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遠方に在住する親の死亡による財産相続時の対応方法 – 都市部在住者のための円滑な手続きの実現に向けて

地方に在住している親が亡くなった場合で、自身が都市部に住んでいたとしても財産を相続することになれば手続きが必要となります。しかし日々の仕事や生活もあるため、円滑に処理したいと思う人も多いでしょう。

本記事では、遠方にいる親の財産を相続しなければならなくなった場合の対応方法についてご紹介します。

遠方に財産(預金口座)がある場合の相続手続き

遠方に住む親の預貯金口座や証券口座がある場合、地方の銀行やメガバンクによって対応が変わってきます。基本的に相続手続きする場合、口座を作った銀行や証券会社の支店で直接手続きしなければなりません。

メガバンクの場合

遠方に住む親の預貯金をメガバンクで取引していた場合、相続人が直接その支店に行かなくても、近くの支店で相続手続することが可能です。現在では、ほとんどの銀行や証券会社は、支店で手続したものを銀行内にある「相続センター」のような、専門に処理する部署を設置して対応しているため、どこの支店に行っても対応できることがあります。

また「相続センター」のような部署が設置されていない場合であっても、支店に行くことで支店を通じて郵送で対応していることもあるため、まずは近くの支店で確認すると良いでしょう。ただし支店に直接行って申請した方が早く処理できるため、相続税の申告期限が差し迫っているような場合は、口座のある支店に行って手続きした方が良い場合もあります。

なお全国規模の金融機関であっても、取引先支店でしか対応してくれないところもあるため、あらかじめ確認し相続手続きの進め方などを相談した方が良いかもしれません。

地方の銀行や証券口座の場合

信用金庫のような地域に密着した金融機関の場合、都市部に支店がないことが多いです。直接支店に行かなければならなくなった場合、手間と時間、交通費がかかってしまいます。また銀行や証券会社は平日の日中しか営業していないため、わざわざ仕事を休んで行く必要があります。

地方の銀行や証券会社によっては、郵送で相続手続きの対応をしてくれることがあるため、まずは一度確認して相談するようにしましょう。ただし郵送手続きを受け付けていない場合もあるため注意が必要です。

なお郵送の場合、相続手続きに不慣れで必要書類が不足した場合や、申請書の記載を間違えてしまうと、何度も郵送でやり取りすることになります。郵送の場合、往復の時間もかかるため、相続税の申告期限が差し迫っていれば、最悪間に合わなくなることもあるため注意しましょう。

もし相続人が遠方にある銀行や証券会社に行かなければならない場合、相続手続きを専門にやっている弁護士や、司法書士、行政書士などに依頼する方法があります。費用はかかるものの、手間と時間は大幅に減り、不慣れな手続きによってストレスが溜ることも抑えてくれます。自身で無理に相続手続するのではなく、始めから専門家に依頼することも選択肢の1つとなるでしょう。

貸金庫を契約していた場合

もし遠方に住む親が貸金庫を契約していた場合、必ず貸金庫を利用していた支店に出向かなければならないため注意が必要です。貸金庫は、契約上の相続手続きだけではなく、貸金庫に入っている中身も回収しなければなりません。

郵送などでやり取りできるようにしてしまうと、銀行員が中身を取り出すことでトラブルになる可能性もあるためです。貸金庫の契約がある場合には、支店に直接出向く必要があることは覚えておくようにしましょう。

遠方に財産(不動産)がある場合の相続手続き

遠方の親が住んでいた自宅などの不動産は、売却または賃貸にすることが多いです。しかし売却や賃貸するためには、相続を確定させて相続登記を行う必要があります。

相続登記を行う

相続登記は、亡くなった人の名義から相続した人の名義に変更するための手続きです。相続登記の手続きは、不動産の所在地を管轄する法務局で行う必要があり、窓口に行くのが難しかったとしても、郵送やオンラインで申請ができます。

なお亡くなった人名義のまま売却することはできないため、売却に際して必ず必要な手続きとなります。

売却手続きを委任する

不動産を売買するには、不動産仲介業者などの代理人に手続きを委任することが一般的です。不動産仲介業者は、現地の仲介業者や全国対応している業者もあります。現地の仲介業者であれば、その地域のことを熟知していることが多いため、その地域の相場価格などを把握しているでしょう。ただし全国対応であっても、支店などが地域の仲介業者と同じように営業しているため、そこまで大きな違いはありません。

どちらの場合も自身の代わりに率先して活動し、頼れる相談相手を見つけられると安心して依頼することができます。

相続放棄する

相続登記やその後の売却まで、手間と時間がかかることから、あらかじめ相続放棄して相続しないという方法があります。

相続放棄するには、亡くなった人の戸籍謄本などの必要書類を取り寄せて、住所地を管轄する家庭裁判所に郵送で相続放棄の申述を行います。相続放棄は原則として、被相続人が亡くなったことを知った日から3カ月以内に申述する必要があり、期限を過ぎてしまうと相続放棄ができなくなるため注意が必要です。

なお相続放棄によって、相続する人がいなければ、その財産は国庫に帰属します。しかし相続放棄してからすぐに国庫に帰属するわけではなく、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てて、引き継ぐ必要があります。相続財産管理人に引き継ぐまでは責任が伴うため覚えておくようにしましょう。

まとめ

遠方に住んでいた親が亡くなった場合、預貯金であればメガバンクや地方銀行などによって異なり、不動産であれば売却することが一般的です。

メガバンクであれば、近くの支店で対応できるため相続手続きがやりやすいでしょう。しかし信用金庫などを利用していた場合、郵送対応ができなければ現地に行って手続きする必要があります。

不動産については、相続登記は郵送やオンラインで対応でき、不動産仲介業者の依頼についても郵送などでやりとりできることもあるため円滑に手続きを進められます。

遠方の親の財産を相続した場合、日々の仕事や生活もあるため、円滑に処理できるように金融機関や不動産仲介業者に確認して手続すると良いでしょう。