家族や身内が亡くなったさいには、会社へその旨を連絡する必要があります。しかし、多くの手続きが必要となるため、会社への連絡が後回しになりがちです。とくに初めて家族の不幸を経験する場合は、どう報告すればいいのか疑問に思うこともあるのではないでしょうか。今回は、職場とのトラブルを避けるために会社への連絡時のポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
会社への訃報はいつ誰に何をどのように伝えるか
連絡のさいのポイントは、「迅速かつ簡潔に」です。取り乱さずに必要なことだけを連絡できるように、連絡のタイミングや内容について見ていきましょう。
会社に伝えるタイミング
会社への連絡は、不幸が分かった時点でなるべく早く伝えるのがマナーです。葬儀の日程が決まってなくても、まず不幸があった事実を連絡します。
誰に伝えるのか
不幸があった場合の連絡先は直属の上司と総務です。上司は仕事の引き継ぎや取引先への対応など、あなたが不在の間の仕事の管理をする必要があります。総務では、忌引き休暇の手続きや職場関係者の参列への準備があるからです。
何を伝えるのか
連絡のさいは、主に以下の5項目を伝えましょう。
・亡くなった人と自分との続柄
・いつ亡くなったのか
・葬儀について
・日時
・一般葬か家族葬か
・宗教的なスタイル
近年は、コロナ禍の影響もあり家族葬が増えているので、宗教的なことまで伝える必要はなくなってきています。
・いつまで休むのか
・繋がりやすい連絡先
連絡の手段
電話かメールか迷うかもしれませんが、迅速かつ確実に伝えるには電話がベストです。
とは言え、深夜や休日に不幸が分かることもあれば、電話が繋がらない場合もあるでしょう。そういう場合は、一旦メールで連絡を入れておき、時間をおいてから電話をすればトラブルを避けられます。
実際に電話やメールで連絡するさいの例を挙げておきますので、参考にしてください。
①電話の場合
「お早うございます(お疲れ様です)。実は、今朝早く(いつ)母(誰/続柄)が亡くなりました。母(続柄)の生前からの希望により、葬儀は家族のみで行うことに致します。ご厚志につきましては、大変失礼ながらご辞退申し上げます。
つきましては、〇月〇日まで忌引き休暇を頂ければと思います。
休暇中の業務に関してですが、〇〇(内容)の件についてご対応をお願いしてもよろしいでしょうか。
また、急用のさいは〇〇〇ー〇〇〇ー〇〇〇〇(自分の携帯番号)へ連絡頂きますようお願い致します。
急なことでご迷惑をおかけしますが、どうぞ宜しくお願い致します。
②メールの場合
件名:忌引き休暇取得のお願い
▢▢部▢▢課
▢▢様
お早うございます(お疲れ様です)、〇〇です。
この度、母(続柄)の逝去にともない、忌引き休暇を取らせて頂きたく下記につきましてご連絡申し上げます。
忌引き申請の期間:〇日間(〇月〇日~〇月〇日まで)
故人の氏名:〇〇〇〇
故人との続柄:実母/祖父など逝去日:2022 年〇月〇日
通夜:〇月〇日(曜日)○○:○○~ 告別式:〇月〇日(曜日)○○:○○~ 式場:〇〇斎場
なお、葬儀は近親者のみの家族葬を行います。母の遺志により、ご厚志につきましては大変失礼ながらご辞退申し上げます。
急用のさいは、下記の携帯番号までご連絡頂きますようお願い致します。
〇〇〇ー〇〇〇ー〇〇〇〇(自分の携帯番号)
大変ご迷惑をおかけして申し訳ありません。何卒、よろしくお願い致します。
〇〇〇〇(あなたの名前)
家族葬の場合を例にご紹介しましたが、葬儀内容を知らせないことで確実にトラブルを避けることもできます。たとえ行き違いがあったとしても、場所が分からなければ葬儀への参列はできませんからね。
会社への連絡を初心者が進めるための手順
初めて家族に不幸があった場合、いざ会社に連絡しようと思っても戸惑うことばかりではないでしょうか。上司や取引先など、複数の顔や名前が浮かんでくるものの、どう進めていけばよいのか迷ってしまいますよね。ここでは連絡漏れのないように、会社への訃報連絡の手順について詳しくお話することにします。
直属の上司
まずは上司に不幸があった事実を連絡します。あなたが休んでいる間の業務の調整をしなければいけないので、早急に連絡を入れましょう。その後、葬儀内容などについて改めてメールで連絡をします。詳細については文章化した方が、誤解が生じにくくなるからです。
