相続の準備としては、遺言書の作成を思い浮かべる方が多いでしょう。
遺言書を作成するためには、自分の財産を正確に把握しておく必要があります。せっかくの遺言書も財産の記載漏れがあると無駄になってしまうかもしれません。
不動産一覧表は、その名のとおり、自分が所有する不動産をまとめた表のことをいいます。不動産一覧表は、遺言書を作成する前提としても必要となりますし、仮に遺言書を作成しない場合であっても、相続人のために不動産一覧表を作成しておくことは有益です。
この記事では、不動産一覧表の作成方法と、不動産一覧表を作成することのメリットについて解説します。
所有不動産の確認方法
不動産一覧表を作成するためには、当然のことながら、自分が所有している全ての不動産を把握する必要があります。
所有している不動産を忘れることなどないと考える方も多いでしょうが、田舎の小さな土地を相続してそのままになっているケースなどはよくあることです。また、不動産の所有者が認知症となってしまったり、亡くなって実際に相続が開始されたりしてから不動産一覧表を作成するケースもあるので、所有不動産を調べるための方法を知っておくことは重要といえます。
固定資産税納税通知書を確認する
固定資産税納税通知書を保管している場合には、その記載から所有不動産を把握することができます。
固定資産税納税通知書は毎年送られてくるので、必ず保管しておくようにしましょう。
不動産の権利証や登記簿関係の書類を確認する
不動産の権利証や登記簿関係の書類がある場合には、その内容から所有不動産を把握することができます。
不動産にかかわる重要書類はまとめて大切に保管しておくようにしましょう。
名寄帳を取得する
市区町村役場に申請を行うことで、名寄帳という書類を取り寄せることができます。名寄帳は、その市区町村に所有する不動産の一覧をまとめた書類です。
固定資産税納税通知書や不動産の権利証などの書類から、不動産を所有していることが判明している市区町村や、それ以外にも、何らかの縁があり不動産を所有している可能性がある市区町村で名寄帳を取り寄せるようにしましょう。
不動産一覧表の作成
所有不動産の把握ができたら、実際に不動産一覧表を作成します。
不動産一覧表に記載することが必要な事項は次のとおりです。
土地の場合
・所在
・地番
・地目
・地積
建物の場合
・所在
・家屋番号
・種類
・構造
・床面積
また、相続などで使用する場合には、固定資産税納税通知書などからまとめて、評価額についても記載する必要があります。
不動産一覧表を作成するメリット
不動産一覧表を作成することには、次のようなメリットがあります。
所有不動産を把握でき税金の申告漏れなどを防止できる
不動産一覧表を作成し、所有不動産を正確に把握することができれば、所有不動産を適切に管理することができ、税金の申告漏れなどを防止することもできます。
正確な遺言書を作成して相続時のトラブルを避けることができる
不動産一覧表をもとに遺言書を作成することで、不動産の相続方法を適切に指定することができ、相続時のトラブルを避けることができます。
遺産分割協議や相続税の申告に備えることができる
実際に相続が発生してから、被相続人の不動産を把握することは難しいことがあります。予め不動産一覧表を作成しておくことで、スムーズに遺産分割協議や相続税の申告を行うことができるでしょう。
まとめ
生前に不動産一覧表を作成しておくことは、それほど難しい作業ではありません。
不動産一覧表を作成しないまま相続が発生してしまうと、所有不動産を把握することができなかったり、相続トラブルを招いてしまったりする可能性もあります。
少しの手間を惜しむことなく不動産一覧表を作成して相続に備えておくようにしましょう。