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相続時精算課税制度を利用すれば2500万円まで贈与税が非課税に!まとまった資金の贈与が可能

子どもに現金を残し、かつ相続税を節約したいなら、「生前贈与」を検討するのがおすすめです。 

生前に財産を与える生前贈与は、有効な相続税対策の1つとして知られています。生前贈与を行うことで、遺産相続の際にかかってくる相続税を減らすことができるからです。 

この記事では生前贈与について紹介していきます。 

生前贈与とは

生前贈与とは、生きている間に個人から別の個人へ、財産を贈与することです。生前贈与では、法定相続人以外にも財産を引き継ぐことができ、好きなタイミングで贈与できます。 

生前贈与を行った場合、贈与を受ける方は贈与税の支払いが必要です。ですが、贈与税は特例制度を活用すると、控除を受けたり、非課税になったりする場合もあります。 

計画的に生前贈与を行なえば、相続税を大幅に節税することが可能です。 

生前贈与の特例制度

ここからは節税に役立つ生前贈与の特例制度をご紹介します。 

暦年課税の基礎控除

「暦年課税」は1年間の贈与額に応じて課税される仕組みのことです。暦年課税には年間110万円の基礎控除があるため、110万円までの贈与には課税されません。 

そのため年間110万円以内で、何年かに分けて行うのが効果的です。早く開始して長く続けると、その分、節税効果が高くなります。 

生前贈与は、暦年課税の基礎控除を利用するのが一般的です。 

夫婦間で居住用の不動産を贈与したときの控除

夫婦間で居住用の不動産を贈与する場合、暦年課税の基礎控除に加えて、2000万円まで控除されます。「おしどり贈与」とも呼ばれる制度です。 

ただし、適用されるには以下の条件を満たす必要があります。 
・婚姻期間20年以上の夫婦間 
・居住するための「不動産」または「不動産を購入する資金」を贈与 
・同一の夫婦間で初めて利用 
・贈与の翌年3月15日までに贈与を行った不動産、または贈与資金で購入した不動産に居住しており、将来も住み続ける意思がある 

上記の条件を満たしつつ、2月1日~3月15日までに贈与税の申告書を提出すると、控除が受けられます。 

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

父母や祖父母から、20歳以上の子どもや孫が、居住用住宅購入や新築、リフォームなどの資金援助を受ける場合、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」の特例を受けられます。 

非課税限度額は500万円~3000万円。購入する住宅や工事の契約締結日などの要件によって非課税限度額が異なります。 

なお、2022年3月時点で、非課税の期限は2023年12月31日までとなっているので、ご注意ください。 

直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税 

父母や祖父母から、20歳以上50歳未満の子どもや孫などへ、結婚や子育て資金を贈与した場合、贈与税が非課税となります。 

非課税限度額は受贈者1人あたり1000万円まで。そのうち結婚資金の上限は300万円となっています。 

なお、2022年3月時点で、非課税の期限は2023年12月31日までとなっているので、ご注意ください。 

祖父母などからの教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税枠

祖父母などが、30歳未満の子どもや孫などの教育資金を一括贈与する場合、1500万円までの非課税枠が設けられています。 

ただし、現金などで直接贈与することはできません。金融機関で「教育資金管理口座」の開設や、資金の引き出しに教育費の領収書を提出する必要があるなど、少し手間がかかります。 

また、2022年3月時点で、2023年3月31日までの制度となっているので、ご注意ください。 

まとまった資金を生前贈与したいなら「相続時精算課税制度」も検討

「相続時精算課税制度」とは、60歳以上の父母または祖父母からの20歳以上の子または孫への生前贈与が、2500万円まで非課税となる制度です。2500万円を超えた金額には、20%の贈与税が課されます。 

ただし、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産は、すべて相続税の対象となるので節税にはつながりにくいです。節税というより、贈与税を相続時まで先送りする制度といえます。 

節税にはなりにくいですが、まとまった資金を贈与できるため、状況に応じて「相続時精算課税制度」の利用も検討してみるといいでしょう。 

名義預貯金や定期贈与に注意

生前贈与を行っても、税務署から「名義預貯金」や「定期贈与」とみなされると、課税されるおそれがあるため、注意が必要です。 

以下にて、それぞれ解説していきます。 

名義預貯金

生前贈与のつもりで、子ども名義の銀行口座へ入金していると、税務署が家族の名義を借りているだけの「名義預貯金」とみなし、相続財産に計上されてしまうこともあります。 

相続財産に計上されてしまうと、生前贈与分が申告漏れとして指摘され、子どもに負担がかかってしまう可能性があります。 

子どもに口座を管理させたり、子どもが自分で作った口座に入金したりするようにすれば、名義貸しではないと認められるため、名義預貯金を防ぐことが可能です。 

定期贈与

毎年同額を入金する形で贈与を行うと、「定期贈与」とみなされる可能性もあります。 

定期贈与とは、最初から大きな金額を贈与するつもりで、小分けに贈与すること。例えば最初に1000万円贈与するつもりで、10年間で毎年100万円ずつ贈与すると、定期贈与にあたります。定期贈与とみなされると、贈与の総額に対して贈与税が課せられてしまうため、注意が必要です。 

定期贈与とみなされないためには、毎年親子間で贈与の意思を決定している必要があります。子ども名義の口座へ定期的に入金するなら、親子間であっても、毎年贈与契約書を作成しておくのがおすすめです。 

生前贈与は老後の資金も一緒に検討を

生前贈与について紹介しました。 

生前贈与を上手に活用すれば、節税効果は抜群です。 

しかし、資金に余裕がない場合に生前贈与を行うと、老後の資金が足りなくなってしまう恐れもあります。 

生前贈与を検討する際には、老後に必要な資金もあわせて検討するようにしましょう。