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遺言執行者はどのような場合に必要か 選任に失敗しないための方法を解説

遺言執行者(遺言執行人)とは、相続が遺言書どおりに実現されるために種々の手続を行う者のことをいいます。次のような場合には、遺言執行者を選任することで、相続によるトラブルを回避できる可能性があります。

・遺言書を残したいけど、本当にその通りに手続が進むのか心配である。

・相続人同士で仲が悪く、遺言書に記載された内容での手続を進めることができない。

また、遺言によって認知をする場合や、遺言によって相続人の廃除を行う場合には、必ず遺言執行者を選任しなければなりません。

遺言執行者を選任した方が良いという場合にも、どのような手続が必要なのかわからないという方も多くいらっしゃるでしょう。そこで、今回は、遺言執行者を選任するための手続と、選任に失敗しないためにはどうすれば良いのかについて解説します。

遺言執行者の選定手続

遺言執行者を選定する方法としては、次の3つの方法があります(民法1006条、1010条)。

・遺言者が遺言で遺言執行者を指定する。

・遺言者が遺言で第三者に遺言執行者の選任を委託する。

・利害関係人の請求により、家庭裁判所が選任する。

つまり、遺言執行者が必要であると考える遺言者の方については、遺言書で、遺言執行者を指定するか、もしくは、遺言執行者を選ぶ人を指名することで遺言執行者を選任することができます。遺言書で、遺言執行者を指定する際の文例は、次のようになります。

遺言者は、この遺言の遺言執行者として次の者を指定する。

(住所) 東京都~ (氏名) 甲山一郎 (生年月日) 昭和●年●月●日

次に、遺言書があるものの、遺言執行者の指定がなく、相続人同士の話し合いでは遺言書の内容通りに相続が実現できないような場合には、相続人のうちの1人など利害関係人が家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てを行うことで、遺言執行者を選定することができます。

遺言執行者選任の申立ては、戸籍謄本などの必要書類を準備のうえ、申立書を家庭裁判所に提出することで行うことができます。申立先や具体的な必要書類については、裁判所のサイトで確認することが可能です。

https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_18/index.html

選任に失敗しないためには

未成年者及び破産者以外の者については、遺言執行者になることができます(民法1009条)

しかし、遺言執行者の選任については、慎重に行うべきです。遺言執行者は、相続財産の調査や戸籍の収集などの業務を行います。これらの業務は、手間がかかるものであり、知識がなければ必要な手続すらわからないという場合もあります。そのため、経験や知識のない人を遺言執行者に選任すると、逆に手続が進まなくなるなどのトラブルが発生してしまうことになります。

そこで、遺言執行者には、弁護士や司法書士といった相続関係の専門家を選任するようにしましょう。相続人同士の仲が悪いような場合には、相続人の中からではなく、第三者が遺言執行者になることで、手続がスムーズに進むという効果もあります。

身近に専門家がいない場合には、法テラスを利用することで、弁護士による無料相談を受けることも可能です。法テラスのサイトから、お近くの法テラスを探して問い合わせてみるようにしてください。

https://www.houterasu.or.jp/

遺言執行者選任の申立ての場合には、家庭裁判所により、専門家が遺言執行者として選任されることになるので、安心して手続を進めることができるでしょう。

まとめ

せっかくの遺言書も、その内容が実現されなければ意味がありません。遺言書の内容を確実に実現するためには、専門的知識があり、信頼することのできる遺言執行者を選任することが重要です。不安な場合は、弁護士や司法書士に相談し、安心して手続を進められるようにしましょう。