親や親族が亡くなり相続が発生すると、相続人は相続財産の調査を行わなくてはいけません。
相続財産の調査ついては正確さが重要で、調査内容はその後の相続手続きに大きな影響があります。
身内が亡くなると悲しむ間もなく、やらなければいけないことがたくさんありますが、相続に関する手続きもその1つです。
この記事では、相続の財産調査に関する基礎的な知識や、失敗しないためのポイントをご紹介します。
親はまだ元気だから大丈夫…と思わずに、万が一のときのための参考にしてください。
相続財産調査に関する基礎知識・財産調査とは?
相続財産調査とは、亡くなった方の財産を調べることです。
自分の親が亡くなった場合でも、長く離れて暮らしていたのであれば、どのくらいの財産が遺されていたのかは容易に知ることができません。
調査すべき相続財産には、次のような財産が該当するので、確認が必要です。
・不動産
・現金
・預貯金
・証券(株式・投資信託など)
・その他(貴金属・家具・美術品・自動車など)
・債務(借入金・保証債務・未払い金など)
プラスの財産だけではなく、債務(負債)に関しても相続の対象となるため、郵送物や書類、PCやスマートフォンの履歴などもチェックしなければいけません。
負債の金額によっては、相続手続きに大きな影響が出てしまう可能性もあるので、正確に調べる必要があります。
相続財産調査が必要な2つの理由
相続財産調査は、相続が開始された時点で早急に行う必要があります。
相続財産調査が必要な2つの理由をご紹介しましょう。
遺産分割協議には不可欠
相続人が複数存在する場合は、遺産分割協議を行います。
法定相続分を特定するために、相続財産調査で相続財産を特定しなければいけません。
相続する財産をどうするかを決めるのは、相続開始を知ったときから3ヶ月以内です。
単純承認ではなく、限定承認や相続放棄をする可能性があれば、相続財産調査は絶対に必要です。
遺産分割に伴うさまざまな手続きを行う上で、相続財産調査は不可欠といえるでしょう。
相続税申告の判断材料になる
相続税の申告には、相続する財産の特定が必要です。
相続人・相続財産・分配方法が決まったら、相続税の申告・納税をしなければいけません。
相続税の課税遺産総額を算出するには、以下の方法を用います。
相続財産-基礎控除額{3,000万円+(600万円×法定相続人)}
相続税は基礎控除額を超えていた場合のみ、申告が必要ですが、その判断をするためにも相続財産調査は必要なのです。
相続財産調査を進める手順
相続財産調査は、遺言の有無にかかわらず正確に調査する必要があります。
初めてのことでわからないという方向けに、相続財産調査を進める手順をご紹介しましょう。
どんな財産がどこにどれだけあるのか
相続財産調査の第一歩は、
どんな財産が
・どこに
・どれだけあるのか
を調べることから始まります。
プラスの財産だけではなく、債務に関しても調べなくてはいけないので、かなりの時間を要します。
被相続人の通帳・書類などから、財産の有無を調べていかなくてはいけません。
相続財産の価値を知る
相続財産の中には、価値を調べなければいけないものがあります。
不動産・美術品・貴金属・自動車・証券などです。
どのくらいの価値があるのか、金銭的に評価をする必要があります。
相続財産調査で価値の査定が必要なものがあれば、専門家への鑑定、中古品販売業者へ見積もりを依頼することが一般的です。
相続財産調査で失敗しないためのポイント
相続財産調査で失敗しないためのポイントは、相続問題にくわしい専門家のアドバイスを受けることです。
・専門的知識が必要なこと
・手続きが煩雑なこと
を考えると、個人で行うよりも正確性・効率性が良いことが理由です。
相続人が多い場合は、思わぬトラブルが起き、専門的な第三者の介入が必要になるケースもあります。
弁護士・税理士・行政書士・司法書士など、相続問題の取り扱いが多い専門家に依頼しましょう。
まとめ
相続財産調査は、遺産分割協議や相続税の申告に必要なものです。
限定承認や相続放棄は、相続を知ったときから3ヶ月以内に行わなければいけません。
相続人が多い・財産が多岐にわたる・債務の確認が必要といった場合は、相続問題にくわしい専門家にアドバイスを依頼しましょう。
費用は発生しますが、思わぬトラブルを招かない・公平性を保てるというメリットがあります。
スムーズな相続手続きを行うために、相続財産調査は不可欠であることを覚えておきましょう。