銀行の預金などと異なり、株や証券は名義変更による相続ができません。
本記事では、株や証券の相続における、証券会社での口座開設の概要を説明します。
また相続の手順や、注意点も合わせて解説します。
株や証券を相続する可能性がある方は、ぜひ最後までお読みください。
株や証券の相続には証券会社での口座開設が必要
株や証券を相続するには、証券会社での口座開設が必要です。
これらの金融商品は、口座の名義が変更できないため、「被相続人の口座から相続人の口座への移管」という形で手続きが進みます。
相続人が新しく開設する口座の証券会社は、被相続人が利用していた証券会社と別でも相続は可能です。
ただし同じ証券会社で手続きを行う場合に比べて、手間やコストがかかることがあります。
また相続用の口座は、相続人の数だけ必要なため注意しましょう。
証券会社に口座を開設し、株や証券を相続する手順
被相続人から株や証券を相続するための手順は、以下の2ステップです。
1. 相続方法を決める
2. 証券会社への問い合わせ
相続方法を決める
株や証券の相続方法は下記の3通りがあります。
・換金分割
・現物分割
・代償分割
相続人が複数人いる場合は慎重に協議し、相続方法を決定しましょう。
換金分割
換金分割とは、相続した株を売却し、得た代金を相続人で分割する方法です。
株の価格は時価のため、売却のタイミングによっては損をすることがあります。
逆に、株価が上昇しているタイミングで売却することで、より大きな額を相続することもできます。
現物分割
現物分割とは換金分割の逆、つまり株を現物のまま相続する方法です。
株は銘柄によって、金融商品としての価値が異なります。
そのため相続人が複数人いる場合、「誰がどの銘柄を保有するのか」を協議により決める必要があります。
代償分割
代償分割は、相続人のうち1人が株を現物で相続し、他の相続人に代償金を支払う方法です。
支払う金額によっては、相続人の間で不公平感が生じるため、代償金の金額は慎重に決めなければなりません。
代償金の評価方法は、相続開始日の株価を用いるのが一般的とされています。
証券会社への問い合わせ
株を相続する方法が決まったら、被相続人が利用していた証券会社に連絡し、相続の旨を伝えます。
証券会社から説明を受け、手続きに必要な書類を提出して下さい。
被相続人が利用していた証券会社がわからない場合は、「証券保管振替機構(ほふり)」に問い合わせることで、特定できます。
証券保管振替機構への問い合わせに必要な書類は下記の通りです。
・開示請求書
・相続人の本人確認書類
・法定相続情報一覧図(または被相続人の住所の確認書類)
株や証券を相続する時の注意点
被相続人が確定申告の対象である一般口座などを利用していた場合、相続人が代理で確定申告を行う必要があります。(準確定申告)
準確定申告は相続の開始を知った日(被相続人の死亡日)から4ヶ月以内の申告かつ、相続人全員の連署が必要です。
申告の期限を過ぎてしまうと、税額の加算などの対象になる可能性があります。
株や証券を相続したら、できるだけ早く手続きを済ませ、準確定申告を忘れずに行いましょう。
まとめ
株や証券を相続するには、相続人全員に移管用の口座の用意が必要です。
移管用の口座は、被相続人と異なる証券会社でも問題ありませんが、一般的には同じ証券会社の方がより早く手続きを終えられます。
被相続人が確定申告の対象であった場合、相続の開始があった日から4ヶ月以内の準確定申告が必要です。
そのためにも株の移管手続きなどは、できるだけ早く済ませるようにしましょう。
株や証券を相続する可能性がある方は、今のうちから口座の開設や、相続方法の協議を進めておくことをおすすめします。