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相続開始後の遺産分割協議手順と注意点を徹底解説:親族間トラブルを回避するために知っておくべきこと

財産を相続するにあたって、相続の内容は亡くなった方の遺言書にもとづいて決定されるのが一般的です。 
しかし遺言書が作成されていない場合、相続人による話し合い「遺産分割協議」によって相続の内容が決定されます。 
「相続についての話し合い」と聞くと、親族間でのトラブルをイメージする方もいるのではないでしょうか。 
実際、正しい手順・方法で行われない遺産分割協議は親族間での疎外・疎遠の原因となることも少なくありません。 
本記事では遺産分割協議の進め方や注意点について解説します。 

遺産分割協議とは 

遺産分割協議とは財産を持つ人が亡くなった場合に、相続人になる権利を持つ人が遺産の相続について話し合うことです。 
遺産分割協議は相続人になれる人全員の参加が必須であり、何かを決定する際には全員が合意する必要があります。 
ただし全員が一堂に会する必要はなく、メールやビデオ通話などでの参加でも問題ありません。 
遺産分割協議において重要なのは「全員が内容に合意すること」です。 
遺産分割協議に期限はありませんが、相続税には10ヶ月の期限があります。 
申告・納税が期限をすぎてしまうと、加算税や延滞税の対象となります。 
相続が発生し、遺言書がないことが確認されたら、できるだけ早く遺産分割協議を開始しましょう。 

遺産分割協議を行う流れ 

遺産分割協議には、大きくわけて下記の3つのステップがあります。 
1. 相続人の決定 
2. 財産の洗い出し 
3. 協議・遺産分割協議書の作成 

相続人の決定 

遺産分割協議には相続人になれる人全員の参加が必要です。 
そのためまずは、被相続人の戸籍などの情報をもとに「相続人には誰がいるのか」を調査します。 
遺言による指定がない場合に、相続人となれる(法定相続人)は下記の通りです。
・配偶者 
・子、子がいない場合は孫(直系卑属) 
・親(直系尊属) 
・兄弟 

法定相続人の調査は簡単にも思えるかもしれません。 
しかし調査をしてみると「非嫡出子がいた」などのケースもあります。 
遺産分割協議を始める前には、相続人の調査・決定を必ず行いましょう 

財産の洗い出し 

現金や不動産、株式など相続人が保有していた財産の全てを洗い出します。 
この時注意するのが「相続する財産には負債も含まれる」という点です。 
つまり相続人がこっそりしていた借金や住宅ローンなども、マイナスの財産として相続する必要があります。 

協議・遺産分割協議書の作成 

洗い出された財産の内容を元に、「誰がどの財産をどれだけ相続するか」を協議によって決定します。 
協議により相続内容が決定したら、その内容を「遺産分割協議書」としてまとめます。 
遺産分割協議書の書き方にルールはありませんが、全員が署名と実印が必要です。 
作成後は相続人が1人1通ずつ遺産分割協議書を保管しましょう。 

遺産分割協議に未成年の相続人がいる時は注意 

遺産分割協議に参加する相続人に未成年がいる場合、通常は親が代理人として参加をします。 
ですが親と未成年の子の両方が相続人となるケースでは、親とこの利益が相反するため親はこの代理人にはなれません。 
そのため親と未成年の子が相続人となるケースでは、子のそれぞれに特別代理人が必要です。 
特別代理人を立てるには、家庭裁判所に「特別代理人の選任」を請求します。 
「妻の死亡により、夫と子が相続人になる」など、特別代理人が必要になるケースは少なくありません。 
未成年の子が相続人となった場合に、必ず親が対応できるわけではないことを理解しておきましょう。 

遺産分割協議には時間がかかる 

遺産の相続で最も優先されるのは遺言書です。 
しかし遺言書が作成されていない場合、相続内容は遺産分割協議によって決定されます。 
遺産分割協議では相続人全員の参加と、協議内容への合意が必要です。 
そして協議を行うには相続人の調査や財産の洗い出しがかかせません。 
被相続人が亡くなってからでは、直接聞くこともできないため、時間がかかることでしょう。 
相続人となる可能性が高い方は、今のうちから被相続人となる方と相続人や財産について話をしてはみてはいかがでしょうか。