親族が亡くなると、葬儀や手続きでバタバタとしますよね。悲しみの中、慣れないことを進めるのは大変です。
あとまわしになりがちな遺品整理。実は、葬儀や四十九日など親族と顔を合わせる機会が遺品整理をするいいタイミングなのです。場合によっては、早く取りかる必要があるケースもあります。
業者に頼むという選択肢もありますが、手順やポイントをおさえれば初心者さんでも大丈夫。ぜひ参考にしてみてください。
遺品整理って?
遺品とは故人が残したものを指し、遺品整理とは、それらを整理することです。必要なものを手元に残し、不要なものはリサイクルや処分します。
「遺品=残されたもの」というイメージですが、貴重品や思い出の品だけでなく、家具や家電、食料品、衣類、日用品なども全て「遺品」に含まれます。
遺品は、故人が現世で生きていた証です。遺品整理は故人の死と向き合うことになり、つらい作業だと感じる人も多いです。しかし、そのままにしておくと、せっかく残った思い出の品も色褪(いろあ)せてしまいます。火災や不法侵入などのトラブルも心配です。
必要だとはいえ、気持ちの整理がつかないまま遺品と向き合うことは、難しいですよね。遺品整理をするタイミングとして、以下の4つが挙げられます。
・四十九日を迎えたあと
・諸手続きが完了してから
・葬儀後すぐに
・相続税がかかる前(亡くなってから10ヶ月以内)
葬儀や四十九日など、親族が顔を合わせる機会に遺品整理を行うと、効率よく作業することができます。人手が多いだけでなく、生きていた証などを共有することができ、遺品について話し合うこともできます。
また、遺品整理しないと相続税の計算をすることができません。相続税は亡くなってから10ヶ月以内に申告をすれば、控除を受けることができます。価値の計算に時間がかかる場合もあるので、遺品整理は早めにする方がいいでしょう。
故人が賃貸に住んでいた場合、遺品が残っていると退去できず、家賃を払い続けることになります。退去するためにも、早めの遺品整理が必要です。
遠方で故人宅に行けない場合や時間が確保できない場合、気持ちの面で不安がある場合など、遺品整理を手伝ってくれる業者もあります。
向き合うことは大変ですが、生きた証がすべて廃棄されることは避けたいですよね。故人だけでなく、遺品もあるべく場所に収めることができるよう、見届けてあげましょう。
遺品整理の手順
遺品整理をするといっても、「家中のものを片付ければ終わり」というわけではありません。ここでは、遺品整理の手順をご紹介します。
1.親族への確認
2.遺言やエンディングノートなどの有無を調べる
3.スケジュールの調整
4.遺品を分類する
5.形見分け(遺品を分ける)
6.不要品の処分
まず、遺品整理について親族と相談します。
近年はエンディングノートを用意している人も少なくありません。自分が亡くなったあと、遺品について故人の遺志はあるのか、確認しましょう。
スケジュールを調整し、退去や相続税の申告など期限がある場合は、期限内に作業が終わるよう、遺品整理を進めます。
遺品を分類し、遺品を分ける「形見分け」をします。最後に不要品の処分をして、遺品整理は終了です。
不要品の処分にはいくつか方法があり、まだ使えそうなものはリサイクルショップに売ったり、寄付したりすることもできます。捨てるだけが処分ではありません。持ち主がいなくなっても、使えるものは再利用できたらいいですね。
遺品整理のポイント
遺品整理は気力のいる作業です。少しでもトラブルや焦り、不満や後悔といったマイナスの要素を減らして、スムーズに作業ができるようにしたいところです。遺品整理のポイントは、大きく分けて3つ。気持ちの面で負担が増えないよう、ポイントを押さえて作業することをおすすめします。
親族の意思を確認する
「遺品=遺産」となる場合もあるので、勝手に進めるとトラブルのもとになることも。相続の話をするタイミングで、遺品整理について話し合うこともいいでしょう。
また、遺産を放棄する場合、遺品整理に参加することができないケースもあります。遺品整理は、相続の意思があることを前提としたものです。放棄する金額にもよるので、放棄する人は確認が必要です。
親族だからこそ、大きなトラブルを招くケースもあります。しっかりと確認した上で進めましょう。
ゴールを明確にする
「家の中を空にする」なんて、難しいですよね。目標が遠いと、やる気もなくなってしまいます。ゴールを明確にして、スケジュールを調整することも必要です。
不要品の処分は時間をかけてできますが、相続税の申告を早くしたいのであれば、期限が決まっています。申告に必要なものだけでも、ゴールを決めると安心ですよ。相続関係の書類など、必要なものをピックアップしてから探す方法もあります。
遺品は分けてからその後のことを考える
遺品は大きく分けて3つに分けることができます。残すもの、不要品、迷うものの3種類です。
残すものは、貴重品、思い出の品など。もう使わないものや残す必要がないものは、不要品になります。
遺品整理で重要なポイントは、迷うものを捨てないことです。「迷う」ということは、何らかの気持ちがあるということ。作業に追われて捨ててしまうと、後悔することになります。
しかし、作業中に迷う時間が長いと、効率が悪くなってしまいます。そのため、迷ったものは「迷うもの」として仕分けして、落ち着いてから決めればいいのです。
遺品を分けるのも同様です。分けながら進めると、手が止まって作業が進まなくなります。相談ができるように遺品をまとめたり、まとめて処分したりと、「分けること」を最優先すると、遺品整理がスムーズになりますよ。
まとめ
故人の生きた証を整理する遺品整理と向き合うことは大変ですが、そのままにしておくわけにもいきません。気持ちが落ち着いてからでもいいので、期限やゴールを決めて進めていくことが大切です。
そして、トラブルや後悔などが生まれないよう、準備してとりかかることも必要です。すべてを処分する必要はありません。必要なものを手元に残し、不要なものは再利用したり処分したりと、整理していくのです。
迷うものがあることも当然のこと。整理さえできていれば、迷ったものの判断に時間をかけることもできます。
遺品が残ったままであると、トラブルのもとになりかねません。無理のない範囲で遺品整理を進めていきましょう。