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死因贈与契約の活用法と遺言との違いを徹底解説!自分の財産を確実に遺したい人必見の制度活用法

死因贈与契約と言われても、これまで耳にしたことがないという方も多くおられるのではないでしょうか。遺言と違って、テレビや新聞などのマスコミで取り上げられることもあまりありません。

しかし、遺言と同じように、場合によっては遺言よりも確実に、自分が亡くなった後資産を特定の人に譲る方法として活用できる制度です。

以下では、遺言と比較しながら死因贈与契約について説明してゆきます。

死因贈与契約とは

死因贈与契約とは、財産を譲り渡す人(贈与者といいます)が、自分の死亡により効力が生じるものとして、財産を譲り受ける人(受贈者といいます)との間で結ぶ贈与契約のことです。なお、贈与契約とは、贈与者が受贈者に対して無償で(つまりただで)ある財産を与える契約です。

死因贈与契約と遺言は、本人の財産を無償で相手に与えるものである点、本人の死亡によって効力が生じる点で共通します。しかし、遺言は本人が自分一人で書くことができますが、死因贈与契約は「契約」なので贈与者と受贈者がお互いに合意することが必要です。また、遺言は民法という法律で作成方法が厳しく定められていて書面によることが必要ですが、死因贈与契約は、もちろん書面のほうが望ましいですが口頭で合意しても有効です。

死因贈与契約と遺言の似ている点・細かい違い

死因贈与契約は、本人の死亡によって効力が生じる点で遺言と共通するので、遺言に関する法律の決まりが多く使われます(専門的な言葉で「準用」といいます)が、その性質の違いにより準用されないものもあります。

死因贈与契約と遺言の違い

準用されないものとしては、以下のようなものがあります。

遺言については、本人が死亡して遺言の効力が生じた後、財産をもらう側が放棄する(つまり財産はいらないという)ことができますが、死因贈与契約では放棄することはできません(ただし、書面を作らずに死因贈与契約を結んだ場合を除きます)。
 遺言は、本人が死亡して遺言の効力が生じた後、家庭裁判所で検認という手続きを行う必要がありますが、死因贈与契約では不要です(なお、遺言のうち、公証役場で作成する公正証書遺言と自筆証書遺言で法務局での保管という制度を利用した場合は検認という手続きは不要になります)。

死因贈与契約と遺言の似ている点

逆に、準用されるものとしては、以下のようなものがあります。

遺言については、遺言執行者(遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人)を定めることができますが、死因贈与契約でも死因贈与執行者を定めることができます。

遺言は、本人がいつでも撤回すること(遺言を無かったことにすること)ができますが、死因贈与契約でも受贈者とは異なり、贈与者本人はいつでも死因贈与契約を撤回することができます。ただし、死因贈与契約のなかでも、負担付死因贈与契約といわれるものについては、撤回ができない場合があります。負担付死因贈与契約とは、財産を無償で贈与する代わりに、例えば贈与者と同居して扶養するとする(これが「負担」になります)ものです。数十年に渡って贈与者と同居して扶養した後に死因贈与契約を撤回されては、受贈者がたまりませんから、このような場合は撤回ができないものとされています。

税金や価値について

贈与者が亡くなり死因贈与契約の効力が生じた場合、税金がどうなるのかも心配になるかもしれませんが、遺言の場合と同じく贈与税ではなく相続税が適用されます。

また、死因贈与契約については、他にも不動産について、遺言の場合とは異なり、贈与者が生きている間に、仮登記といって受贈者が譲り受ける権利を公示し、自分の権利を守る制度を利用することもできます。

自分の財産を、亡くなった後特定の人にあげたいと考えている方は、遺言と同じような効果が期待できる死因贈与契約も検討してみてはいかがでしょうか。

ただし、死因贈与契約は、後で本当に本人の意思で契約したのかなど争いになる場合もありますので、口頭ではなく書面で、さらに公正証書という形にすることをおすすめします。