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一人暮らしの高齢者の「死後事務」を円滑に行うための「おひとりさま終活」の必要性と対策方法について解説

人は亡くなる際、死後事務と呼ばれる様々な手続きが必要となります。一般的にこれらは親族の手によって行われますが、身寄りのない人の場合はそうもいきません。

近年では、生涯独身を貫く人たち、いわゆる「おひとりさま」の増加でメディアでも「おひとりさま終活」が話題に取り上げられる機会も多くなりました。

今はどんなに元気でも、誰もがいずれ直面する死。自分が亡くなった後、任せられる人は思い浮かびますか?年齢を重ねるにつれ、死後への不安や悩みに襲われる方も多いのではないのでしょうか。

そんな不安を解決するための頼みの綱となるのが、今回お伝えする『死後事務委任契約』です。

ここからは、死後事務委任契約の手順から失敗しない為のポイントを解説します!

死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約とは、亡くなった後に発生する様々な手続きを、本人に代わって第三者に実行してもらうことができる制度です。委任できる内容は非常に幅広いもので、本人の希望に応じて細かく設定することができます。

(死後事務の一例)

・親族・友人への連絡

・葬儀の取り仕切り

・各種支払いや解約処理

・行政手続き など

特に独り身や家族と疎遠な方は、亡くなった後もこれらの処理が放置されがちですが、あらかじめ委任契約を結んでおくことで、安心して委任者に託せられ、自分の希望する形で手続きを実行できるのです。

死後事務委任契約の締結を初心者が進めるための手順とは?

死後事務委任契約は、委任者(本人)と、受任者(法人または個人)の間で結ぶことになります。民法上方式が定められてないこともあり、口頭でも交わせる契約ではありますが、トラブルを未然に防ぐためにも公正証書化して締結することをオススメします。

また、受任者の資格や取り決めも制限はありませんが、必ず信頼を置ける人物に依頼しましょう。しかし、中には頼れる人がいない、周りに迷惑をかけたくないと思う方も多いはず。そんな方は、司法書士や行政書士などの専門家に依頼することも可能です。

専門家に依頼する場合の流れは以下の通りです。

①依頼する専門家を決め、相談

②内容の決定

③見積もり確認

④法定証書作成 

⑤亡くなった後、死後事務委任の実行

なお、委任する場合には、おおよそ50万円〜100万円程の委任費用がかかりますので、専門家へ委ねることを検討する際は、予めまとまった資金を準備しておくことが賢明です。

失敗しないために!死後委任契約を結ぶために押さえておきたいポインとは?

死後事務委任契約は、あくまで亡くなった後に必要な『事務手続き』にのみ有効なものです。

よく混同されやすいものに遺言書がありますが、遺言書は死後事務委任契約とは違い、事務手続きの指定ができず、相続や財産についての定めのみで効力を発揮します。

例えば、遺言書の中に葬儀や法要事項の希望を盛り込んだ場合、この内容に法律上の拘束力はありません。つまり、相続財産関係以外の希望事項については、あくまで遺言者の「希望」にしか過ぎないのです。死後委任事務契約と遺言書は、双方異なる役割を持っているので、トラブルを回避する為にも、目的に応じてそれぞれ取り決めておくことが重要です。

ただし、内容について親族や相続人などの意向と異なるケースもありますので、あらかじめ関係者には契約内容を共有しておきましょう。

まとめ

人は亡くなる際、相続や財産面だけに目を向けがちですが、死後に必要とされる事務手続きはたくさんあります。亡くなった後の処理は「家族に任せるもの」と考えがちですが、必ずしも誰もに頼れる存在がいるとは限りません。また、誰しも亡くなった後に事務処理などで周りの手を煩わせたくないものですよね。死後事務委任契約は、死後の不安を抱きたくない方にとって、最適な制度であると言えるのではないでしょうか。自分の希望する最期を、安心して迎える選択肢のひとつとして、一度活用を検討してみても良いかもしれません。