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後継ぎ遺贈を知っておこう


財産・遺産の渡し方は、いくつかあります。そしてそのなかには、非常に複雑なものもあります。「後継ぎ遺贈」もまた、そのような方法のうちのひとつです。

ここでは、

・後継ぎ遺贈とはそもそも何か
・後継ぎ遺贈の特徴とは
・後継ぎ遺贈はそもそも有用か、それとも有用ではないか

を取り上げて解説していきます。

後継ぎ遺贈とはどのようなものか? 後継ぎ遺贈についての解説

「後継ぎ遺贈とはどのようなものか」について解説する前に、まずは一般的な遺産相続(※遺言書を作成しない)について解説していきます。

亡くなった人…A
亡くなった人の現妻…B
亡くなった人の前妻…C
AとCの子ども…D
※AとBの間には子どもがいないものとする

特に遺言書を残さなかった場合、Aの財産は、Bが2分の1、Dが2分の1を引き継ぐことになります。そしてBが受け取った財産は、

①Bが再婚したり、Bに子どもがいたりした場合は、再婚後の相手やBの子どもが引き継ぐ

②Bに直系尊属(親など)がいればBの親が引き継ぐ

③Bが再婚しておらず、子どももおらず、直系尊属もいない場合は、Bの兄弟姉妹が引き継ぐ

ということになります。

しかしAが、「現妻のBや、自分と前妻Cの子どもであるDには財産を受け継がせたいが、Bが再婚する相手や、Bの直系卑属・兄弟姉妹には財産を受け継がせたくない」と考えたとします。

その場合、Aが、「自分の死後は現妻であるBに財産を引き継がせるが、Bが亡くなった後はDに遺産を継がせたい」と希望したとします。

このように、「自分・Aの財産を引き継いだ人・Bが死んだ後に、自分・Aが指定した人間・Dに、財産を引き継いだ人・Bの財産を引き継がせること」を「後継ぎ遺贈」といいます。

跡継ぎ遺贈に関する法律的な解釈について

跡継ぎ遺贈はその特殊な形態であることから、法律家の判断も分かれます。

たとえば1983年の最高裁の見解においては、“後継ぎ遺贈といえる遺贈に関して、事案によってはある種の遺贈類型に該当し、有効な遺贈と解することもできると判示している
―引用:国税庁「跡継ぎ遺贈」https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/28/210/hajimeni.htm

とされています。

しかし一方で、跡継ぎ遺贈の有効性を争った裁判の際に、「これは負担付遺贈と解釈できるものであり、跡継ぎ遺贈は効力を発揮しない」とした裁判もあります。

そのため、「跡継ぎ遺贈の有効である」とも「跡継ぎ遺贈は無効である」とも一概にはいえません。ただ現在の法律家の意見を見ると、跡継ぎ遺贈に関して慎重な意見を持つ人が多いように思われます。また遺産の相続における目的を、「自分の残したい人に、きちんとしたかたちで、確実に残す」ということだと考えるのであれば、跡継ぎ遺贈以外の確実性の高い方法を選んだ方がよいとみることもできます。

跡継ぎ遺贈に関する判断は、個々の事例をみて、判断しなければなりません。自身が跡継ぎ遺贈を考えているのであれば、まずは弁護士などに相談して、どのように考えていけばいいかを決定するとよいでしょう。