません。その後、2か月の給付制限期間が満了したら基本手当が支払われます(事由により給付制限期間が3か月になる場合あり)。

基本手当が継続的に支給されるためには4週間に1度管轄のハローワークで「休職中」であることの認定をしてもらう必要があります。さらに同期間に2回以上、求職活動をしていなければいけません。求職活動の状況は、認定日にハローワークに報告します。

※ご自身の住所を管轄するハローワークの調べ方→

基本手当を受給する上での注意点

基本手当が受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間です。例えば150日の受給期間を得た人が、離職した日から10ヶ月後にハローワークで手続きをした(受給資格決定日になった)場合、期間満了前に基本手当の受給期限がきてしまうので注意が必要です。

ただ、病気、けがなどですぐに働けない場合、ハローワークに申請すれば、最長3年期間を延長できます。受給期間中に短期的なアルバイトを行うことも可能ですが、必ずハローワークに報告する必要があります。就職とみなされるような働き方(※)は失業手当の受給資格から外れます。

※就職とみなされる働き方とは「事業主に雇用され1日の労働時間が4時間以上である場合」、「週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合」、「31日以上アルバイトすることが見込まれる」などを指します。詳しくは(Q24)→

もし不正に基本手当を受給したら

求職期間中に働いたことを申告しなかったり、事実と異なる申告したりするなどしたときは不正行為として厳しく処分されます。よくある不正受給の例として、次の報告をハローワークにしなかったことが挙げられます。

・就労や就職したこと
・内職や手伝いで報酬を得ていたこと
・個人事業主になり開業したり起業したりしたこと
・名義だけでも会社の役員、非常勤嘱託、顧問などの役職についたこと
・健康保険による傷病手当金を受給したこと
・病気など就労ができなくなる状態になったこと

以上のような状況にあるにもかかわらずハローワークに正確に伝えていないと厳しい処分が科されます。

具体的には、

・不正があった日以降の給付が停止(支給停止)
・不正受給した全額を返還(返還命令)
・不正に受けた手当金の最大2倍の納付(納付命令)

悪質な場合として認められたときは、刑事事件として告訴されることがあるので、絶対に不正受給は止めましょう。

(クリエイター:mirai0002さん)

まとめ

以上、退職後の職探しに強い味方となる雇用保険の基本手当について解説しました。まとめますと、

・基本手当は、働く意思と能力がありながら失業状態にある、原則退職日から遡って2年間に12か月以上の被保険期間があると受給資格が得られる。
・一般的な定年や自己都合の人の受給期間は最大150日になる。
・特定理由離職者、もしくは一部の特定理由離職者と認められれば、受給期間が延長最大330日まで延長される。
・基本手当が受給できる期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、病気、けがなどですぐに働けない場合はハローワークに申請すれば、最長3年期間される。
・受給期間中に短期的なアルバイトを行うことも可能。しかし必ずハローワークに報告する必要がある
・求職期間中に働いたことを申告しなかったり、事実と異なる申告したりするなどすると、支給停止、返還命令、納付命令などの厳しい処分が言い渡され、最大受給額の3倍を返還しなければいけない。

最後に私の早期退職の経験を綴ったKindle本
早期退職が頭をよぎったら 充実のセカンドキャリアを築くための手引き
に私の退職に関する経験を解説しています。よろしければ下記リンクをクリックして読んでみてください。

ここをクリック

以上です。

執筆:みらいのびた


* @link https://developer.wordpress.org/themes/basics/template-files/#template-partials * * @package saras */ ?>