生前のうちから残される家族のためにできることの一つとして、財産目録の作成というものがあります。
あまり聞き馴染みがないかもしれませんが、遺族の負担を軽減することに非常に役立つものです。
どのようなメリットがあるのか、しっかりと理解しておきましょう。
財産目録とは
財産目録とはその名の通り、有している財産を一覧にまとめたものです。
価値のあるプラスの財産だけでなく、借金などのマイナス財産もすべて記載をします。
生前に財産目録を作成するメリット
生前に財産目録を作成することで、財産の全体像や総額を把握することができます。
財産を把握することで、節税対策を講じることができたり、相続人になる家族の負担を減らすことができるでしょう。
・相続税対策を考えることができる
・遺産分割協議をもめにくくすることができる
・相続財産調査にかかる遺族の手間が軽減される
・相続税申告にかかる遺族の手間が軽減される
相続税対策を考えることができる
相続税の負担がどのくらいになるのか、不安に思うご家庭が多いのではないでしょうか。
納税のための現金を捻出できるか心配なのであれば、今のうちから生前贈与を検討することもできます。
まずは、不動産、預金など、持っている財産をリストアップしてみましょう。
遺産分割協議をもめにくくすることができる
被相続人が亡くなった後、遺産の分割をするためには相続人全員で話し合う「遺産分割協議」が必要です。
事前に財産目録を作成して、それぞれお金に換算した場合の評価額が明らかな状態となっていれば、協議をスムーズに進めることができるでしょう。
また、生前に財産をどのように分配したいか、財産目録と共に遺言として示すこともできます。
相続人たちの不公平感が起こらないようにするにはどのようにしたらいいかを考え、事前に分配を決めておくのも一つの手です。
相続財産調査にかかる遺族の手間が軽減される
故人が亡くなった後、遺族は葬儀の手配や香典返し、四十九日法要、お墓への納骨準備など、慌ただしく過ごします。
そんな中、一から故人にどのような財産があるのかを調べるのは大変なことです。
あらかじめ財産目録が用意されていれば、あとは確認をするだけで済みます。
相続税申告にかかる遺族の手間が軽減される
相続税の申告が必要となった場合、相続財産の一覧を作成する必要がでてきます。
被相続人が生前に財産目録を作成しておくことで、相続税申告までの準備にかかる遺族の手間と時間を削減することができます。
相続税の申告は、被相続人が亡くなってから10カ月以内までという期限があります。
この期限内に、相続財産を調査し評価額まで算出するのは大変なことです。
財産目録を作成するタイミング
生前に財産目録を作成する場合、特に決まったタイミングはありません。
ただ、相続税の節税方法を考えるのであれば、なるべく早く財産の把握をしたほうがよいでしょう。
そうでない場合は、万が一に備えた終活の一環として、相続人となる方々の負担が少なく済むように作成を進めます。
併せて、遺言書を書くことを検討してもよいでしょう。
すべての財産を記載した財産目録を遺言書に添付し、この銀行預金は誰に、この不動産は誰に、と具体的に記すことができます。
財産目録の作成方法
財産目録に記載する内容は、主に以下のものになります。
・不動産
・預貯金
・株式などの有価証券
・自動車
・高価な宝石や絵画
・相続人が受取人になっている保険金(みなし相続財産)
・借金などの負債
財産の種類が多く複雑な場合は、弁護士に相談することもできます。
財産目録の作成は、確認することや取り寄せる書類が多く、骨が折れることでしょう。
本人でもそうなのですから、死後に相続人となる人が行う場合はもっと労力がかかります。
もしもの時に遺族の負担を少なくしておけるように、生前のうちからまとめておきましょう。