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養子縁組の複雑な仕組みを理解し、実親との関係性と相続の有無、裁判所への手続き方法を徹底解説!

養子縁組は里親とは違い法的な親子関係を持ち、普通養子縁組と特別養子縁組の大きな違いは実親との関係性や相続の有無、裁判所への手続き方法です。この記事は「養子縁組を検討しているけど複雑でよくわからない」「養子縁組の相談はどうしたらいい?」と悩む方に向けた内容です。

養子縁組は普通養子縁組と特別養子縁組がある

普通養子縁組も特別養子縁組も子どもに大きな愛情を注ぐ点に違いはありませんが、法的な親子関係や相続の有無に違いがあります。

普通養子縁組と特別養子縁組の違いは次のとおりです。

参照:『厚生労働省』普通養子縁組と特別養子縁組について スライド 1 (mhlw.go.jp)

さらに詳しくみていきます。

普通養子縁組は実親と法的な親子関係がなくならない

普通養子縁組は実親と法的な親子関係がなくならないまま養親とも親子関係をもつ縁組のことです。そのため、養子は相続に関して実親と養親から受けとることができます。

万が一、養親が病気や経済的理由で養子の養育が困難となった場合でも実親を頼ることができるため養親にとっても養子にとっても負担が少ないです。

特別養子縁組は監護期間6ヵ月を経て実親となる

特別養護縁組は養子と法律上の親子関係となるため、養子は実親との縁がなくなり相続を受けることができません。また、家庭裁判所の判断に基づき最低6ヵ月以上の監護期間が必要となる点において普通養子縁組と異なります。

万が一、監護期間中に実親が特別養子縁組の撤回をした場合は多くの場合は養子縁組の撤回が成立します。

養子縁組と里親の違いは法律上の親子関係かどうか

養子縁組と里親の違いは混乱しやすいので記載します。

養子縁組は法律上の親子関係をきづくのに対し、里親は養育が受けられない子どもに実親の代理として養育を与える立場であるため法律上の親子関係とはなりません。

普通養子縁組の成立条件

普通養子縁組の成立条件は次のとおりです。

・養親が婚姻しているもしくは養親が20歳以上でなければならない

・養子は養親より年下でなければならない

・養親が婚姻していて養子が未成年の場合は、原則夫婦そろって養親となる必要がある

・未成年の養子を迎える場合は家庭裁判所の許可が必要

・養子が15歳以上であれば自分の意志で養子縁組が可能

・養子が15歳未満の場合は親権者、法定代理人の承諾が必要

・養子または養親に配偶者がいれば配偶者の同意が必要

・養子縁組申し立て書を市区町村役場に届け出ること

条件に該当していた場合、家庭裁判所もしくは裁判所のホームページから養子縁組申し立て書をダウンロードして必要事項を記入してください。

養子縁組の成立条件は、ややこしい点もあるため個人での判断が難しい場合は専門家である弁護士に依頼するのも1つの選択肢です。

特別養子縁組の成立条件

特別養子縁組が成立する条件として厚生労働省は次のように定めています。

①実親の同意
養子となるお子さんの父母(実父母)の同意がなければなりません。ただし、実父母がその意思を表示できない場合又は、実父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となるお子さんの利益を著しく害する事由がある場合は、実父母の同意が不要となることがあります。

②養親の年齢
養親となるには配偶者のいる方(夫婦)でなければならず、夫婦共同で縁組をすることになります。また、養親となる方は25歳以上でなければなりません。ただし、養親となる夫婦の一方が25歳以上である場合、もう一方は20歳以上であれば養親となることができます。

③養子の年齢
養子になるお子さんの年齢は、養親となる方が家庭裁判所に審判を請求するときに15歳未満である必要があります。ただし、お子さんが15歳に達する前から養親となる方に監護されていた場合には、お子さんが18歳に達する前までは、審判を請求することができます。

④半年間の監護
縁組成立のためには、養親となる方が養子となるお子さんを6ヵ月以上監護していることが必要です。そのため、縁組成立前にお子さんと一緒に暮らしていただき、その監護状況等を考慮して、家庭裁判所が特別養子縁組の成立を決定することになります。

特別養子縁組の成立条件は普通養子縁組と比べて厳しく、とくに実親の同意が必須な点や養親の

年齢に規定がある点に注意が必要です。

養子縁組の必要書類と手続き方法

養子縁組の必要書類と手続き方法は普通養子縁組と特別養子縁組で異なります。

また、未成年の場合は必ず家庭裁判所への申し立てが必要です。

それぞれ解説します。

普通養子縁組の必要書類

普通養子縁組の家庭裁判所への提出書類は次のとおりです。

・養子縁組申し立て書

・養親の戸籍謄本

養子が15歳未満の場合は法定代理人の戸籍謄本も必要です。家庭裁判所の許可がおりた後、本籍のある市町村へ次の書類を提出してください。

普通養子縁組の市町村役場への提出書類は次のとおりです。

・養親の免許証やパスポートなどの本人確認書類

・養子縁組届

養子が未成年の場合、養子縁組許可審判書の謄本が必要です。

特別養子縁組の必要書類

特別養子縁組の必要書類も家庭裁判所と市町村役場とで異なります。

特別養子縁組の手続きに必要な家庭裁判所への提出書類は次のとおりです。

・特別養子適格の確認申立書

・特別養子縁組成立申立書

・養子と養子の実親の戸籍全部事項証明書

・養親の戸籍全部事項証明書

家庭裁判所で養子縁組成立の回答を得たら、10日以内に市町村役場へ届け出をしてください。

特別養子縁組の手続きに必要な市町村役場への提出書類は次のとおりです。

・特別養子縁組届書

・養子と養親の戸籍全部事項証明書

・家庭裁判所の審判書および確定証明書

自治体によって必要書類の内容が異なりますので、詳しくはお住いの市町村役場へお問い合わせください。

養子縁組で失敗しないためには

養子縁組は規定事項や必要書類が多いうえに家庭の状況によっては複雑となり判断に悩むことがあります。

そのため、個人で解決しようとせず専門家である弁護士に相談し確実に養子縁組を進めていく方法がおすすめです。

まとめ

普通養子縁組と特別養子縁組の違いや規定、手続き方法を紹介しました。

必要書類の準備から実際に養子を迎え入れるまで養親や実親がすべきことはとても多く、複雑な状況となれば今回紹介した限りではありません。

養子との幸せな生活を送るため、できるだけストレスのない方法で養子縁組を成立させましょう。