同時に、同僚や他の部署への連絡について指示を仰ぐのも良いでしょう。
総務
忌引き休暇の日数確認や会社側の手続きもあるので、総務への連絡も忘れないようにしましょう。
同僚
次に、あなたの仕事を引き継いでもらう可能性もあるので、同僚にも一報を入れておくことをお勧めします。本人の業務との調整を快く行ってもらうためにも、お詫びと感謝の気持ちも添えましょう。
取引先
最後に、他の社員にあなたの仕事をお願いする場合は、上司と依頼する人に確認した上で関係者へメールを送ります。あなたの代わりに業務を行う人の名前はもちろん、あなたの緊急連絡先も一緒に伝えておきましょう。
とくに、アポイントなどを延期しなければならないとなると、相手は状況を理解しつつも業務への支障を懸念することが推測されます。上司と相談し代理の担当者をつけるなど、最大限の努力の姿勢を示すことが肝要です。
会社への連絡で失敗しないための3つの注意点
遺族は、訃報の案内や葬儀の手配など多忙になりがちです。会社への連絡も後回しになりかねません。しかし、手続きや処理が滞らないよう速やかにマナーをわきまえて行えるよう、次の3 つの点を留意しておきましょう。
速やかな対応とは
会社への連絡は「不幸が分かった時点でなるべく早く口頭で」と言っても、判断は人それぞれです。状況によって、訃報だけ連絡するケースと葬儀連絡も同時にできる場合もあるでしょ う。それぞれの連絡内容について説明します。
①訃報だけ連絡する場合
電話をかけるのが迷惑と思われる時間帯や休日、葬儀について決まってないときなどは、一旦亡くなった事実を伝えます。
・亡くなった人とあなたとの続柄
・いつ亡くなったのか
・葬儀については分かり次第連絡する旨
②葬儀日程も一緒に連絡できる場合
上記の訃報連絡の内容に加えて、次のことを伝えます。
・葬儀様式
(一般葬の場合は、喪主の名前、通夜・告別式の日程)
・忌引き休暇の申請
〈忌引き休暇について〉
意外ですが、忌引き休暇は「育児休暇」のように労働基準法で定められている休暇ではありません。福利厚生の一環として会社が独自に設けている休暇で、「バースデー休暇」や「リフレッシュ休暇」などと同じくくりです。
ですから、取得できる期間も会社によって異なりますが、故人との続柄によって日 数を定めるのが一般的です。そもそも「慶弔休暇制度」を設けておらず、有給休暇で対応している会社もありますので、あらかじめ就業規則で確認しておくといいでしょう。
また、忌引き休暇については、口頭だけではなくメールによる申請をしておくことで、勘違いによるトラブルを防ぐことができます。
葬儀のスタイルを伝える
①一般葬か家族葬か
どのような形式で葬儀を執り行うかは、重要な連絡内容のひとつです。というのも、葬儀日程だけを知らせてしまうと、会社側は一般葬だと考え参列の準備を始めます。ですから、弔問や香典の必要のない家族葬なのか一般葬なのかは明確にしておく必要があります。
②宗教について
一般葬を仏式で行わない場合は、どのような形式で葬儀を行うかも伝えておきましょう。あなたの職場関係者が葬儀場で慌てることのないように、参列のさいの慣習についても簡単に説明しておいてください。
訃報連絡をした後のお悔やみメールへの返信
会社の上司や同僚に訃報連絡をすると、お悔やみの返信メールが届きます。忙しい期間ではありますが、折を見て出来るだけ早く返信するようにしましょう。とくに、あなたが喪主で返信が難しいこともあるので、最後に「返信不要」である旨を書いておくといいでしょう。また、件名は変えずにそのまま返信します。
〈上司からのお悔やみメールへの返信例〉
件名:(来たメールのまま)
▢▢部長
お忙しい中ご丁寧なお悔やみの言葉を頂きありがとうございます。無事に葬儀を終え一区切りついたところでございます。
しばらくの間ご迷惑をおかけしますが、宜しくお願い致します。
とり急ぎメールにて失礼致します。
ご多忙中のことと存じますので、このメールへの返信はご無用です。
〇〇〇〇(あなたの名前)
まとめ
家族に不幸があったときは、社員として職場に迷惑をかけない配慮が重要でした。家族葬であっても会社への連絡を省いてはいけません。業務の引継ぎだけでなく社内の手続きも発生するので、迅速・簡潔を心がけましょう。まずは上司へ連絡し、必要であれば関連部署へも伝えます。辛く大変な状況の中ではありますが、適切な対応をすることで職場内でも快い雰囲気が保たれるのではないでしょうか。