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終活のきほんと相続のきほん

終活や相続を考えるときに、「わからない単語が多すぎて、どこから手をつけたらいいかわからない」「基本的なことがわかっていないので、何の話か理解できていない」という人もいるのではないでしょうか。

そんな人のために、ここでは「終活のきほん・相続のきほん」として

・法定相続人とは何か、遺産の分配の割合の基礎知識

・相続始まるタイミング

・引き継げないものは何か

について解説していきます。

法定相続人とは何か、遺産分配の割合は?

終活や相続のことを調べているときに必ず目にする単語として、「法定相続人」が挙げられます。

法定相続人とは、民法によって定められた「遺産を引き継げる人のこと」をいいます。この法定相続人は、

・配偶者(夫や妻)

・直系尊属(父母や祖父母)

・直系卑属(子どもや孫)

・兄弟姉妹と甥姪

と決められています。

もう少し詳しく解説していきます。

・配偶者(夫や妻)……配偶者は、常に法定相続人となりえます。ただここでいう「配偶者」とは、「現在入籍している人」をいいます。そのため、離婚した前妻・前夫はもとより、「10年以上もの長い間、内縁の関係にあり、最後をみとった人」なども法定相続人にはなりえません。

・直系尊属(父母や祖父母)……父母や祖父母なども法定相続人となります。また、珍しいケースではありますが、「父母と祖父母は亡くなっているが、曾祖母は生きている」という場合は曾祖母が法定相続人になりえます。

・直系卑属(子どもや孫)……子どもや孫も法定相続人です。これも直系尊属のときと同じように、「子どもや孫はいないけれど、ひ孫がいる」という場合はひ孫が法定相続人となります。これは特に「代襲相続」と呼ばれます。

・兄弟姉妹と甥姪……兄弟姉妹も法定相続人になることがあります。「直系尊属が全員亡くなっていて、子どもも配偶者もおらず、かつ自分の兄弟姉妹も亡くなっている。しかし甥と姪がいる」という場合は、甥と姪が法定相続人になります。しかし兄弟姉妹の場合、代襲相続が認められるのは1代限りです。上記の状況に加えてさらに「甥と姪も亡くなっているが、甥と姪の子どもはいる」という場合は、その子どもらは法定相続人にはなりえません。

なお、「だれが何割を受け継げるか」は家族構成の状況によって異なります。

比較的よくみられるケースを例として取り上げます。

【ケース1】配偶者と、子どもが2人いる

→配偶者が2分の1、子どもが4分の1ずつ引き継ぐ

【ケース2】配偶者はいるが子どもはいない。亡くなった人の父母両方が健在である

→配偶者が3分の2、父母が6分の1ずつ引き継ぐ

【ケース3】配偶者はいるが子どもはいない。父母などの直系尊属はすでにおらず、兄弟姉妹が2人いる

→配偶者が4分の3、兄弟姉妹が8分の1ずつ引き継ぐ

遺言書を残せば、法定相続人以外の人に財産を譲ることができます。しかし法定相続人は、遺産を受け取ったほかの人に対して「遺留分(法定相続人が最低限もらえる財産)を払え」と要求することができます。

相続が始まるタイミングとは?

相続が始まるタイミングは、「相続させる人が亡くなった日」です。これは、死亡診断書などにかかれています。

たとえば、相続の放棄は「遺産を受け継ぐ権利が自分にあると知ってから3か月以内」と決められています。

また、相続税の申告は「相続開始を知った日から数えて、10か月まで」とされています。

この期間は非常に長いように思われるかもしれません。しかし、正確な財産目録をきちんと用意している人ばかりではないため、調べるために日数をかけなければならない場合もあります。またメンタル面での衝撃が大きく、なかなか取り組めないという人もいることでしょう。しかし放置するわけにはいきませんから、必要に応じて専門家の助けを借りるなどして対応してください。

引き継げないものもある

「遺産ならば何でも引き継げる」と考えるのは誤りです。実際には引き継げないものもあります。たとえば、以下のようなものです。

・遺族給付

亡くなった人に対して払われる遺族給付は、相続財産には該当しません。

・各種の受給資格

生活保護や年金などの受給資格は、当人しか持てません。そのため、相続の対象とはなりません。

・職業や地位、資格

「母親が持っていた弁護士の資格」などは、当然受け継ぐことができません。

・賃貸物件などの家賃

賃貸物件(マンションなど)の不動産は相続の対象となりますが、そこから得られる家賃などは相続財産とはなりません。

また、分かりにくいものとして「祭祀財産」があります。ご先祖さまをお祀りするために使われる仏壇やお墓などがこれにあたります。祭祀財産は継承させることはできるものの、分割することはできません。そのため、原則として1人だけがこれを引き受けることになります。

ここではごく基本的な概略のみを取り上げました。詳細や実際の運用に関しては、各記事を参考にしてください。