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後見制度を検討する際のポイントと流れ、任意後見人の選び方から公正証書作成までの手順をきめ細かく解説

終活とは、最期を迎えるための準備のことを指します。自分の死後に迷惑をかけないようにするだけでなく、人生をよりよい最期を迎えるための準備も大切なことです。 

年を重ねるにつれて物忘れが多くなると、自分の判断やお金の管理などが不安になることもありますよね。そのような場合、後見制度を利用することができます。後見人とは保護者のような存在で判断能力が低下した人を犯罪から守ってくれる人で、後見制度はその後見人をつけることができる制度です。 

よりよい最期を迎える前に、日常生活におけるトラブルは少なくしたいですよね。トラブルを減らすためにも、後見制度を検討することについて考えてみましょう。 

後見制度って? 

私たちが日常生活を送るためには、たくさんの意思表示や選択をしなければなりません。住むところを借りるためには意思表示をして契約を結び、食料や日用品などは自分に必要なものを自分が持っているお金の範囲で選択します。ほしいものがあれば購入する意思表示を、不要であれば購入しない意思表示をします。 

しかし、認知症状や精神疾患などで判断能力が低下すると、日常生活に必要な意思表示や選択をすることが難しくなってしまいます。自分で判断する力が弱くなると、詐欺やマルチ商法といった犯罪に巻き込まれる可能性も。後見制度は、判断能力が低下している人をそのような犯罪から守るための制度です。 

後見制度では、判断能力が低下している人に後見人をつけます。後見人保護者のような役割で、本人に代わってお金の管理をしたり、契約を結んだりすることができます。後見人をつけることで、契約上のトラブルを回避することができるだけでなく、お金の管理という面は食料や生活必需品を購入につながり、日常生活のサポートにもつながります。 

後見制度では、その人の判断能力が低下している度合いによって後見人、保佐人、補助人とサポートする範囲が変わってきます。また、後見制度はあくまで生活に必要な判断のサポートをして被後見人を保護する制度なので、被後見人が亡くなった場合は効力を失います。死後にしなければいけない手続きを進めるための「死後事務委任契約」とは違う制度なので、混同しないようにしましょう。 

後見制度を検討するための手順 

後見制度には法定後見制度と任意後見制度の2種類があります。 

法定後見制度とは、判断能力が低下している人を守るために親族が手続きを行ないます。反対に、任意後見制度は自分の判断能力が低下したときのために後見人となる人を選んで指名することができる制度です。 

終活として後見制度を検討するためには、任意後見制度を利用することができます。任意後見制度は、親族が後見人を決める法定後見制度と違い、自分の希望を盛り込むことができます。ここでは任意後見制度を検討する流れをご紹介します。 

任意後見制度 

まず、自分のライフプランを立てて、どのようなサポートをしてほしいのか考えていきます。住み慣れた家での生活を希望しつつ、生活費や生活必需品の管理が必要になった場合、遠方に住んでいる親族にお願いすることは難しいですよね。自分の希望やサポートしてほしい内容をふまえて、任意後見人としてお願いしたい人を選びます。選んだら、選んだ相手としっかりと話し合います。相手の生活に関わるだけでなく、人のものを預かるという責任も大きいので、相手の精神的な負担にも配慮して話し合うことが重要です。 

任意後見人が決まれば、公証役場へ被後見人と一緒に行き、公正証書を作成してもらいます。公正証書の内容が法務局に登記されることで、契約が結ばれることになります。 

後見制度を検討するときのポイント 

任意後見制度では自分の意志で任意後見人を指名することができますが、様々な責任や負担を負わせることに抵抗がある人もいると思います。また、後見制度は日常生活をサポートする一面もあるので、お願いできる人が近くにいない場合も困りますよね。 

そのような場合、地域の社会福祉協議会がサポートしてくれます。社会福祉協議会はその地域の後見制度の窓口であり、被後見人だけでなく、後見人自身もサポートする役割があります。 

社会福祉協議会に相談するメリットとして、地域の福祉について教えてもらうことができるという点があります。任意後見制度では、法定後見制度のような判断能力が低下した度合いの区分がありません。そのため、どの程度で生活に支障が出るかという判断が難しいのです。 

地域の福祉サービスを利用すれば、任意後見制度を利用しなくても日常生活を送ることができる場合もあります。サービスは知らなければ利用することができません。自分に合ったサービスや制度で犯罪から身を守るためにも、社会福祉協議会を窓口に地域の福祉について知ることが、後見制度を検討する1つのポイントです。 

まとめ 

後見制度は、判断能力が低下した自分を犯罪から守り、日常生活をサポートしてくれるための制度です。 

任意後見制度では、自分の最期をサポートしてくれる人へ直接お願いすることも、自分の希望を伝えることも可能です。ライフプランを考えた上で、また、相手への配慮も必要ですが、自分の最後なので自分の希望も伝えたいですよね。 

後見制度は日常生活のサポートという側面も持っているのですが、後見人をお願いできる人が近くにいるとは限りません。そのような場合、社会福祉協議会が窓口になってサポートしてくれます。地域の中でサポートし合う仕組みもあるので、後見制度以外にも自分に合ったサービスを見つけることができるかもしれません。 

よりよい最期を迎えるためにどのようにしたいのか、自分で判断できるうちに考えることも大切ですね。