「生前贈与は、初めてなので、どうしたらいいのか教えてほしい!」
「どうせ財産を渡すのなら、なるべく税金がかからないようにしたい!」
「子どもが結婚したので、まとまったお金を渡して子育て資金にしてほしい!」
生前贈与を考えたとき、このような思いを抱いたことはありませんか。
特に税金対策を詳しく知り、できるだけ多くの財産を渡したいと考えますよね。
ここでは、生前贈与の課税方法について詳しく解説しますので、生前贈与を検討する際にお役に立てると幸いです。
生前贈与とは
生前贈与とは、「自分の財産を自分の意思で別の人に与えること」です。
贈与者(財産をあげる側)は「差し上げます」という意思表示が必要です。また、受贈者(財産をもらう側)も「もらいます」という承諾をしなければなりません。つまり、両者の合意を得ることで成立する「契約」なのです。
受贈者は金額や不動産などに応じた贈与税を負担しなければなりません。贈与者は、せっかく財産をあげたのに受贈者が税金で悩んでしまうことは避けたいですよね。
生前贈与を考える際は、なるべく税金の負担がかからない、よりよい方法を知りたいと思いませんか。ある一定の条件を満たすと贈与税の特例を受けることができたり、非課税になる場合があります。これらをうまく活用して生前贈与を進めていくとよいでしょう。
生前贈与の3つの課税方法について 目的別に解説!
生前贈与の課税方法は、以下の3つです。
1.暦年課税
2.相続時精算課税
3.家族間の贈与における特例と非課税制度
それぞれの特徴を知り、生前贈与をするときに役立ててください。
①暦年課税 110万円以下は非課税
「暦年課税」とは、毎年1月〜12月までの1年間に贈与された金額のうち、基礎控除である110万円以下であれば、課税の対象にならない制度のことです。申告の必要もありません。
注意点は、受贈者はたとえ1人からの贈与は基礎控除額の110万円以内の贈与だったとしても、2人以上から贈与され110万円を超えた場合は贈与税がかかります。受贈者に税金がかかるということを忘れないでください。例えば、受贈者が祖父母の2人から100万円ずつの贈与を受けた場合は、200万円となりますので、基礎控除を差し引いた90万円は課税の対象になります。
②相続時精算課税 2,500万円までは非課税
まとまった金額の贈与を検討しているときは、「相続時精算課税」の利用を考えてみてはいかがでしょうか。60歳以上の父母または祖父母から、成人の子どもや孫に贈与する場合に相続時精算課税を選択できます。この場合は、累計で2,500万円を超えない場合は贈与税は課税されません。2,500万円を超過する場合は、超過した額に一律20%の贈与税課税されます。
ただし、贈与者が亡くなり相続が発生した場合は、生前贈与された分も相続税の対象になります。つまり、相続時までの納税の先送りなだけであって、節税できるわけではありません。相続税がかからない金額であれば、贈与したいタイミングで渡せるので便利な制度です。
③家族間の贈与における特例と非課税制度 4つの特例を紹介
家族間で贈与する場合の特例を4つ紹介します。
・贈与税の配偶者控除(オシドリ贈与)
・住宅取得等資金贈与
・教育資金の一括贈与
・結婚子育て資金贈与
一つずつ説明していきます。
1つ目の「贈与税の配偶者控除」とは、20年以上連れ添った配偶者に、自宅または自宅購入資金を贈与するときは、最大2,000万円が非課税となる制度です。ただし、夫婦間で相続した場合は1億6,000万円までは非課税ですので、相続税の節税には効果がありません。
2つ目の「住宅取得資金贈与」とは、子どもや孫が家を購入するときの資金を贈与する場合は、最大1,500万円までは非課税となる制度です。
3つ目の「教育資金の一括贈与」とは、子どもや孫に対する教育に必要になるであろう資金を見積もりし、必要な資金を一括で贈与するということです。1,500万円までは税金がかかりません。
4つ目は「結婚子育て資金贈与」といって、結婚や子育てに必要な資金を1,000万円まで非課税にするという制度です。
初心者が生前贈与を検討する場合
初心者が生前贈与を検討する場合は、専門家(弁護士・税理士等)に相談することをおすすめします。専門家が持っている知識を活用し、あなたにとって一番いい方法を選びましょう。その上、手続きにかかる手間も省くことができます。
初心者が自分で進めるときは、「暦年課税制度」を使い、毎年コツコツと110万円以下の金額を贈与していくと節税になります。しかも、申告の必要がありませんので、簡単です。人数制限もありません。
毎年5人に100万円ずつ5年間生前贈与し続けたとする場合は以下のようになります。
1,000,000☓5☓5=25,000,000
つまり、2,500万円を贈与税をかけずに、渡すことができます。
生前贈与を検討する場合の注意点
「暦年課税」以外の生前贈与を考えるときは、注意が必要です。そもそも財産の相続を選んだ方が税金がかからない場合もあります。
また、不動産贈与は「家を100万円分生前贈与する」などということはできませんので、贈与税が高額になる可能性があります。
まとめ
生前贈与でなるべく税金をかけたくないときは、専門家に相談しましょう。渡し方によっては、税務署に生前贈与だと認められないケースもありますので、アドバイスをもらうことをおすすめします。また、相続税がそもそもかからない金額であれば、相続したほうが余計な税金を払わずに済みます。
生前贈与は「まとまった金額をこのタイミングで渡したい!」という明確な意思がある場合に検討することをおすすめします。