財産目録はいつ頃から書き始めればいいのか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
財産目録は、自分の資産や負債をリストアップするものですが、それほど資産や負債がない場合、書けることがほとんどありません。また、若い年代だと自分が亡くなることが現実的ではない上、財産目録は定期的に更新する必要があるため、あまりに早く書き始めるのは、非効率に感じてしまいます。
そこで本記事では、財産目録をいつから書き始めるべきかを紹介していきます。
財産目録をいつから書き始めたらいい?
財産目録は、40歳から書き始めるのがおすすめです。
財務目録とは、ある時点で個人が保有する財産の状況をリスト化したもの。プラスの財産である「資産」と、マイナスの財産である「負債」を区分や種類ごとにリストアップし、漏れなく記入します。
財産目録を書いておくことで、自分が亡くなったあとに遺された家族が遺産分割や相続といった手続きをスムーズに進めることができます。
40代になると、さまざまな理由で収入や支出が増えてくるので、財産目録を書くには良いタイミングです。定期的に更新する必要はありますが、40歳で財産目録を書いておくと、40歳時点での財産状況をハッキリさせられるため、その後の人生設計に役立ちます。
もしものために40歳から財産目録を書いた方がいい理由
40歳から財産目録を書いたほうがいい理由としては、以下の3つが挙げられます。
・貯金など金融資産が貯まり始める
・負債が急に増え始める(マイホームや教育資金など)
・40代は生活習慣病や三大疾病を発症しやすくなる
それぞれ解説するので、ぜひ参考にしてください。
貯金など金融資産が貯まり始める
30代から40代にかけて、会社で中堅のポジションとして役職を持つ方も増えてくるため、収入が増えてくる方が多くなります。
国税庁の令和3年の民間給与実態統計調査結果を年齢階層別に40代までを抜粋すると以下のとおりです。
年齢階層 | 男女 | 男 | 女 |
~19歳 | 1,342千円 | 1,539千円 | 1,146千円 |
20~24 | 2,712千円 | 2,898千円 | 2,510千円 |
25~29 | 3,726千円 | 4,058千円 | 3,302千円 |
30~34 | 4,157千円 | 4,754千円 | 3,234千円 |
35~39 | 4,543千円 | 5,394千円 | 3,246千円 |
40~44 | 4,850千円 | 5,909千円 | 3,262千円 |
45~49 | 5,108千円 | 6,375千円 | 3,322千円 |
全年齢計 | 4,501千円 | 5,539千円 | 3,055千円 |
以上の通り、30代から40代にかけて収入が大きく増えてくるため、貯金をする方や株式のような金融商品を保有する方も増えることが考えられます。
金融商品も購入するようになると、自分の資産を正確に把握することが難しくなります。資産管理のためにも、40歳から定期的に財産目録を書いておくのがおすすめです。
負債が急に増え始める(マイホームや教育資金など)
40代は負債が急に増え始める年代でもあります。住宅の購入費用や教育費といった、大きな支出が増えてきます。
たとえば、住宅金融支援機構の「2021年度フラット35利用者調査」によると、住宅の全国平均購入価格は、建売住宅が約3495.2万円、マンションが4545.2万円です。さらに住宅を購入すると固定資産税や都市計画税もかかってきます。
子どもがいる家庭では、子どもの成長に伴い教育費や生活費の支出も増えます。進学するにつれて、教育費が増加。子どもの人数が多ければ多いほど、その分教育費が増えていきます。特に、入学初年度は入学金や授業料といったまとまった費用が必要です。そのため、教育ローンを組む家庭も出てきます。
また、40歳になると介護保険料の徴収も開始します。所得によって保険料は異なりますが、30代まではかからなかった支出です。
このように、40代になると支出が増える可能性が高く、支出増に伴い負債が増えやすくなります。財産目録を書いて、資産とあわせて負債も見える化しておけば、人生設計にも役立ちます。
40代は生活習慣病や三大疾病を発症しやすくなる
一般的に40代は心身に不調が表れ出す年代です。ホルモンバランスの崩れや筋力、基礎代謝の衰え、日頃のストレスなどが重なるため、心身のケアを怠ると、その後の人生に悪い影響を及ぼす可能性があります。
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」によると、40代は肥満の割合が増える年代です。肥満は生活習慣病を引き起こしやすくなるため、検診や人間ドックで健康をチェックしていく必要があります。
また、40代からはがんの発症リスクも上がります。独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター「最新がん統計」によると、2019年の年齢階級別の全がんの罹患率を30代後半と40代後半で比較すると、約3倍。50代になるとさらに急上昇します。
がんの死亡率は年々減少傾向ではありますが、万が一に備えて、財産目録を作っておくことで、自分が亡くなった後にご家族が困ることを減らせます。
早めに財産目録を作っておくことでもしものときに余裕を持って進められる
財産目録は、早めに作っておくのがおすすめです。自分の資産や負債を正確に把握しておくことで、短期の生活設計や長期の人生設計に役立ちます。後々には、自分の財産のうち何を処分して、何を家族に遺すといった、財産の整理にも活用できるでしょう。
さらに、急な病気や事故により、自分が亡くなってしまうことがあった場合にも役立ちます。財産目録があると、作成時点での財産状況がハッキリするため、遺された家族が遺産分割や相続などの手続きをスムーズに進めることが可能です。
20代や30代だと、財産目録にするほど資産や負債がない方も多いかと思うので、40歳を目安に作り始めるのがいいでしょう。