財産の種類は数あれど、もっとも相続でトラブルとなるのは「不動産」でしょう。
被相続人が所有している不動産について、詳しく知らないという相続人も少なくないのではないでしょうか。
相続不動産を把握しておかなければ、相続税や固定資産税の支払い、名義変更などの手続きができないという問題が発生します。
これらの問題を未然に防ぐために、作成しておきたいのが「相続不動産一覧表」です。
本記事では、相続不動産一覧表とはなにか、作成方法や注意点について詳しく解説します。
相続不動産一覧表の作成とは?
相続不動産一覧表とは、被相続者が所有する「不動産」について一覧化したものです。
相続の際、被相続人の財産がわかるように「財産目録」を作成することがあります。
この財産目録から、不動産の情報のみを抜き出してまとめたものと考えるとわかりやすいのではないでしょうか。
相続財産一覧表を作成することで、不動産の相続手続きや税金の支払いなどの対応漏れを防ぐことができます。
被相続人と相続人それぞれが相続不動産を把握することができるため、相続のトラブルなども回避することができるでしょう。
相続不動産一覧表の作成方法
ここでは、相続不動産一覧表の作成方法について詳しく解説します。
主な作成方法は、下記の2つです。
①財産目録から不動産の情報を抜き出す
②名寄帳などから不動産情報を取得する
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
方法①財産目録から不動産の情報を抜き出す
1つ目の方法は、財産目録から不動産の情報を抜き出す方法です。
不動産の情報などを調査する必要がないため、早く簡単に作成することができます。
「財産目録があれば、相続不動産一覧表を作成する必要はないのではないか」と考えられる方もいるかもしれません。
しかし、財産目録は不動産以外の財産も多く、不動産の情報を見落としてしまう恐れがあります。
そのため、確実に不動産関連の相続手続きなどを行うためにも、不動産だけの一覧表を作成しておくことが望ましいです。
方法②名寄帳などから不動産情報を取得する
財産目録がないという方も、多いのではないでしょうか。
その場合は、一から不動産の情報を取得する必要があります。
不動産情報を取得するもっとも確実な方法は、名寄帳を請求することでしょう。
名寄帳とは、個人が所有している不動産を一覧で確認できる物です。
この名寄帳は市町村ごとに作成されるため、不動産を所有するすべての市町村で取得する必要があります。
名寄帳を取得できたら、不動産の所在や種類、評価額などの情報を一覧化して相続不動産一覧表を作成しましょう。
なお、名寄帳の請求は原則として本人しかできません。
相続前に行う場合は、委任状を準備する必要があります。
相続不動産一覧表の作成で注意すること
相続不動産一覧表の作成でもっとも注意すべきことは、不動産情報の漏れです。
名寄帳は市区町村ごとに管理されているため、不動産の情報を取得する場合は不動産があるすべての市区町村で請求する必要があります。
そのため、該当の市区町村以外に不動産を所有していた場合、情報は取得できません。
漏れなく作成するためには、親戚などに確認したり不動産に関わる重要な書類などがないかを探したりする必要があるでしょう。
相続不動産一覧表を作成して相続に備えよう
相続不動産一覧表は、相続の手助けとなる重要なものです。
作成することで、不動産に関わる手続きをスムーズに行うことができるでしょう。
しかし、一度作成しただけで終わりではありません。
不動産の評価額は、一定の期間で更新されます。
作成後に、相続不動産が増減する可能性もあるでしょう。
そのような場合は、都度最新の情報に更新する必要があります。
相続への備えとして、漏れなく相続不動産一覧表の作成を行いましょう。