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必見!老後資金2,000万円問題を解説

老後の費用2,000万が必要 

「老後の資金」「豊かな老後」「子どもたちに迷惑をかけない生活」を意識する人は、非常に多いと思われます。

「豊かで、人に迷惑をかけず、快適な老後」を考えていくうえでは、「老後にいくらくらいの資産が必要か」を意識する必要があります。

ここでは金融庁のデータや国会での質疑応答、そして総務省統計局や内閣府が出したデータを元に、それについて解説していきます。

金融庁の出したデータにおける「老後の資金2,000万円」の意味とは

「『老後の資金として、ひと家庭に2,000万円が必要である』と金融庁が発表した」という話は、かつてメディアで大きく取り上げられました。

これは、金融庁が令和元年に出した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」によります。

そのなかの一説として、

“夫 65 歳以上、妻 60 歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ 20~30 年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で 1,300 万円~2,000 万円になる。”
―引用:金融庁「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」p26 https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

という言葉が出てきます。

上記で挙げた「ひと家庭に2,000万円の資金が必要」とするのは、ここから取られたものだと思われます。平均寿命が長くなるに従い、この「老後に必要になる資金」は大きくなるため、このような試算が行われたのでしょう。

今後も日本は少子高齢化が進んでいくことが予想されているため、この「老後に必要になる資金」はより大きくなっていくものと推測されます。

参考:金融庁が令和元年に出した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf

2,000万円以上の資産を持つ家庭は、全体の3分の1程度 

それでは、実際にご年配の方々はどれくらいの資産を持っているのでしょうか。

これに関しては、衆議院で「平成三十年(二〇一八年)家計の金融行動に関する世論調査を元にまとめた」のページを見るとわかりやすいでしょう。このページは国会の質疑応答をまとめたものですが、そのなかで、

・金融資産を持たない世帯を含む、70歳以上の2人以上の世帯のなかで、2,000万円以上の貯蓄を持つ割合は27.9パーセントである

・1,000万円以上の貯蓄を持っている世帯は、全体の50パーセント以下である

・貯蓄を持たない世帯は、全体の28,6パーセントである

というデータを紹介しています。

この数字をどう解釈するかは、人それぞれ異なるでしょう。「2,000万円以上の貯蓄を持っている世帯が27,9パーセントであるなら、3世帯~4世帯のうちの1世帯は余裕があるということだし、それ以外の世帯でも貯蓄のある世帯は多い」とみることもできますし、「全体のうちの80パーセント近くが、老後の資金に困窮することが予想される」とみることもできます。またこのデータから、「2,000万円以上の貯金がある世帯と、貯金をまったく持たない世帯の割合はほぼ等しく、貧富の差が大きい」とみることもできるでしょう。

単純に自分たちの現在の貯金額と引き比べて、「高い・低い」と考える人もいるかもしれませんし、「子育てが終わったら、貯蓄ができるようになるのか」と思う人もいるかもしれません。なお、平均貯蓄額は60代がもっとも多いとするデータもあります。

この解釈のうちのどれが正しい・正しくないと言い切ることはできません。

ただ、このデータと、すでに述べた「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」を踏まえたうえで、ひとつ押さえておかなければならないデータがあります。それが、「高齢者の有職者割合」です。

出典:衆議院「第198回国会 質問の一覧 質問本文情報 公的年金制度だけでは、老後に満足な水準での生活を送るのが困難となり、夫婦二人世帯では老後生活に二千万円の資金が必要になるという政府見解に関する質問主意書」内「平成三十年(二〇一八年)家計の金融行動に関する世論調査」https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a198210.htm

いわゆる「高齢者」の有職者率は50パーセントを超えている

上の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」のデータの「老後の資金として2,000万円必要」としたデータは、夫が65歳で妻が60歳で、かつ2人ともが無職の状況を想定しています。

しかし総務省統計局が出した「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」を参考にすると、このデータが必ずしもすべての家庭にあてはまるものではないということがわかります。

「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」では、いわゆる高齢者のうちの何割が有職者であるかの統計が取られています。

それによれば、65歳~69歳の就業率は50.3パーセントを超えていることが分かります。また60歳~64歳の層にいたっては、71.5パーセントが有職者です。

男女別にみたとき、65歳~69歳のうちの40.9パーセントが、60歳~64歳のうちの60.6パーセントが働いていることがデータに示されています。男性の場合はもっとこの数字が大きく、65歳~69歳のうちの60.4パーセントが働いていて、60歳~64歳に限ればそのうちの実に82.7パーセントが仕事を続けていることが分かります。

65歳~69歳の世代であっても、働いている人は過半数を超えています。

このデータのなかで唯一50パーセントを割り込んでいるのは「65歳~69歳の女性」ですが、それでもそのうちの4割は有職者です。

上記で触れた「「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 『高齢社会における資産形成・管理』」」で紹介されていた例である「65歳の夫と、60歳の妻が無職である」という家庭は、むしろ少数派だといえます。

この仮定にあてはまるご家庭では、そのうちの過半数以上が仕事を持っていて、その分収入も確保できているといえます。

出典:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1322.html

自分たちが「経済的な心配のない家庭」になるためにはどうすればよいか

「老後の資金2,000万円問題」は、多くのメディアを騒がせました。しかし上記で述べたように、実際にはこのときに仮定された「無職の夫×無職の妻」の家庭は、それほど多くはありません。65歳の夫も、60歳の妻も、働いている可能性の方が高いからです。

また、現在の65歳以上を対象としてとったデータでは、「暮らしの心配はない」と答えた人の割合が、70パーセント近くに達しているという結果が出されています。「家計に余裕がなくて、非常に心配である」と答えた層はわずか7.5パーセントであるという結果も出ています。

そのためいたずらに「老後の資金」について心配しすぎる必要はないといえます。

ただ、「余裕のある暮らし」「心配のない暮らし」を送りたいと考えるのであれば、現役時代からしっかりと資産形成を考える必要はあります。上で述べたように現在の高齢者は職を得て稼ぎを確保しているケースが多いのですが、病気などで働けなくなる可能性も十分にあるからです。また資産は、あって困るものではありません。そのため、無理のない範囲で貯蓄を行ったり、NISAの利用を考えたりすることは必要です。また、しっかり調べて投資などを行うのもひとつの方法です。老後のことを考えてしっかり資産を形成しておけば、老後に取れる選択肢も増えるでしょう。

出典:内閣府「令和4年番高齢社会白書(全体版) 1 就業・所得 第1章 高齢化の状況(第2節 1)」https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_2_1.html